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シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線
117-モニカの危機
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帰った僕は、当然ながら怒られた。
エリスに、二日もどこをほっつき歩いていたのかと。
「もう、聞いてる?」
「.....悪かった」
それはもうしっかり怒られた。
数時間も掛けて。
「大体、連絡なんていつでもできるでしょう? まさか、本当に男遊びを....」
「....いや、通信のしようがない場所にいた」
「そ、そうなの...」
あの基地では、精神ネットワークの帯域を切り替えていたので通信が出来なかった。
その後は.....普通に忘れていた。
「....ところで、僕に子供がいると言っ――――」
「嘘!? 信じられないっ!」
「.....例えばの話だ」
「そうよね!」
エリスは皿の上の肉に、乱暴にフォークを突き刺した。
これでは、ニト達の話などできるはずがない。
困った......
そう思っていた僕だったが、唐突にエリスの通信端末が音を立てる。
「なんだ?」
『――――エリアス殿はいるか!?』
この声は.......多分、ジンとか名乗っていた男だな。
何かあったのか?
「なんだ?」
『モニカはそちらに来ていないか!?』
「.....来てはいないが、どうした?」
『......昨日から戻ら....戻っていないのですよ』
......ということは、誘拐か、殺人事件に巻き込まれたわけか。
『端末も置いて来てしまっているので、私ではどうすることもできないのです。ですが、どうにもできないのはそちらも一緒です、どうか....気をつけてください』
「ああ」
僕は端末のディスプレイをタッチして、通話を切った。
即座にエリガードとの相互通信で、地上のスキャンを行う。
モニカには出会ったときにタグを付与したから、簡単に探す事が出来る。
「.........見つけた」
「エリアス、行くの?」
「ああ...済まないが、朝食は...」
「私が食べておくから大丈夫よ!」
エリスは、今度連絡を入れなければタダでは置かないと言った様子だった。
次は何をするにも必ず連絡しなければならないな。
「触手は置いていく。Ve‘zであることは隠しておきたい」
「...勝てるの? それで...」
「死んだところで、またクローンを使って...」
その時。エリスが席を蹴倒して、僕に掴み掛かる。
反応できたが、出来なかった。
彼女を制圧するのは...
「ダメ。エリアスはもっと、自分を大切にして」
「だが、クローンが...」
「そうやって考えてたら、死が怖くなくなっちゃうわ。死は恐ろしいものよ、決して...軽く考えちゃいけないことなの」
「............」
故郷を失い、家族を失い、親友を失い、僕のせいで第二の故郷まで失った。
そんな彼女が、僕を想って声を掛けてくれた。
それだけで、決意には十分だった。
「では、行こう」
僕はドアを開けて、外へ向けて駆け出すのだった。
「おい、起きろ」
同時刻。
モニカ.........ティニアは、誰かに揺り起こされた。
「ん......」
「起きろ!」
「ここは...はっ!」
ティニアの意識が覚醒し、ティニアは何が起こったかを思い出した。
街を歩いていたところを、防音の袋を被せられて連れ去られたのだ。
「目が覚めたか? 美人の嬢ちゃん」
「ここは...!?」
「俺たちの拠点さ。あんたはこれから商品になるわけだ」
男は下卑た笑みを浮かべ、縛られたティニアの肢体を舐め回すように見る。
「わ、私を誰だと思って...」
「ハッハッハ、そんなものは、国境を越えて仕舞えば関係ないのさ」
「助けてっ!! 誰か助けてーっ!」
ティニアは叫ぶが、沈黙以外返ってこなかった。
本来であれば、警備システムが異常を検知する筈なのに、である。
「へっへっへ、無駄だ。ここら一帯は俺たちの縄張りなんでね」
ティニアはそれで状況を理解した。
国内に何グループか存在する、マフィアの一団に捕まったのだと。
彼らは地元の管理者と結託して、警備システムや監視システムの目を誤魔化して活動することが非常に多い。
「.........」
「心配するな、もう少しでクスリが届く。それを打てば、お前も立派な愛玩奴隷だ」
「(嫌だ...誰か、助けて...)」
ティニアは邪悪な笑いを浮かべる男を見ながら、ただ強く助けを求めるのだった。
エリスに、二日もどこをほっつき歩いていたのかと。
「もう、聞いてる?」
「.....悪かった」
それはもうしっかり怒られた。
数時間も掛けて。
「大体、連絡なんていつでもできるでしょう? まさか、本当に男遊びを....」
「....いや、通信のしようがない場所にいた」
「そ、そうなの...」
あの基地では、精神ネットワークの帯域を切り替えていたので通信が出来なかった。
その後は.....普通に忘れていた。
「....ところで、僕に子供がいると言っ――――」
「嘘!? 信じられないっ!」
「.....例えばの話だ」
「そうよね!」
エリスは皿の上の肉に、乱暴にフォークを突き刺した。
これでは、ニト達の話などできるはずがない。
困った......
そう思っていた僕だったが、唐突にエリスの通信端末が音を立てる。
「なんだ?」
『――――エリアス殿はいるか!?』
この声は.......多分、ジンとか名乗っていた男だな。
何かあったのか?
「なんだ?」
『モニカはそちらに来ていないか!?』
「.....来てはいないが、どうした?」
『......昨日から戻ら....戻っていないのですよ』
......ということは、誘拐か、殺人事件に巻き込まれたわけか。
『端末も置いて来てしまっているので、私ではどうすることもできないのです。ですが、どうにもできないのはそちらも一緒です、どうか....気をつけてください』
「ああ」
僕は端末のディスプレイをタッチして、通話を切った。
即座にエリガードとの相互通信で、地上のスキャンを行う。
モニカには出会ったときにタグを付与したから、簡単に探す事が出来る。
「.........見つけた」
「エリアス、行くの?」
「ああ...済まないが、朝食は...」
「私が食べておくから大丈夫よ!」
エリスは、今度連絡を入れなければタダでは置かないと言った様子だった。
次は何をするにも必ず連絡しなければならないな。
「触手は置いていく。Ve‘zであることは隠しておきたい」
「...勝てるの? それで...」
「死んだところで、またクローンを使って...」
その時。エリスが席を蹴倒して、僕に掴み掛かる。
反応できたが、出来なかった。
彼女を制圧するのは...
「ダメ。エリアスはもっと、自分を大切にして」
「だが、クローンが...」
「そうやって考えてたら、死が怖くなくなっちゃうわ。死は恐ろしいものよ、決して...軽く考えちゃいけないことなの」
「............」
故郷を失い、家族を失い、親友を失い、僕のせいで第二の故郷まで失った。
そんな彼女が、僕を想って声を掛けてくれた。
それだけで、決意には十分だった。
「では、行こう」
僕はドアを開けて、外へ向けて駆け出すのだった。
「おい、起きろ」
同時刻。
モニカ.........ティニアは、誰かに揺り起こされた。
「ん......」
「起きろ!」
「ここは...はっ!」
ティニアの意識が覚醒し、ティニアは何が起こったかを思い出した。
街を歩いていたところを、防音の袋を被せられて連れ去られたのだ。
「目が覚めたか? 美人の嬢ちゃん」
「ここは...!?」
「俺たちの拠点さ。あんたはこれから商品になるわけだ」
男は下卑た笑みを浮かべ、縛られたティニアの肢体を舐め回すように見る。
「わ、私を誰だと思って...」
「ハッハッハ、そんなものは、国境を越えて仕舞えば関係ないのさ」
「助けてっ!! 誰か助けてーっ!」
ティニアは叫ぶが、沈黙以外返ってこなかった。
本来であれば、警備システムが異常を検知する筈なのに、である。
「へっへっへ、無駄だ。ここら一帯は俺たちの縄張りなんでね」
ティニアはそれで状況を理解した。
国内に何グループか存在する、マフィアの一団に捕まったのだと。
彼らは地元の管理者と結託して、警備システムや監視システムの目を誤魔化して活動することが非常に多い。
「.........」
「心配するな、もう少しでクスリが届く。それを打てば、お前も立派な愛玩奴隷だ」
「(嫌だ...誰か、助けて...)」
ティニアは邪悪な笑いを浮かべる男を見ながら、ただ強く助けを求めるのだった。
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