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シーズン5-キロマイア皇国&Ve’z対オルダモン連邦&クロペル共和国共同戦線
101-蹂躙する者たち
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その日、前代未聞の戦争が幕を開けた。
Ve‘z&キロマイア皇国vsオルダモン連邦&クロペル共和国という、悪夢のような戦争が。
「ちょっと、ジアン!」
そして、それに対して怒る人物が一人。
何を隠そう、クロペル共和国の指導者であるティニア女王である。
「何でしょうか、女王様」
「相手がVe’zなんて聞いてないよ...絶対勝てないって!」
ティニアは、側近のジアン・ラエルタに対して怒っていた。
オルダモンの戦争に手を貸すとは言ったが、キロマイアの裏にVe‘zがいた事までは知らなかったようだ。
「しかしそれでも、オーベルン神聖連合との戦いにおいて、オルダモンとの安全保障条約は必須なものです。互いに協力し合う事が重要であるかと」
「それは...」
オーベルン神聖連合は、彼らの神々を信じる者たちが集う集権国家である。
彼らは白い肌以外を邪悪な者に属する悪魔の民族と忌み嫌い、国内から排斥し、クロペル共和国にすら侵略の目を向けている。
「分かってるけど...」
クロペル共和国の戦力は低い。
保有する主力艦の数は少なく、国力自体もオーベルン神聖連合には遠く及ばない。
オルダモンの持つ強大な戦力に縋るしかないのだ。
一応、国内の戦争以外の産業については、他国からも人気があるのだが...
それは、他民族排斥主義のオーベルンには全く躊躇する理由にはならなかった。
「それで、これからどうされるおつもりですか?」
「どうするも何も、参戦すると表明した以上はこちらも戦力を送るよ」
「規模は?」
「さっきの会議で決めた通り。相手がVe‘zでも生き残れるように、最速の船と精鋭を。」
「果たして、生き残れるでしょうか...」
ジアンの疑問は尤もである。
Ve’zは現代の科学技術を遥かに超越した文明であるという伝承は、遍く星々に伝わっている。
それらの攻撃を回避できるとは、到底思えないからだ。
「彼らには死地に向かう事になるという事を周知させて。残りたい者は残って欲しいと伝えて。この戦いに大義はないから、戦いに殉じても、アルセエラは祝福を授けないだろう、って」
アルセエラとは、クロペル共和国で信仰されている戦神である。
クロペラの民達は、アルセエラの加護を受け勇猛果敢に戦うのだ。
「分かりましたが...いつになく弱気ですね?」
「ヴァンデッタ帝国が彼らに滅ぼされてから日が浅いし...」
そう、明確にクロペル共和国を脅かしているのは、ヴァンデッタ帝国の完全消滅である。
強大な力を誇ったヴァンデッタ帝国は、今や星すら存在しない死の領域と化した。
クロペルがそうなるのも時間の問題かもしれないのだ。
「とにかく、できる事をするしかありませんよ」
「分かってるから、ジアンに吐いてるんだよ」
「...そうですか」
ジアンは暫し、女王の愚痴に付き合うのだった。
「クロペル共和国は無視していい」
『ほう...何故そうお考えに?』
僕の答えに、ケルビスが不思議そうに探りを入れてくる。
だが、冷静に考えれば誰でもわかる事だ。
「見ろ。クロペル共和国はかなりオルダモンに国力で劣る上、オーベルン神聖連合と領土を巡って毎度大規模な戦争を行なっている。こちらに脅威となる戦力をオルダモンに送ってくることはないだろう」
『なるほど...では、お見逃しに?』
「いいや、違う」
僕はVe‘zに対して攻撃をする者は、エリスルールに則って殺しても構わないと思っている。
だがしかし、クロペルの動きによっては...そう、利用できる可能性があるのだ。
「彼らがもし全力で来るのなら、ヴァンデッタの二の舞にして然るべきだ。だが、彼らがオルダモンを裏切る選択をするのであれは、僕たちはクロペルを侵略し、掌握する...いいな?」
『承諾いたしました、エリアス様』
今回の反撃戦の旗頭はジェネラスだ。
人間に対しても一定の礼儀を弁える彼であれば、キロマイア皇国ともうまく付き合っていけるだろう。
Ve‘z&キロマイア皇国vsオルダモン連邦&クロペル共和国という、悪夢のような戦争が。
「ちょっと、ジアン!」
そして、それに対して怒る人物が一人。
何を隠そう、クロペル共和国の指導者であるティニア女王である。
「何でしょうか、女王様」
「相手がVe’zなんて聞いてないよ...絶対勝てないって!」
ティニアは、側近のジアン・ラエルタに対して怒っていた。
オルダモンの戦争に手を貸すとは言ったが、キロマイアの裏にVe‘zがいた事までは知らなかったようだ。
「しかしそれでも、オーベルン神聖連合との戦いにおいて、オルダモンとの安全保障条約は必須なものです。互いに協力し合う事が重要であるかと」
「それは...」
オーベルン神聖連合は、彼らの神々を信じる者たちが集う集権国家である。
彼らは白い肌以外を邪悪な者に属する悪魔の民族と忌み嫌い、国内から排斥し、クロペル共和国にすら侵略の目を向けている。
「分かってるけど...」
クロペル共和国の戦力は低い。
保有する主力艦の数は少なく、国力自体もオーベルン神聖連合には遠く及ばない。
オルダモンの持つ強大な戦力に縋るしかないのだ。
一応、国内の戦争以外の産業については、他国からも人気があるのだが...
それは、他民族排斥主義のオーベルンには全く躊躇する理由にはならなかった。
「それで、これからどうされるおつもりですか?」
「どうするも何も、参戦すると表明した以上はこちらも戦力を送るよ」
「規模は?」
「さっきの会議で決めた通り。相手がVe‘zでも生き残れるように、最速の船と精鋭を。」
「果たして、生き残れるでしょうか...」
ジアンの疑問は尤もである。
Ve’zは現代の科学技術を遥かに超越した文明であるという伝承は、遍く星々に伝わっている。
それらの攻撃を回避できるとは、到底思えないからだ。
「彼らには死地に向かう事になるという事を周知させて。残りたい者は残って欲しいと伝えて。この戦いに大義はないから、戦いに殉じても、アルセエラは祝福を授けないだろう、って」
アルセエラとは、クロペル共和国で信仰されている戦神である。
クロペラの民達は、アルセエラの加護を受け勇猛果敢に戦うのだ。
「分かりましたが...いつになく弱気ですね?」
「ヴァンデッタ帝国が彼らに滅ぼされてから日が浅いし...」
そう、明確にクロペル共和国を脅かしているのは、ヴァンデッタ帝国の完全消滅である。
強大な力を誇ったヴァンデッタ帝国は、今や星すら存在しない死の領域と化した。
クロペルがそうなるのも時間の問題かもしれないのだ。
「とにかく、できる事をするしかありませんよ」
「分かってるから、ジアンに吐いてるんだよ」
「...そうですか」
ジアンは暫し、女王の愚痴に付き合うのだった。
「クロペル共和国は無視していい」
『ほう...何故そうお考えに?』
僕の答えに、ケルビスが不思議そうに探りを入れてくる。
だが、冷静に考えれば誰でもわかる事だ。
「見ろ。クロペル共和国はかなりオルダモンに国力で劣る上、オーベルン神聖連合と領土を巡って毎度大規模な戦争を行なっている。こちらに脅威となる戦力をオルダモンに送ってくることはないだろう」
『なるほど...では、お見逃しに?』
「いいや、違う」
僕はVe‘zに対して攻撃をする者は、エリスルールに則って殺しても構わないと思っている。
だがしかし、クロペルの動きによっては...そう、利用できる可能性があるのだ。
「彼らがもし全力で来るのなら、ヴァンデッタの二の舞にして然るべきだ。だが、彼らがオルダモンを裏切る選択をするのであれは、僕たちはクロペルを侵略し、掌握する...いいな?」
『承諾いたしました、エリアス様』
今回の反撃戦の旗頭はジェネラスだ。
人間に対しても一定の礼儀を弁える彼であれば、キロマイア皇国ともうまく付き合っていけるだろう。
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