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シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線
112-謎の遺跡
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林道を進んだ僕らは、見慣れない様式の遺跡へと辿り着いた。
あまりに長い年月が経過しているせいか、遺跡は木々に飲み込まれていた。
「わぁ.........凄いわね」
「だが、バックストーリーが分からないな...」
Ve’zのデータベースにも存在しない。
相当古い文明なのか?
『この遺跡は、16億年前に存在した文明の遺跡です。近年まで樹によって覆われており、この島は何もないただの島だと思われていました』
「....成程」
『当時はドーム状の枝に包まれており、その枝から生えた葉により完全に覆い隠されていました。しかしながら、近年発生したオーベルン神聖連合による攻撃で葉が一部吹き飛び、ドームの存在が明らかになりました』
「攻撃?」
エリスが不思議そうにする。
それについては、僕が詳細を知っている。
「(エリス、あとで教えよう)」
「え? う、うん。分かったわ」
オーベルン神聖連合の攻撃によって、この星の上空を飛んでいた帰りの旅客船が撃墜され、それが沖に着水して大爆発、沿岸部に甚大な被害を与えた事件の事だ。
だが、ガイドボールに聞いたところで情報が得られるはずもなく、国内の関係者以外知らないはずの話を僕らが知っているのもおかしい。
「進もう」
「ええ」
『この遺跡は広大ですが、その構造は地上四層、地下二層となっています』
「観光可能なエリアは?」
『地上のみです。地下はまだ調査中のエリアが存在し、崩落もしくは落盤の可能性があるため、安全を考慮し立ち入りが許可されておりません』
そうだろうな。
隠してあるエリガードのセンサーによって、この遺跡が地下数十階分あることが分かっている。
後で訪れてみるか。
「ちょっと、暑いし....中に行きましょ」
「そうだな」
遺跡を覆っていた樹のドームはもうなく、上からは日差しが差し込んできている。
現在夏まっ盛りのパターの気候では、エリスには熱いはずだ。
「遺跡内で飲食は?」
『入り口であれば可能です、平均気温が31℃のため、適切な水分補給が必要です』
僕たちは遺跡内に移動し、持ってきたミネラルウォーターを二人でそれぞれ飲む。
僕は不要だけれど、一応飲んでおく。
『16億年前に存在した遺跡とはいえ、文明の情報はありません。それ故に、この遺跡内の文字は解読不能であり、現在も読み解くすべは見つかっていません』
「......エリアス?」
「いや、無理だな」
内部に進んだ僕たちは、照明で照らされた壁画や天井画を見る。
エリガードを通して書架にアクセスしていたが、どの文明の言語パターンとも一致しない。
心の中のエリアスが目を輝かせるのが見えるようだ。
Ve’zの性質上、知らない情報は手に入れたがるものだ。
『こちらが、彼らの死生観を描いたとされる壁画です。ただし、一部が損壊しているため、その全貌を知ることは現在において不可能です』
「........ん?」
腕を組んで眠っている人間が入った棺が、無数に並んでいる。
だが、様子がおかしい。
棺というよりは、カプセルのようにも見えた。
Ve’z基準のクローンカプセルに似ている。
「(Ve’zの記録にない、上位文明だと?)」
何故そんなものが、よりによってクロペル共和国にあるのだろうか?
『では、これにて遺跡観光は終了となります』
謎を残したまま、遺跡観光は終了した。
これからは、調査の時間だ。
あまりに長い年月が経過しているせいか、遺跡は木々に飲み込まれていた。
「わぁ.........凄いわね」
「だが、バックストーリーが分からないな...」
Ve’zのデータベースにも存在しない。
相当古い文明なのか?
『この遺跡は、16億年前に存在した文明の遺跡です。近年まで樹によって覆われており、この島は何もないただの島だと思われていました』
「....成程」
『当時はドーム状の枝に包まれており、その枝から生えた葉により完全に覆い隠されていました。しかしながら、近年発生したオーベルン神聖連合による攻撃で葉が一部吹き飛び、ドームの存在が明らかになりました』
「攻撃?」
エリスが不思議そうにする。
それについては、僕が詳細を知っている。
「(エリス、あとで教えよう)」
「え? う、うん。分かったわ」
オーベルン神聖連合の攻撃によって、この星の上空を飛んでいた帰りの旅客船が撃墜され、それが沖に着水して大爆発、沿岸部に甚大な被害を与えた事件の事だ。
だが、ガイドボールに聞いたところで情報が得られるはずもなく、国内の関係者以外知らないはずの話を僕らが知っているのもおかしい。
「進もう」
「ええ」
『この遺跡は広大ですが、その構造は地上四層、地下二層となっています』
「観光可能なエリアは?」
『地上のみです。地下はまだ調査中のエリアが存在し、崩落もしくは落盤の可能性があるため、安全を考慮し立ち入りが許可されておりません』
そうだろうな。
隠してあるエリガードのセンサーによって、この遺跡が地下数十階分あることが分かっている。
後で訪れてみるか。
「ちょっと、暑いし....中に行きましょ」
「そうだな」
遺跡を覆っていた樹のドームはもうなく、上からは日差しが差し込んできている。
現在夏まっ盛りのパターの気候では、エリスには熱いはずだ。
「遺跡内で飲食は?」
『入り口であれば可能です、平均気温が31℃のため、適切な水分補給が必要です』
僕たちは遺跡内に移動し、持ってきたミネラルウォーターを二人でそれぞれ飲む。
僕は不要だけれど、一応飲んでおく。
『16億年前に存在した遺跡とはいえ、文明の情報はありません。それ故に、この遺跡内の文字は解読不能であり、現在も読み解くすべは見つかっていません』
「......エリアス?」
「いや、無理だな」
内部に進んだ僕たちは、照明で照らされた壁画や天井画を見る。
エリガードを通して書架にアクセスしていたが、どの文明の言語パターンとも一致しない。
心の中のエリアスが目を輝かせるのが見えるようだ。
Ve’zの性質上、知らない情報は手に入れたがるものだ。
『こちらが、彼らの死生観を描いたとされる壁画です。ただし、一部が損壊しているため、その全貌を知ることは現在において不可能です』
「........ん?」
腕を組んで眠っている人間が入った棺が、無数に並んでいる。
だが、様子がおかしい。
棺というよりは、カプセルのようにも見えた。
Ve’z基準のクローンカプセルに似ている。
「(Ve’zの記録にない、上位文明だと?)」
何故そんなものが、よりによってクロペル共和国にあるのだろうか?
『では、これにて遺跡観光は終了となります』
謎を残したまま、遺跡観光は終了した。
これからは、調査の時間だ。
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