SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

文字の大きさ
上 下
103 / 200
シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線

103-旧き従者

しおりを挟む
エリスの見つけた、「興味深いもの」。
それは、近寄るとすぐに分かった。

「これは......ノクティラノスか」

砂に半分埋もれていたのは、ノクティラノスの残骸だった。
超巨大なそのボディは、滅んだ都市の中で異様に輝いていた。

「『目覚めよ』......駄目か、完全に動力が死んでいる」

僕は起動コマンドを入力するが、ノクティラノスは起動しない。
予備電力を含め、完全に死んでいるようだ。

「.....中に入るの?」
「少し待て」

僕は周囲をセンサーで確かめた。
生命反応もなし、熱源に異常なし。

「特に問題ないようだ、行こう」
「ええ」

僕たちはノクティラノスの足元付近を調べる。

「かなり旧式だ.....少なくとも五世代ほど前のノクティラノスだな」
「それって、数百万年前のものって事かしら?」
「そうなるな」

エリアスの....僕の両親より前。
そんな時代に放置されたノクティラノスに、僕は不穏なものを感じていた。
古いノクティラノスの仕様書を確認して、入り口を確認する。

「位置が高いな...二人とも、僕の触手に乗れ」
「分かったわ」
「はいっ!」

二人を乗せて、僕はノクティラノスの上部に跳躍した。
足場が悪いので、二人...特にサーシャを下ろすときは慎重になる。
改めて、ノクティラノスが巨大だと実感する。
エリガードはこの99.1倍ほどの大きさであるので、艦船である以上必要な巨大さというものがどういう事か分かる。

「ここが内部へのハッチだが...」

どうしても破壊できそうにないので、僕は内蔵レーザーでハッチの継ぎ目を焼き切る。

「えっ!? エリアス、目からビームが出るの!?」
「あまり使わない機能だからな」

正確には焦点上を起点にして荷電粒子砲のプロセスを行っているだけだ。
僕の眼は人間とは違うので、眩しかったり目が渇くこともない。
ハッチを破壊した僕たちは、内部へと踏み込む。
僕は触手の先から光を出して内部を照らし出す。

「お姉様、エリアス様は目も光るんでしょうか?」
「流石に目は光らないな」
「ありがとうございます!」

サーシャは僕に直接話しかけて来ることはない。
狂っても、恐怖は忘れないのだろう。

「内部に侵食や浸食の兆候はないな、完全に内的要因で死んだようだ」
「奥に行きましょう?」
「ああ」

僕らは奥へと進む。
その先には、中が曇ったカプセルがあった。

「エリス、サーシャ、少し下がれ。有害物質が漏れる可能性がある」
「分かったわ」

僕はカプセルのハッチを破壊する。
中の液体は数万年経っても蒸発しなかったようで、異様な匂いが鼻をつく。

「...どうやら、中身はもうダメのようだ」
「...そう」

遠くから声が聞こえて来た。

「とはいえ、内部メモリーはまだ生きている筈。これはアロウトに持って帰って解析しよう」

流石に義体ではこの巨体を解析するのは効率が悪い。
何より、旧世代型の稼働データも興味深い。
僕は二人と共に地上に降り、タッティラに「解析して欲しいものがある」と送り、ノクティラノスの残骸に手を触れる。
直後、ノクティラノスの残骸はその場から消え去り、後には不自然に広い砂地だけが残った。

「...なんだか、寂しいわね」
「そうか?」
「ずっとここを見守ってたみたいだったから」
「...そうだな」

だが、見つかってしまった以上は仕方がない。
Ve‘zは未知を知ろうとする種族だ。

「帰ろうか?」
「ええ、そうしましょう...サーシャも良いわよね?」
「はいっ!」

こうして、僕達はアロウトへ帰還した。
この滅んだ惑星には、まだまだ僕らの知らない何かが眠っている。
そんな事を、僕は密かに思っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。 何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。 生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える そして気がつけば、広大な牧場を経営していた ※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。 7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。 5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます! 8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

処理中です...