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シーズン3-ヴァンデッタ帝国の末路
073-惑星巡り(後編)
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というわけで、僕は旅の最終目的地である、海賊国家カルメナスに来ていた。
...のだが。
「ぐ、ええ...は、離せっ...」
「ノーグはどこで売っている?」
「知らねえ...よ、その辺の酒場にでも行けよ...!」
到着した途端に、丸腰の女性と思われたのか絡まれ、それを軽くいなしたはいいものの、これが基準だとかなりやりにくい。
仕方ないので、髪をまとめてフードで隠すことで、絡まれにくい格好をする事にした。
「酒場で注文できるものなのか?」
僕はとりあえず、都市を散策する。
治安は最悪で、銃撃戦があちこちで繰り広げられていた。
裏路地には虚ろな目で蹲る何かの中毒者がいたり、道のあちこちに汚れが溜まっていた。
一応管理部隊はいるようで、「首領の下っ端」と呼ばれているようだ。
彼等は恐らくカースト最下位であり、命を奪われない保証がある代わりに労働と被暴力を強制されているのだろう。
「...酒場が無いな」
ノーグを持ち帰ろうにも、肝心の酒場がどこにも無い。
データでは都市のあちこちにあるそうだが、昼間なせいかどこも閉まっていた。
「...ん?」
その時。
路地から男が飛び出して、僕の進路を塞いだ。
背後でも同様に、大柄の男が現れて、僕を包囲した。
「よう、兄ちゃん」
「...?」
「さっきからこの辺ウロウロして、何か探してんのか?」
「ノーグを買いたいのだが?」
「ノーグだぁ!? あんなモノ、誰に食わせるんだよ!」
大男二人は、下品に笑う。
僕はその様子を、じっと見ていた。
「まあいいや、死ね!」
背後の男が、なんでもないことのように銃を取り出して撃った。
僕はそれを回避して、背後の男につかみかかって銃を奪う。
「そんなもので、僕は倒せない」
銃を奪うつもりだったのだが、奪おうと銃身を握った際に銃のフレームが歪む。
相当脆い素材だったようだ。
「くそっこいつ!」
「バカ、逃げるぞ!」
「?」
絡んで来たのに、反抗したらすぐに逃げてしまった。
僕はよくわからず立ち止まって考える。
もう一人は銃を持っていたので、僕を倒せたはずだ。
だというのに、銃を奪って壊しただけで逃げ出した。
臆病で片付けられればいいが...
『国営放送の時間だぜ!』
その時、耳が痛くなるほどのチャイムと共に、空に人の顔が映し出された。
恐らくだが、最大勢力のカルメナス・センチネルの広報官ジェッド・リメルだ。
『今日のお知らせは、三つ! カルメナス・ヴァンガードの主力部隊に、新たに主力艦ヴァンキッシャーが加わるぜ! これは俺たちにとって大きな快挙だな!』
読み上げが終わると同時に、あちこちから歓声が響いて来る。
カルメナスは確か、海賊の連合のような国家であるため、自力で艦船を製造する手段を持たないんだったな。
それが、主力艦を手にしたという事は.....どこかで鹵獲したのだろうか?
『次に、これは引き続きの措置だが――――Ve’zとエミドに対する戦闘・略奪・妨害行動を強く禁ずる。親分が関わるなって言ってんだから、大人しく従えよ、ガキども!』
確か、カルメナスは不干渉を宣言していたな。
これからの事を考えると、カルメナスを味方につけて尖兵とするのもいいかもしれない。
さしずめ、Ve’zのフロント企業だ。
『最後に――――先日のヴァルツウェルで記憶に新しい、傭兵カル・クロカワ! 奴に対する干渉は一切禁止だ! これは極秘事項だ、奴に悟られるな、必ず復讐するが、怒りは抑えろ! 奴に関わると大抵の海賊は死ぬ! ――――覚えてるな、アルダネイト首領の言葉を...! 海賊は、臆病であれと! 99の臆病と、1の勇気で財宝を奪い取るんだ! いいな!』
そして、放送は終わった。
....カル・クロカワか。
この間も名を聞いたな。
「少しは、情報を集めておくか」
僕は再び、ノーグを探すために歩き出したのだった。
...のだが。
「ぐ、ええ...は、離せっ...」
「ノーグはどこで売っている?」
「知らねえ...よ、その辺の酒場にでも行けよ...!」
到着した途端に、丸腰の女性と思われたのか絡まれ、それを軽くいなしたはいいものの、これが基準だとかなりやりにくい。
仕方ないので、髪をまとめてフードで隠すことで、絡まれにくい格好をする事にした。
「酒場で注文できるものなのか?」
僕はとりあえず、都市を散策する。
治安は最悪で、銃撃戦があちこちで繰り広げられていた。
裏路地には虚ろな目で蹲る何かの中毒者がいたり、道のあちこちに汚れが溜まっていた。
一応管理部隊はいるようで、「首領の下っ端」と呼ばれているようだ。
彼等は恐らくカースト最下位であり、命を奪われない保証がある代わりに労働と被暴力を強制されているのだろう。
「...酒場が無いな」
ノーグを持ち帰ろうにも、肝心の酒場がどこにも無い。
データでは都市のあちこちにあるそうだが、昼間なせいかどこも閉まっていた。
「...ん?」
その時。
路地から男が飛び出して、僕の進路を塞いだ。
背後でも同様に、大柄の男が現れて、僕を包囲した。
「よう、兄ちゃん」
「...?」
「さっきからこの辺ウロウロして、何か探してんのか?」
「ノーグを買いたいのだが?」
「ノーグだぁ!? あんなモノ、誰に食わせるんだよ!」
大男二人は、下品に笑う。
僕はその様子を、じっと見ていた。
「まあいいや、死ね!」
背後の男が、なんでもないことのように銃を取り出して撃った。
僕はそれを回避して、背後の男につかみかかって銃を奪う。
「そんなもので、僕は倒せない」
銃を奪うつもりだったのだが、奪おうと銃身を握った際に銃のフレームが歪む。
相当脆い素材だったようだ。
「くそっこいつ!」
「バカ、逃げるぞ!」
「?」
絡んで来たのに、反抗したらすぐに逃げてしまった。
僕はよくわからず立ち止まって考える。
もう一人は銃を持っていたので、僕を倒せたはずだ。
だというのに、銃を奪って壊しただけで逃げ出した。
臆病で片付けられればいいが...
『国営放送の時間だぜ!』
その時、耳が痛くなるほどのチャイムと共に、空に人の顔が映し出された。
恐らくだが、最大勢力のカルメナス・センチネルの広報官ジェッド・リメルだ。
『今日のお知らせは、三つ! カルメナス・ヴァンガードの主力部隊に、新たに主力艦ヴァンキッシャーが加わるぜ! これは俺たちにとって大きな快挙だな!』
読み上げが終わると同時に、あちこちから歓声が響いて来る。
カルメナスは確か、海賊の連合のような国家であるため、自力で艦船を製造する手段を持たないんだったな。
それが、主力艦を手にしたという事は.....どこかで鹵獲したのだろうか?
『次に、これは引き続きの措置だが――――Ve’zとエミドに対する戦闘・略奪・妨害行動を強く禁ずる。親分が関わるなって言ってんだから、大人しく従えよ、ガキども!』
確か、カルメナスは不干渉を宣言していたな。
これからの事を考えると、カルメナスを味方につけて尖兵とするのもいいかもしれない。
さしずめ、Ve’zのフロント企業だ。
『最後に――――先日のヴァルツウェルで記憶に新しい、傭兵カル・クロカワ! 奴に対する干渉は一切禁止だ! これは極秘事項だ、奴に悟られるな、必ず復讐するが、怒りは抑えろ! 奴に関わると大抵の海賊は死ぬ! ――――覚えてるな、アルダネイト首領の言葉を...! 海賊は、臆病であれと! 99の臆病と、1の勇気で財宝を奪い取るんだ! いいな!』
そして、放送は終わった。
....カル・クロカワか。
この間も名を聞いたな。
「少しは、情報を集めておくか」
僕は再び、ノーグを探すために歩き出したのだった。
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