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シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線
111-自然の中で
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翌日。
僕とエリスは、街の外れにある港へ来ていた。
「どうやら、ここで料金を払って乗るようだ」
「ふうん、船頭さんがいるわけじゃないのね」
ここの海の沖には島があり、そこには遺跡が残されているそうだ。
しかし、街からは繋がっておらず、ではどうやって向かうのかと言えば、こうして町はずれの港で、小舟に乗って向かうのだ。
「......先に乗れ。恐らく、乗ってから操作するタイプだ」
「分かったわ」
エリスと僕は、カヌーのような形状の船に乗り込んで、船べりの操作盤を操作した。
直後、何かが外れるような音とともに、船は海の上を滑り始めた。
環境音を妨害しないように、エンジン音は出来る限り抑制されているようだ。
「海っていいわね....」
「そう、だな....」
船の速度は遅いのだが、空を飛ぶ鳥や流れる雲を楽しむという面ではエンターテイメントとして成立している。
惑星に居住する人間の方が少ないこの世界では、確実にアトラクションとして楽しめるのだろう。
僕も、必要最低限の場所にしか行かなかったので、こういうものは新鮮だ。
「釣り、とかもできるのかしら?」
「確か、港の方にレンタルサービスがあった筈だ」
「やった事ないのだけれど、ガイドとかいればいいわね」
僕が教えようかと思ったが、知識だけでものを行うと痛い目を見るのは散々経験した。
エリスと一緒にやって、覚えてみよう。
「あ、もうすぐ着くわよ!」
「結構早いんだな」
エンジン音が静かでこの速度。
やはり、前世とは技術力が隔絶しているようだ。
僕は刻々と迫ってくる島をじっと見ていた。
島に上陸すると、僕たちの前にガイドのホログラムが表示された。
『本島は環境保護エリアに指定されております。このエリア内でポイ捨てや破壊行為などを行った場合、罰金または禁固刑に処される可能性があります。くれぐれもお気を付けください』
「だって、エリアス」
「捨てるようなゴミも、何かを壊す理由もない。留意する程度でいいだろう」
「そうね」
島への入り口のゲートの横には、球体の何かが浮いていた。
『ガイドボールを使用いたしますか? お散歩コースや、観光スポットのご案内、解説などがご利用できます』
「使いましょう」
「ああ、そうだな」
ガイドボールは反重力制御で、僕たちについてくる。
ガイドコースを外れないように、ホログラムで矢印が誘導してくれていた。
「......それにしても、自然の中というのは...こんなにも情報が多いんだな」
「そうね....」
音、匂い、肌を撫でる風。
気分転換にと、近所の公園に向かうことはあったが、ここまで情報が多かっただろうか?
所詮人間の手の入った自然では、この雰囲気を出すことはできないのかもしれないが。
『ここは嘗て、島民からは死の道と呼ばれていました。現在は隔離の上移植された、毒の胞子を撒くキノコの群生地でした』
「.....」
ガイドボールの案内を聞きながら、僕たちは進む。
そのうちに、苔むしたオブジェのある広場にたどり着いた。
『この場所はエーガの在る場所と呼ばれ、死の道の先にある海へ死者を送る場所とされていました、この像はエーガという、彼らの神のような概念の総称です』
「ねえ、エリアス――――死んだ人間はどこに行くのかしら」
「....分からないな、転生するのか?」
僕がまさにその例だった。
だが、一度しか経験したことがない事象を、観測したと言い張るのは間違っている。
他の転生者に出会えれば、転生説は立証できるのだが。
僕たちはそんなとめどの無い会話を続けながら、林道を歩いていくのだった。
僕とエリスは、街の外れにある港へ来ていた。
「どうやら、ここで料金を払って乗るようだ」
「ふうん、船頭さんがいるわけじゃないのね」
ここの海の沖には島があり、そこには遺跡が残されているそうだ。
しかし、街からは繋がっておらず、ではどうやって向かうのかと言えば、こうして町はずれの港で、小舟に乗って向かうのだ。
「......先に乗れ。恐らく、乗ってから操作するタイプだ」
「分かったわ」
エリスと僕は、カヌーのような形状の船に乗り込んで、船べりの操作盤を操作した。
直後、何かが外れるような音とともに、船は海の上を滑り始めた。
環境音を妨害しないように、エンジン音は出来る限り抑制されているようだ。
「海っていいわね....」
「そう、だな....」
船の速度は遅いのだが、空を飛ぶ鳥や流れる雲を楽しむという面ではエンターテイメントとして成立している。
惑星に居住する人間の方が少ないこの世界では、確実にアトラクションとして楽しめるのだろう。
僕も、必要最低限の場所にしか行かなかったので、こういうものは新鮮だ。
「釣り、とかもできるのかしら?」
「確か、港の方にレンタルサービスがあった筈だ」
「やった事ないのだけれど、ガイドとかいればいいわね」
僕が教えようかと思ったが、知識だけでものを行うと痛い目を見るのは散々経験した。
エリスと一緒にやって、覚えてみよう。
「あ、もうすぐ着くわよ!」
「結構早いんだな」
エンジン音が静かでこの速度。
やはり、前世とは技術力が隔絶しているようだ。
僕は刻々と迫ってくる島をじっと見ていた。
島に上陸すると、僕たちの前にガイドのホログラムが表示された。
『本島は環境保護エリアに指定されております。このエリア内でポイ捨てや破壊行為などを行った場合、罰金または禁固刑に処される可能性があります。くれぐれもお気を付けください』
「だって、エリアス」
「捨てるようなゴミも、何かを壊す理由もない。留意する程度でいいだろう」
「そうね」
島への入り口のゲートの横には、球体の何かが浮いていた。
『ガイドボールを使用いたしますか? お散歩コースや、観光スポットのご案内、解説などがご利用できます』
「使いましょう」
「ああ、そうだな」
ガイドボールは反重力制御で、僕たちについてくる。
ガイドコースを外れないように、ホログラムで矢印が誘導してくれていた。
「......それにしても、自然の中というのは...こんなにも情報が多いんだな」
「そうね....」
音、匂い、肌を撫でる風。
気分転換にと、近所の公園に向かうことはあったが、ここまで情報が多かっただろうか?
所詮人間の手の入った自然では、この雰囲気を出すことはできないのかもしれないが。
『ここは嘗て、島民からは死の道と呼ばれていました。現在は隔離の上移植された、毒の胞子を撒くキノコの群生地でした』
「.....」
ガイドボールの案内を聞きながら、僕たちは進む。
そのうちに、苔むしたオブジェのある広場にたどり着いた。
『この場所はエーガの在る場所と呼ばれ、死の道の先にある海へ死者を送る場所とされていました、この像はエーガという、彼らの神のような概念の総称です』
「ねえ、エリアス――――死んだ人間はどこに行くのかしら」
「....分からないな、転生するのか?」
僕がまさにその例だった。
だが、一度しか経験したことがない事象を、観測したと言い張るのは間違っている。
他の転生者に出会えれば、転生説は立証できるのだが。
僕たちはそんなとめどの無い会話を続けながら、林道を歩いていくのだった。
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