105 / 200
シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線
105-気づき
しおりを挟む
その頃。
クロペル共和国側の旗艦では、一人の男が狼狽えていた。
その名はアベル・ジオクリフ総督。
「どういうことだ、何故オルダモンは撤退する!?」
「そ、それが....オルダモンからは撤退の支援をせよ.....と!」
「我らを捨て駒に使う気か!」
アベルは怒り狂う。
だが、実際に宙域に取り残されたのはクロペル共和国であり、それを見逃してくれるほどVe’zは優しくないだろう。
「.....だが、妙だ。オルダモン艦隊は大損害を受けたというのに、何故我らには撃ってこない? 取るに足らない相手だとでも思われているのか?」
『つべこべ言わずに撃ってみましょうぜ! 総督!』
「ま、待て!」
その時、艦隊の中の一隻が発砲する。
直後、その船は光線に貫かれて撃沈された。
『あ、アベル様ぁあああ!』
「くっ――――落ち着け! 皆、落ちつけ!!」
アベルの一喝で、数隻は反撃をしなかったものの、艦隊のほとんどの船は、即座に反撃に転じた。
間に合わず、それらも反撃を受け、攻撃を届かせることなく沈んだ。
「総督、我々も!」
「待て! 我々は近づく以外何もしなかったのだ――――つまり、この場は、待機だ!」
アベルの言う通り、艦隊は待機し続ける。
その間も、撃ってしまった艦船は攻撃を受け続け、そして瞬く間に全滅した。
だが、撃たなかったアベルの旗艦を含めた数隻は、砲火に晒されることはなかった。
「一体.....?」
「敵は、我々の相手をする気など、みじんもなかったという事か....」
アベルは素早く理解した。
撃てば反撃されるが、撃たなければ反撃されない。
敵意があっても、害を与えるような行動をしなければ生き残れるのである。
「これは.....あまりに恐ろしい事実だな」
最強の艦船を持つVe’z相手では、生き残るのは難しい。
そんな中、彼らが――――「撃たなかった船は生きて帰そう」などとその身をもって示せば。
命を賭してまでVe’zを撃とうとする艦など一隻もいなくなってしまう。
「これは全体の士気にかかわる問題だ、早急に帰還する」
「分かりました、艦隊の目的地はノーヴォオルダではなく、クロンシスタ....我々の故郷へ向けよ!」
「はっ!!」
クロペル艦隊は、ゲートへと転進する。
そしてそれを、Ve’z艦隊は静かに見守っていた。
『キロマイア皇国艦隊から、なぜ彼らを見逃したのかと苦情が来ております』
「無視しろ。これは僕たちの誓いであり、同時に人間に広める毒でもある」
エリアスは、キロマイアからの苦情を無視した。
その傍で、カサンドラがにこにこ笑っていた。
後で何かしらの損害をキロマイアに与える気なのだ。
「(我々に対し”苦情”等と.....懇願であるべきです)」
と、彼女は考えていたのだった。
クロペル共和国側の旗艦では、一人の男が狼狽えていた。
その名はアベル・ジオクリフ総督。
「どういうことだ、何故オルダモンは撤退する!?」
「そ、それが....オルダモンからは撤退の支援をせよ.....と!」
「我らを捨て駒に使う気か!」
アベルは怒り狂う。
だが、実際に宙域に取り残されたのはクロペル共和国であり、それを見逃してくれるほどVe’zは優しくないだろう。
「.....だが、妙だ。オルダモン艦隊は大損害を受けたというのに、何故我らには撃ってこない? 取るに足らない相手だとでも思われているのか?」
『つべこべ言わずに撃ってみましょうぜ! 総督!』
「ま、待て!」
その時、艦隊の中の一隻が発砲する。
直後、その船は光線に貫かれて撃沈された。
『あ、アベル様ぁあああ!』
「くっ――――落ち着け! 皆、落ちつけ!!」
アベルの一喝で、数隻は反撃をしなかったものの、艦隊のほとんどの船は、即座に反撃に転じた。
間に合わず、それらも反撃を受け、攻撃を届かせることなく沈んだ。
「総督、我々も!」
「待て! 我々は近づく以外何もしなかったのだ――――つまり、この場は、待機だ!」
アベルの言う通り、艦隊は待機し続ける。
その間も、撃ってしまった艦船は攻撃を受け続け、そして瞬く間に全滅した。
だが、撃たなかったアベルの旗艦を含めた数隻は、砲火に晒されることはなかった。
「一体.....?」
「敵は、我々の相手をする気など、みじんもなかったという事か....」
アベルは素早く理解した。
撃てば反撃されるが、撃たなければ反撃されない。
敵意があっても、害を与えるような行動をしなければ生き残れるのである。
「これは.....あまりに恐ろしい事実だな」
最強の艦船を持つVe’z相手では、生き残るのは難しい。
そんな中、彼らが――――「撃たなかった船は生きて帰そう」などとその身をもって示せば。
命を賭してまでVe’zを撃とうとする艦など一隻もいなくなってしまう。
「これは全体の士気にかかわる問題だ、早急に帰還する」
「分かりました、艦隊の目的地はノーヴォオルダではなく、クロンシスタ....我々の故郷へ向けよ!」
「はっ!!」
クロペル艦隊は、ゲートへと転進する。
そしてそれを、Ve’z艦隊は静かに見守っていた。
『キロマイア皇国艦隊から、なぜ彼らを見逃したのかと苦情が来ております』
「無視しろ。これは僕たちの誓いであり、同時に人間に広める毒でもある」
エリアスは、キロマイアからの苦情を無視した。
その傍で、カサンドラがにこにこ笑っていた。
後で何かしらの損害をキロマイアに与える気なのだ。
「(我々に対し”苦情”等と.....懇願であるべきです)」
と、彼女は考えていたのだった。
10
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~
霧氷こあ
SF
フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。
それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?
見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。
「ここは現実であって、現実ではないの」
自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

転生先は美少女パイロットが乗るロボットのAIでした。
美作美琴
ファンタジー
いじめられっ子の少年、瑞基(みずき)は事故死して女神に出会う。
彼女は瑞基を転生させようとするが瑞基はかたくなに拒否。
理由は人間に転生してまたいじめられるのが嫌だから。
しかし実績の為どうしても瑞基を転生させたい女神は瑞基にある提案をする。
それは瑞基を人間ではないもの……科学技術が進歩した世界のAIに転生させるというものだった。
異世界転生はファンタジー世界に転生するだけに在らず……異例のロボ転生、刮目してみよ!!
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

クマ男くんのいる生活
笹椰かな
SF
一人暮らしをしている極度の人見知り会社員・珠美。彼女が家に戻り、「ただいまー」と言うと「おかえりー」と返ってくる。それは決して珠美の幻聴ではなく、人類の叡智によって生み出された玩具から聞こえてきた声なのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる