SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線

109-強者への恭順

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『クロペル共和国側が密談を指定してきたのですか?』

その言葉を聞き、カサンドラは意外そうな顔をした。
何故そのような事をするのか理解できなかったからだ。

『見たかな、カサンドラ。これが我が主の計略だよ』

そしてそれを、ケルビスは称賛した。
訳の分からないといった様子のカサンドラに、ケルビスは説明を行う。

『私たちは自由に攻撃が出来ない、だがそれに、クロペル共和国側は気づいたんだよ。攻撃さえしなければ反撃されない。それはつまり、オルダモン連邦に警戒されないためには、味方を生贄に捧げなければならないんだ』
『つまり、オルダモン連邦を裏切るという事ですか?』
『そうだ。彼らはオルダモン連邦を裏切って、仲間を守る事にしたのだよ』

そして同時に、カサンドラもケルビスも気づいていた。
この密談には、クロペル側の今後も掛かっていると。

『しかし.......エリアス様がいらっしゃいませんね』
『私が旅行に行くように仕向けましたからね、その邪魔をするのもいかがなものです。私が交渉に応じましょう』
『.......まさか、このために.....?』

ケルビスはにやりと笑う。

『いえいえ、そのような事は。あまりに不敬でしょう?』
『.....私も同席しましょう』

カサンドラはケルビスの暴走を抑えるために、自分もその席に同席することを誓ったのだった。






「緊張するね」
「そのためのこの立地ですから」

その頃、モニカ.......ではなくティニアと、ジン....ではなくジアンは、モニターを前に正装をしていた。
Ve’zとの密談に、観光客の出払ったパター星系を指定し、オルダモン連邦とVe’zのどちらかに攻撃されても、被害が出ないように配慮したのだ。

「でも、もし攻撃されたら.....」
「きっとあの方たちですから、すぐに脱出されるでしょう」

ティニアは昼間に出会った二人の観光客の事を思い出していた。

「綺麗な人たちだったね」
「そうですね」

ジアンは特に恋愛感情を持つような人間ではないが、昼間に会ったエリアスという女性に対しては、一種の感嘆のようなものを覚えていた。

「なに? 恋しちゃった?」
「そのような事はありません。彫刻のような女性でしたが、私は常に中立ですので」
「そう、なんだ」

ティニアはそれだけ言うと、モニターを見た。
秘匿回線で連絡をしたいとメッセージを送っただけなのだが、本当に来るのか疑問だった。
だが。

「な、何!?」
『シ.....ラー.......2...b』

モニターがグリッチし、文字化けが発生する。
それら全てが収まった時。
二人は白い空間にいた。

「な....!?」

二人の前には相変わらずモニターがあるものの、画面には何も映ってはいない。
当たり前である、通信システムはマインドリンクのツールとして使われただけなのだから。

『貴方達が、クロペル共和国の首脳で間違いありませんか?』

そして、白い空間から出現した女性が、二人に問いかけた。
ジアンは彼女を見ると同時に、昼間に出会った女性を連想した。

「.......私は側近に過ぎません、こちらの御方がティニア・ルクシャ・クロンペリャ.....正統なるクロペル共和国の継承者です」
『それで』

その時、もう一人の男が現れた。
こちらも不自然なほどに整った顔、青白い肌、銀髪とVe’z人の特徴を持っていた。

『人間如きが、我々に何の用事かな』
「.......」

その威圧感に、ジアンは硬直する。
だが、ティニアは揺らがずに口を開く。

「同盟を結びたいのです」
『オルダモン連邦を裏切ると?』
「..............国民の命には、替えられません」

ティニアは複雑な内心を隠して、そう言ったのだった。
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