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シーズン4-ヴァンデッタ帝国戦後
090-エリアス帰還
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メッティーラは、ラクト星系にある四番目の惑星....ラクトⅣに、農園ユニットを投下した。
農園ユニットは自動で展開され、ケルビス農園と同程度の設備を備えた農園を地表面上に作り出した。
『ふむ、これで食糧生産に問題はありませんね』
有機物を取り込み、スキャンしたうえで自動で食料に加工するシステムである。
そのプロセスにかかる時間は1秒にも満たない。
しかし――――
『......何かが、違うような....』
出来上がった食材を生のまま口にしたメッティーラは、それを違うと断じた。
ケルビスや、エリアスの持ってきてくれた食事を口にした時とは、まったく異なるのだ。
『何か、特殊な要件があるのでしょうか?』
メッティーラは不思議に思いつつも、生産された食材をコンテナに梱包し、それを艦隊向けて射出する。
『ヘイルスよ。食料を受け渡しました。中身を確認してください』
『これは......わざわざ素材をそのままお渡しになられるとは...ありがとうございます』
そんな答えが返ってくるのを確認したメッティーラは、再び農業惑星を後にした。
そして。
恐怖の大王が、深淵の底から現れた。
そう、記録の書庫からエリアスが戻ってきたのである。
「.....く」
『どうされましたか? エリアス様』
エリアスは記憶のフィードバックに一瞬顔をしかめる。
その時、その真横にケルビスがワープしてくる。
「大丈夫だ。それより――――非常にまずいことが起きた」
『まさかッ.......記録庫の深淵で、世界崩壊の兆しを!?』
ケルビスが叫ぶ。
だがエリアスはそれを制す。
「メッティーラの報告にあったぞ、お前....メッティーラからの協力要請を無視したな?」
『この問題は下手に関わると、私めは再び問題を起こす可能性がございましたので』
「だが、多少の手助けはできたのではないか?」
『エリス様のマッサージ中でしたので』
「成程....では、仕方ないか。.....よし、僕は一人でこの問題に介入するので、ケルビスは情報を隠蔽しろ。決してエリスに届かぬようにするんだ」
『はっ、お任せを』
ケルビスはワープして消える。
エリアスは心底疲れた顔をして、
「どうして僕のいないときに限って、問題は起きるんだろうか」
と呟く。
そして、ポラノルを呼ぶ。
『どうされましたかーっ、エリアスさ・ま!』
「お前に緊急時の権限を付与する」
『お・お・っ・と! こんな信用の置けない道化師に、権限をっ!?』
「僕がどうしても応えられないとき、問題が発生した場合に対応せよ。他のエクスティラノスたちの不満は、僕自身が何とかする」
ポラノルは、その全身を使って、礼をした。
『エリアス様、お任せを。ボクは貴方様の代役として、この都市の下位決定権限を拝領いたします』
「任せた」
ポラノルはどこからか取り出した七色のボールでお手玉を始める。
すぐにふざけ始めるものの、ポラノルは信用のおけるエクスティラノスの一人である。
なぜなら、彼女は役目に沿って動いているだけで、その実態はグレゴルと殆ど変わらないのだから。
農園ユニットは自動で展開され、ケルビス農園と同程度の設備を備えた農園を地表面上に作り出した。
『ふむ、これで食糧生産に問題はありませんね』
有機物を取り込み、スキャンしたうえで自動で食料に加工するシステムである。
そのプロセスにかかる時間は1秒にも満たない。
しかし――――
『......何かが、違うような....』
出来上がった食材を生のまま口にしたメッティーラは、それを違うと断じた。
ケルビスや、エリアスの持ってきてくれた食事を口にした時とは、まったく異なるのだ。
『何か、特殊な要件があるのでしょうか?』
メッティーラは不思議に思いつつも、生産された食材をコンテナに梱包し、それを艦隊向けて射出する。
『ヘイルスよ。食料を受け渡しました。中身を確認してください』
『これは......わざわざ素材をそのままお渡しになられるとは...ありがとうございます』
そんな答えが返ってくるのを確認したメッティーラは、再び農業惑星を後にした。
そして。
恐怖の大王が、深淵の底から現れた。
そう、記録の書庫からエリアスが戻ってきたのである。
「.....く」
『どうされましたか? エリアス様』
エリアスは記憶のフィードバックに一瞬顔をしかめる。
その時、その真横にケルビスがワープしてくる。
「大丈夫だ。それより――――非常にまずいことが起きた」
『まさかッ.......記録庫の深淵で、世界崩壊の兆しを!?』
ケルビスが叫ぶ。
だがエリアスはそれを制す。
「メッティーラの報告にあったぞ、お前....メッティーラからの協力要請を無視したな?」
『この問題は下手に関わると、私めは再び問題を起こす可能性がございましたので』
「だが、多少の手助けはできたのではないか?」
『エリス様のマッサージ中でしたので』
「成程....では、仕方ないか。.....よし、僕は一人でこの問題に介入するので、ケルビスは情報を隠蔽しろ。決してエリスに届かぬようにするんだ」
『はっ、お任せを』
ケルビスはワープして消える。
エリアスは心底疲れた顔をして、
「どうして僕のいないときに限って、問題は起きるんだろうか」
と呟く。
そして、ポラノルを呼ぶ。
『どうされましたかーっ、エリアスさ・ま!』
「お前に緊急時の権限を付与する」
『お・お・っ・と! こんな信用の置けない道化師に、権限をっ!?』
「僕がどうしても応えられないとき、問題が発生した場合に対応せよ。他のエクスティラノスたちの不満は、僕自身が何とかする」
ポラノルは、その全身を使って、礼をした。
『エリアス様、お任せを。ボクは貴方様の代役として、この都市の下位決定権限を拝領いたします』
「任せた」
ポラノルはどこからか取り出した七色のボールでお手玉を始める。
すぐにふざけ始めるものの、ポラノルは信用のおけるエクスティラノスの一人である。
なぜなら、彼女は役目に沿って動いているだけで、その実態はグレゴルと殆ど変わらないのだから。
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