112 / 200
シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線
112-謎の遺跡
しおりを挟む
林道を進んだ僕らは、見慣れない様式の遺跡へと辿り着いた。
あまりに長い年月が経過しているせいか、遺跡は木々に飲み込まれていた。
「わぁ.........凄いわね」
「だが、バックストーリーが分からないな...」
Ve’zのデータベースにも存在しない。
相当古い文明なのか?
『この遺跡は、16億年前に存在した文明の遺跡です。近年まで樹によって覆われており、この島は何もないただの島だと思われていました』
「....成程」
『当時はドーム状の枝に包まれており、その枝から生えた葉により完全に覆い隠されていました。しかしながら、近年発生したオーベルン神聖連合による攻撃で葉が一部吹き飛び、ドームの存在が明らかになりました』
「攻撃?」
エリスが不思議そうにする。
それについては、僕が詳細を知っている。
「(エリス、あとで教えよう)」
「え? う、うん。分かったわ」
オーベルン神聖連合の攻撃によって、この星の上空を飛んでいた帰りの旅客船が撃墜され、それが沖に着水して大爆発、沿岸部に甚大な被害を与えた事件の事だ。
だが、ガイドボールに聞いたところで情報が得られるはずもなく、国内の関係者以外知らないはずの話を僕らが知っているのもおかしい。
「進もう」
「ええ」
『この遺跡は広大ですが、その構造は地上四層、地下二層となっています』
「観光可能なエリアは?」
『地上のみです。地下はまだ調査中のエリアが存在し、崩落もしくは落盤の可能性があるため、安全を考慮し立ち入りが許可されておりません』
そうだろうな。
隠してあるエリガードのセンサーによって、この遺跡が地下数十階分あることが分かっている。
後で訪れてみるか。
「ちょっと、暑いし....中に行きましょ」
「そうだな」
遺跡を覆っていた樹のドームはもうなく、上からは日差しが差し込んできている。
現在夏まっ盛りのパターの気候では、エリスには熱いはずだ。
「遺跡内で飲食は?」
『入り口であれば可能です、平均気温が31℃のため、適切な水分補給が必要です』
僕たちは遺跡内に移動し、持ってきたミネラルウォーターを二人でそれぞれ飲む。
僕は不要だけれど、一応飲んでおく。
『16億年前に存在した遺跡とはいえ、文明の情報はありません。それ故に、この遺跡内の文字は解読不能であり、現在も読み解くすべは見つかっていません』
「......エリアス?」
「いや、無理だな」
内部に進んだ僕たちは、照明で照らされた壁画や天井画を見る。
エリガードを通して書架にアクセスしていたが、どの文明の言語パターンとも一致しない。
心の中のエリアスが目を輝かせるのが見えるようだ。
Ve’zの性質上、知らない情報は手に入れたがるものだ。
『こちらが、彼らの死生観を描いたとされる壁画です。ただし、一部が損壊しているため、その全貌を知ることは現在において不可能です』
「........ん?」
腕を組んで眠っている人間が入った棺が、無数に並んでいる。
だが、様子がおかしい。
棺というよりは、カプセルのようにも見えた。
Ve’z基準のクローンカプセルに似ている。
「(Ve’zの記録にない、上位文明だと?)」
何故そんなものが、よりによってクロペル共和国にあるのだろうか?
『では、これにて遺跡観光は終了となります』
謎を残したまま、遺跡観光は終了した。
これからは、調査の時間だ。
あまりに長い年月が経過しているせいか、遺跡は木々に飲み込まれていた。
「わぁ.........凄いわね」
「だが、バックストーリーが分からないな...」
Ve’zのデータベースにも存在しない。
相当古い文明なのか?
『この遺跡は、16億年前に存在した文明の遺跡です。近年まで樹によって覆われており、この島は何もないただの島だと思われていました』
「....成程」
『当時はドーム状の枝に包まれており、その枝から生えた葉により完全に覆い隠されていました。しかしながら、近年発生したオーベルン神聖連合による攻撃で葉が一部吹き飛び、ドームの存在が明らかになりました』
「攻撃?」
エリスが不思議そうにする。
それについては、僕が詳細を知っている。
「(エリス、あとで教えよう)」
「え? う、うん。分かったわ」
オーベルン神聖連合の攻撃によって、この星の上空を飛んでいた帰りの旅客船が撃墜され、それが沖に着水して大爆発、沿岸部に甚大な被害を与えた事件の事だ。
だが、ガイドボールに聞いたところで情報が得られるはずもなく、国内の関係者以外知らないはずの話を僕らが知っているのもおかしい。
「進もう」
「ええ」
『この遺跡は広大ですが、その構造は地上四層、地下二層となっています』
「観光可能なエリアは?」
『地上のみです。地下はまだ調査中のエリアが存在し、崩落もしくは落盤の可能性があるため、安全を考慮し立ち入りが許可されておりません』
そうだろうな。
隠してあるエリガードのセンサーによって、この遺跡が地下数十階分あることが分かっている。
後で訪れてみるか。
「ちょっと、暑いし....中に行きましょ」
「そうだな」
遺跡を覆っていた樹のドームはもうなく、上からは日差しが差し込んできている。
現在夏まっ盛りのパターの気候では、エリスには熱いはずだ。
「遺跡内で飲食は?」
『入り口であれば可能です、平均気温が31℃のため、適切な水分補給が必要です』
僕たちは遺跡内に移動し、持ってきたミネラルウォーターを二人でそれぞれ飲む。
僕は不要だけれど、一応飲んでおく。
『16億年前に存在した遺跡とはいえ、文明の情報はありません。それ故に、この遺跡内の文字は解読不能であり、現在も読み解くすべは見つかっていません』
「......エリアス?」
「いや、無理だな」
内部に進んだ僕たちは、照明で照らされた壁画や天井画を見る。
エリガードを通して書架にアクセスしていたが、どの文明の言語パターンとも一致しない。
心の中のエリアスが目を輝かせるのが見えるようだ。
Ve’zの性質上、知らない情報は手に入れたがるものだ。
『こちらが、彼らの死生観を描いたとされる壁画です。ただし、一部が損壊しているため、その全貌を知ることは現在において不可能です』
「........ん?」
腕を組んで眠っている人間が入った棺が、無数に並んでいる。
だが、様子がおかしい。
棺というよりは、カプセルのようにも見えた。
Ve’z基準のクローンカプセルに似ている。
「(Ve’zの記録にない、上位文明だと?)」
何故そんなものが、よりによってクロペル共和国にあるのだろうか?
『では、これにて遺跡観光は終了となります』
謎を残したまま、遺跡観光は終了した。
これからは、調査の時間だ。
10
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる