101 / 200
シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線
101-蹂躙する者たち
しおりを挟む
その日、前代未聞の戦争が幕を開けた。
Ve‘z&キロマイア皇国vsオルダモン連邦&クロペル共和国という、悪夢のような戦争が。
「ちょっと、ジアン!」
そして、それに対して怒る人物が一人。
何を隠そう、クロペル共和国の指導者であるティニア女王である。
「何でしょうか、女王様」
「相手がVe’zなんて聞いてないよ...絶対勝てないって!」
ティニアは、側近のジアン・ラエルタに対して怒っていた。
オルダモンの戦争に手を貸すとは言ったが、キロマイアの裏にVe‘zがいた事までは知らなかったようだ。
「しかしそれでも、オーベルン神聖連合との戦いにおいて、オルダモンとの安全保障条約は必須なものです。互いに協力し合う事が重要であるかと」
「それは...」
オーベルン神聖連合は、彼らの神々を信じる者たちが集う集権国家である。
彼らは白い肌以外を邪悪な者に属する悪魔の民族と忌み嫌い、国内から排斥し、クロペル共和国にすら侵略の目を向けている。
「分かってるけど...」
クロペル共和国の戦力は低い。
保有する主力艦の数は少なく、国力自体もオーベルン神聖連合には遠く及ばない。
オルダモンの持つ強大な戦力に縋るしかないのだ。
一応、国内の戦争以外の産業については、他国からも人気があるのだが...
それは、他民族排斥主義のオーベルンには全く躊躇する理由にはならなかった。
「それで、これからどうされるおつもりですか?」
「どうするも何も、参戦すると表明した以上はこちらも戦力を送るよ」
「規模は?」
「さっきの会議で決めた通り。相手がVe‘zでも生き残れるように、最速の船と精鋭を。」
「果たして、生き残れるでしょうか...」
ジアンの疑問は尤もである。
Ve’zは現代の科学技術を遥かに超越した文明であるという伝承は、遍く星々に伝わっている。
それらの攻撃を回避できるとは、到底思えないからだ。
「彼らには死地に向かう事になるという事を周知させて。残りたい者は残って欲しいと伝えて。この戦いに大義はないから、戦いに殉じても、アルセエラは祝福を授けないだろう、って」
アルセエラとは、クロペル共和国で信仰されている戦神である。
クロペラの民達は、アルセエラの加護を受け勇猛果敢に戦うのだ。
「分かりましたが...いつになく弱気ですね?」
「ヴァンデッタ帝国が彼らに滅ぼされてから日が浅いし...」
そう、明確にクロペル共和国を脅かしているのは、ヴァンデッタ帝国の完全消滅である。
強大な力を誇ったヴァンデッタ帝国は、今や星すら存在しない死の領域と化した。
クロペルがそうなるのも時間の問題かもしれないのだ。
「とにかく、できる事をするしかありませんよ」
「分かってるから、ジアンに吐いてるんだよ」
「...そうですか」
ジアンは暫し、女王の愚痴に付き合うのだった。
「クロペル共和国は無視していい」
『ほう...何故そうお考えに?』
僕の答えに、ケルビスが不思議そうに探りを入れてくる。
だが、冷静に考えれば誰でもわかる事だ。
「見ろ。クロペル共和国はかなりオルダモンに国力で劣る上、オーベルン神聖連合と領土を巡って毎度大規模な戦争を行なっている。こちらに脅威となる戦力をオルダモンに送ってくることはないだろう」
『なるほど...では、お見逃しに?』
「いいや、違う」
僕はVe‘zに対して攻撃をする者は、エリスルールに則って殺しても構わないと思っている。
だがしかし、クロペルの動きによっては...そう、利用できる可能性があるのだ。
「彼らがもし全力で来るのなら、ヴァンデッタの二の舞にして然るべきだ。だが、彼らがオルダモンを裏切る選択をするのであれは、僕たちはクロペルを侵略し、掌握する...いいな?」
『承諾いたしました、エリアス様』
今回の反撃戦の旗頭はジェネラスだ。
人間に対しても一定の礼儀を弁える彼であれば、キロマイア皇国ともうまく付き合っていけるだろう。
Ve‘z&キロマイア皇国vsオルダモン連邦&クロペル共和国という、悪夢のような戦争が。
「ちょっと、ジアン!」
そして、それに対して怒る人物が一人。
何を隠そう、クロペル共和国の指導者であるティニア女王である。
「何でしょうか、女王様」
「相手がVe’zなんて聞いてないよ...絶対勝てないって!」
ティニアは、側近のジアン・ラエルタに対して怒っていた。
オルダモンの戦争に手を貸すとは言ったが、キロマイアの裏にVe‘zがいた事までは知らなかったようだ。
「しかしそれでも、オーベルン神聖連合との戦いにおいて、オルダモンとの安全保障条約は必須なものです。互いに協力し合う事が重要であるかと」
「それは...」
オーベルン神聖連合は、彼らの神々を信じる者たちが集う集権国家である。
彼らは白い肌以外を邪悪な者に属する悪魔の民族と忌み嫌い、国内から排斥し、クロペル共和国にすら侵略の目を向けている。
「分かってるけど...」
クロペル共和国の戦力は低い。
保有する主力艦の数は少なく、国力自体もオーベルン神聖連合には遠く及ばない。
オルダモンの持つ強大な戦力に縋るしかないのだ。
一応、国内の戦争以外の産業については、他国からも人気があるのだが...
それは、他民族排斥主義のオーベルンには全く躊躇する理由にはならなかった。
「それで、これからどうされるおつもりですか?」
「どうするも何も、参戦すると表明した以上はこちらも戦力を送るよ」
「規模は?」
「さっきの会議で決めた通り。相手がVe‘zでも生き残れるように、最速の船と精鋭を。」
「果たして、生き残れるでしょうか...」
ジアンの疑問は尤もである。
Ve’zは現代の科学技術を遥かに超越した文明であるという伝承は、遍く星々に伝わっている。
それらの攻撃を回避できるとは、到底思えないからだ。
「彼らには死地に向かう事になるという事を周知させて。残りたい者は残って欲しいと伝えて。この戦いに大義はないから、戦いに殉じても、アルセエラは祝福を授けないだろう、って」
アルセエラとは、クロペル共和国で信仰されている戦神である。
クロペラの民達は、アルセエラの加護を受け勇猛果敢に戦うのだ。
「分かりましたが...いつになく弱気ですね?」
「ヴァンデッタ帝国が彼らに滅ぼされてから日が浅いし...」
そう、明確にクロペル共和国を脅かしているのは、ヴァンデッタ帝国の完全消滅である。
強大な力を誇ったヴァンデッタ帝国は、今や星すら存在しない死の領域と化した。
クロペルがそうなるのも時間の問題かもしれないのだ。
「とにかく、できる事をするしかありませんよ」
「分かってるから、ジアンに吐いてるんだよ」
「...そうですか」
ジアンは暫し、女王の愚痴に付き合うのだった。
「クロペル共和国は無視していい」
『ほう...何故そうお考えに?』
僕の答えに、ケルビスが不思議そうに探りを入れてくる。
だが、冷静に考えれば誰でもわかる事だ。
「見ろ。クロペル共和国はかなりオルダモンに国力で劣る上、オーベルン神聖連合と領土を巡って毎度大規模な戦争を行なっている。こちらに脅威となる戦力をオルダモンに送ってくることはないだろう」
『なるほど...では、お見逃しに?』
「いいや、違う」
僕はVe‘zに対して攻撃をする者は、エリスルールに則って殺しても構わないと思っている。
だがしかし、クロペルの動きによっては...そう、利用できる可能性があるのだ。
「彼らがもし全力で来るのなら、ヴァンデッタの二の舞にして然るべきだ。だが、彼らがオルダモンを裏切る選択をするのであれは、僕たちはクロペルを侵略し、掌握する...いいな?」
『承諾いたしました、エリアス様』
今回の反撃戦の旗頭はジェネラスだ。
人間に対しても一定の礼儀を弁える彼であれば、キロマイア皇国ともうまく付き合っていけるだろう。
10
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる