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シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線
114-養子縁組(×100?)
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下へ下へと降りていった僕は、ついに遺跡の最下層へと辿り着く。
扉が開き、通路に少しずつ灯りが点灯していく。
「ここの電力はどうやって?」
『相転移システムを使い、衛星側の重力圧発電から送電している』
「成程」
電力送信はVe‘zもやっているが、そんな面倒な方法ではなく双方向型ワームホールで直接転送していた。
それよりも、周囲の金属だ。
既知の物質組成を確認できない、つまりVe’zにとって完全に未知の金属となる。
それについて聞きたかったが、答える側にも選ぶ権利はあるだろう。
AIよりも人間に聞いた方が早い。
「どれほど歩けばいい?」
『そう長くは。ここは最終防衛ラインゆえに、長く遮蔽物を置きやすいように作られているので』
ということは、そこに追い込まれるような事があったのか?
そう思いつつ、僕はずっと奥まで歩き続けた。
そして、最終的に白い門へと辿り着く。
「これは?」
『今開く』
再び消滅するように扉が消え、僕は三重扉を潜ってその先の空間へと向かう。
その先には...深く暗い闇が広がっていた。
照明が点灯し、ここに何があるかが明らかとなる。
答えは床の下にあった。
透明な床の下には更に広大な部屋があり、夥しい数のクローンが横たわっていたのだ。
エリスがいたら、絶叫して気絶したかもしれない。
それだけ、ショッキングな光景だ。
「オリジナルはどれだ?」
『分からない、生命維持管理装置を修理しないことには...パーツはこちらで準備してある、送信した手順通りに頼む』
「ああ」
僕は目の前にある、意味深な装置に近づく。
手を触れると、装置のカバーが開いた。
『上から二番目の基盤に異常がある。交換されたし』
「承知した」
慎重に基盤を外す。
すると、基盤に浮かぶ紋様パターンに乱れが走っているのが見えた。
どういう技術かはわからないが、正しい基盤の紋様に乱れはないため、これを再度挿入すればいいのだろう。
基盤を設置すると、呆気なく異常が治ったようで、手を離した瞬間にカバーが元に戻った。
『このような些細な異常を、十数億年も...感謝する、異邦の者よ』
「御託はいい、どうやって下に降りる?」
『扉を開こう』
入ってきた入り口のすぐ横に扉が現れ、すぐに消える。
その先に空いた穴に僕が入ると、床が降りていくのを感じた。
『そこの石板が端末だ。既にリンクは構築されているゆえ、停止して貰えると助かる』
クローン室に降りた僕は、巨大な稼働音の中にいた。
ネオンライトの側にいるような、不気味な重低音がクローン貯蔵施設から響いているのだ。
すぐに端末にアクセスして、停止させる。
「.........」
『.........』
全てのクローンポッドが開き、僕らは結果を見守る。
結果として、驚くべきことが起こった。
全てのクローンポッドから、同時にクローンが起き上がったのだ。
「これは?」
『不明。未知の事態。異常事態』
「だが、話しかけてみないことには始まらないな」
恐らくマインドリンクも可能なはずだ。
僕は全員に対して精神同調を仕掛け、返答を確かめる。
だが、返ってきたのは無反応か、一人分の困惑だけだった。
『話せるか?』
『えと...僕は...いや、私...? 俺か...』
何か言葉に困っている様子の一人に、僕は話しかける。
『お前が司令官か?』
「...その回答に対する有効な回答を、小生は持たないのだがね」
驚いたことに、肉声で返してきた。
「どういう事だ?」
「吾輩の記憶は失われてしまったようだ。うむむ、この光景はなんだね?」
「お前がこの施設の権限者であると、ここの制御者から聞いたが」
「うむむ。我がそうなのであれば、恐らくそうだと回答する」
どうにも、会話に困る。
彼女は記憶を喪失しているのか、自分の人格に自分で驚いているかのような喋り方をするのだ。
『お目覚めですか、司令官!』
「ああ...君は誰かね?」
『イナヅマノカミ6型、基地管理人工知性システムです』
イナヅマノカミは恐らく、言語が翻訳された結果だろう。
向こうの言語での雷神の名前だ。
「うむむ...思い出せん。仕方あるまい、名もなき人」
「エリアスだ」
「エリアス、君の指揮下に入ろう。吾輩とこの分身達を助けてはくれないか? 差し出せるものは...よく分からんが、この基地ごとやる」
『わかりました。指揮権を委譲いたします』
...というわけで、僕の意見は珍しく聞き入れて貰えず、僕は知らずに数百人の養子を抱える羽目になったのであった。
扉が開き、通路に少しずつ灯りが点灯していく。
「ここの電力はどうやって?」
『相転移システムを使い、衛星側の重力圧発電から送電している』
「成程」
電力送信はVe‘zもやっているが、そんな面倒な方法ではなく双方向型ワームホールで直接転送していた。
それよりも、周囲の金属だ。
既知の物質組成を確認できない、つまりVe’zにとって完全に未知の金属となる。
それについて聞きたかったが、答える側にも選ぶ権利はあるだろう。
AIよりも人間に聞いた方が早い。
「どれほど歩けばいい?」
『そう長くは。ここは最終防衛ラインゆえに、長く遮蔽物を置きやすいように作られているので』
ということは、そこに追い込まれるような事があったのか?
そう思いつつ、僕はずっと奥まで歩き続けた。
そして、最終的に白い門へと辿り着く。
「これは?」
『今開く』
再び消滅するように扉が消え、僕は三重扉を潜ってその先の空間へと向かう。
その先には...深く暗い闇が広がっていた。
照明が点灯し、ここに何があるかが明らかとなる。
答えは床の下にあった。
透明な床の下には更に広大な部屋があり、夥しい数のクローンが横たわっていたのだ。
エリスがいたら、絶叫して気絶したかもしれない。
それだけ、ショッキングな光景だ。
「オリジナルはどれだ?」
『分からない、生命維持管理装置を修理しないことには...パーツはこちらで準備してある、送信した手順通りに頼む』
「ああ」
僕は目の前にある、意味深な装置に近づく。
手を触れると、装置のカバーが開いた。
『上から二番目の基盤に異常がある。交換されたし』
「承知した」
慎重に基盤を外す。
すると、基盤に浮かぶ紋様パターンに乱れが走っているのが見えた。
どういう技術かはわからないが、正しい基盤の紋様に乱れはないため、これを再度挿入すればいいのだろう。
基盤を設置すると、呆気なく異常が治ったようで、手を離した瞬間にカバーが元に戻った。
『このような些細な異常を、十数億年も...感謝する、異邦の者よ』
「御託はいい、どうやって下に降りる?」
『扉を開こう』
入ってきた入り口のすぐ横に扉が現れ、すぐに消える。
その先に空いた穴に僕が入ると、床が降りていくのを感じた。
『そこの石板が端末だ。既にリンクは構築されているゆえ、停止して貰えると助かる』
クローン室に降りた僕は、巨大な稼働音の中にいた。
ネオンライトの側にいるような、不気味な重低音がクローン貯蔵施設から響いているのだ。
すぐに端末にアクセスして、停止させる。
「.........」
『.........』
全てのクローンポッドが開き、僕らは結果を見守る。
結果として、驚くべきことが起こった。
全てのクローンポッドから、同時にクローンが起き上がったのだ。
「これは?」
『不明。未知の事態。異常事態』
「だが、話しかけてみないことには始まらないな」
恐らくマインドリンクも可能なはずだ。
僕は全員に対して精神同調を仕掛け、返答を確かめる。
だが、返ってきたのは無反応か、一人分の困惑だけだった。
『話せるか?』
『えと...僕は...いや、私...? 俺か...』
何か言葉に困っている様子の一人に、僕は話しかける。
『お前が司令官か?』
「...その回答に対する有効な回答を、小生は持たないのだがね」
驚いたことに、肉声で返してきた。
「どういう事だ?」
「吾輩の記憶は失われてしまったようだ。うむむ、この光景はなんだね?」
「お前がこの施設の権限者であると、ここの制御者から聞いたが」
「うむむ。我がそうなのであれば、恐らくそうだと回答する」
どうにも、会話に困る。
彼女は記憶を喪失しているのか、自分の人格に自分で驚いているかのような喋り方をするのだ。
『お目覚めですか、司令官!』
「ああ...君は誰かね?」
『イナヅマノカミ6型、基地管理人工知性システムです』
イナヅマノカミは恐らく、言語が翻訳された結果だろう。
向こうの言語での雷神の名前だ。
「うむむ...思い出せん。仕方あるまい、名もなき人」
「エリアスだ」
「エリアス、君の指揮下に入ろう。吾輩とこの分身達を助けてはくれないか? 差し出せるものは...よく分からんが、この基地ごとやる」
『わかりました。指揮権を委譲いたします』
...というわけで、僕の意見は珍しく聞き入れて貰えず、僕は知らずに数百人の養子を抱える羽目になったのであった。
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