SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン3-ヴァンデッタ帝国の末路

075-終焉

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そして、三日後。
両陣営は、重い緊張に包まれていた。
帝国側は、領土の98%を失い、最終防衛ライン――――つまり帝都防衛戦である。
Ve’z側は、エリアスがいつ帰還してもおかしくない状況であり、帰還すれば撤退は免れない状況であった。

『いいですか、敵の主力艦は、こちらの惑星破壊を妨害するのに十分な力を持っています。ですから――――』

カサンドラが口を開いた直後。
惑星を囲む星空に、無数のワームホールが開き、そこから柱――――惑星破壊装置が、まるで首都星を囲むように突き出た。

『こ、こちら第一防衛艦隊!』
『待て、こちら第二防衛艦隊!』
『第三!』
『黙れ! すべて破壊するのだ!!』

ヴァンデッタ帝国の主力艦アルビオレスク五隻が動き出し、数千数万の惑星破壊装置を破壊すべく、最終兵器のエネルギーを充填し始める。

『――――今です』
『ニューエンド、アルカンシエル、一斉発射』

アルビオレスクに、容赦なくニューエンドが突き刺さり、帝国の槍であるアルビオレスクはあっけなく轟沈する。

『全艦回頭! 突撃隊形! 全艦載機出撃! Ve’z艦隊を撃墜せよーーーッ!!』

艦隊がVe’zの方へと突撃を開始する。
その光景を見て、前線に展開するケルビスは――――

『攻撃開始』

冷酷に言い放った。
その瞬間、Ve’zの艦隊の周囲に浮遊する数万の自動砲台ダウンレイが、一斉に弾幕を放つ。
更に艦隊もテンタクルレーザーによる緻密な弾幕を展開し、星を守るために必死で襲い掛かる帝国兵を、無感情に殺戮していく。

『アドラス、首都星系の惑星破壊は進行しているかな?』
『うん! ちょっとゴミに邪魔されて、手間取ったけど....もうすぐ壊せるよ!』

アドラスはトゥールビヨンを使い、惑星を破壊し続けていた。
巨大な重力源を発生させるトゥールビヨンは、惑星の持つ質量を破壊し、内殻から外殻にかけてを一度に吹き飛ばす超兵器である。
通常の惑星破壊より早く済むため、Ve’z側はこうして反撃を封じていた。

「皇帝、如何なされますか?」
「避難は終わったか!?」
「無駄です、ゲートは封鎖されており、隠れられそうな惑星は次々と破壊されています!」

皇帝は恐るべき事態に、顔を覆った。
最初に計画を命じた上位貴族は処刑されたが、それでVe’zの侵攻が収まるわけではなかった。

「仕方あるまい、ヴォルドビオスクへと乗り込むのだ! この手で決着を着ける!」

皇帝一派は最終兵器である超巨大戦艦ヴォルドビオスクへと乗り込む。
超技術であるジャンプドライブを搭載するヴォルドビオスクは、ヴァンデッタ帝国に危機が訪れたときにのみ使う事が赦される、まさに最終手段。
その発進の様相は、帝城を破壊して艦橋が現れ、首都を吹き飛ばして船体が現れるものである。
最早、勝つことよりも負けないことの方が重要であった。

「Ve’zの蟲どもよ、思い知れ! これが帝国の――――へああっ!?」

だが、Ve’z達にとっては巨大な的が出現したようなもの。
あっという間に超射程を持つニューエンドにその船体が真正面から貫かれ、残りの船体は熱で融解し衝撃波で吹き散らされた。
あまりにもあっという間に、あまりにも呆気なく、皇帝は死んだ。
そのせいで、帝国軍は一瞬静止することになる。

『発射』

そして、集まった帝国軍に、ニューエンドが突き刺さり、主力艦諸共宇宙の塵へと消えた。

『惑星破壊プロセス、開始』

そして。
数億の人口をいまだ残すヴァンデッタ帝国の首都星は、数千のVe’z艦の前にて、完全に破壊させられた。

『星系内のスキャンを開始する、ヴァンデッタ帝国の関係者は一人たりとも逃してはいけません。ラエリス出撃!』

こうして。
ヴァンデッタ帝国は、全ての惑星、ほぼ全ての血統、全ての記録を失い、数千年の歴史に幕を閉じた。
実に、たった一週間の出来事であった。
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