SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン3-ヴァンデッタ帝国の末路

077-落とし前

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ようやく、全ての料理が揃った。
農業惑星に料理を入れたコンテナを集めた僕は、とりあえずアロウトに置いてあるクローンへと戻ることにした。

『.........』

クローンに戻った僕は、再び情報の嵐に襲われる。

「うえぇええ...」

排水溝に一通り吐いた後に、情報をゆっくり整理する。
僕のいない間に、帝国軍の....?
帝国軍の侵略があって.....それで?
反撃でヴァンデッタ帝国の勢力殲滅を?
惑星破壊?

「...........どうやら、言うべきことがあるようだな」

僕は静かな怒りを湛えて、部屋を出る。
そして、壁を通り抜けながら玉座の間へと向かった。

『『『『『『『『『『『『.........................』』』』』』』』』』』』』

玉座の間に着くと、既に全てのエクスティラノスと、見慣れない形状の義体――――恐らく、エヴェナスという存在だろう――――が何体か並んでいた。

「何を言いたいかは、理解しているな?」
『はっ』

ケルビスが一歩前に出て、恭しく礼をした。
だが、今はそんな礼儀すら――――腹立たしい。

「惑星破壊はもうしないと、僕はエリスに誓った。だというのに――――」
『はい。ですから――――』
「僕の言葉を遮るな!」

言い訳や責任逃れなんて聞きたくない。
エリスと約束したのに.....

「何故誰も止めなかった?」

僕は広間全体を睨め付ける。

「何故誰も密告しなかった?」

自我を持ったことで、あってはならないことが起きた。
そう、”既成事実化させたうえで、連帯責任にして責任を逃れる”という事が。
僕がエクスティラノス全員を、今すぐに”削除”出来ないと分かっているような所業だ。

「.....ケルビス」
『はっ』
「終わってしまったことは仕方がない。だが、僕はお前を許さない」
『どんな罰でも...』
「義体を持って訓練場へ来い。もしお前が負けたら、僕はお前の人格を初期化する」
『.....はっ』

ケルビスは嬉しそうだ。
その反応が、気持ち悪い。
僕に対しての忠誠からだろうか?
きっと、『不埒者を処分したが、それを行った自分が許せないのでエリアス様に処刑してもらうのが嬉しい』とでも思っているのだろう。

「.......あの、エリアス」

その時。
玉座の間の入り口から声が響く。

「何かあったの?」
「何も無い」
「.....でも、ちょっと怖いわ。今のエリアス....」
「そうか?」

エリスが駆け寄ってくる。

「どこに行ってたの?」
「あちこちの星に。みんなが食べたいと言ったものを集めていた」
「いいじゃない、パーティーをするんでしょう? 楽しみだわ」
「....そう、だな」

だが。
パーティーに全員が揃う事はもうない。
僕が裏切り者を始末して、それで終わりだ。

「後で話そう」
「ええ、お茶でもしましょう!」
「ああ」

僕はエリスを置いて、訓練場へと向かった。
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