SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン3-ヴァンデッタ帝国の末路

067-不思議な出遭い

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現地民の家に呼ばれた僕だったが、下心などは特になかったようで、普通に服を貰った。
生活レベルは地球と同じくらいのようで、僕の着ていた服は乾燥機にかけられていた。

「お前、どこから来た?」
「星の外から」
「そうか。帰る方法は?」
「ある」

男は一人暮らしのようで、椅子を勧めてくれたのでありがたく座る。

「星の外は、どうだ?」
「どう、とは?」
「何でもいい。話をしてくれ」

男はお茶らしき液体を出してくれたので、僕もそれを口にしながら、今まで行った星の話をした。
男はそれにふんふんと頷くと、僕に向かって頭を下げた。

「すまん。貴方の部下を返せなかった」
「何?」

唐突に始まった謝罪に、僕は硬直する。
だがすぐに、カサンドラによって未帰還確定リストに分類された数体を思い出す。

「Ve’zのガルジアと、その御方は名乗った。俺はその御方の核を加工して、カルセールと名を付けた武器にした」
「ガルジアを無理やり加工したのでなければ、僕は気にしない」
「そうか.....」

だが、その所在が分からないのは困るな。

「それは、今どこにある?」
「すまん。偏屈な友達に預けたのだが....どこに居るかは、俺にも分からん」
「そうか」

まあ、そのうち帰ってくるだろう。

「もしガルジアが人間の手に渡っていたら、その人間は生かしてやってくれないか?」
「構わない。だが、何故だ?」

僕は尋ねる。
この男をガルジアが認めたのであれば、それはVe’zにとって合理的な判断だ。

「ガルジアは認めた人間にしか力を貸さない。それは、貴方もよく分かっているはずだ」
「成程、承知した」

継承者という訳か。
僕は頷くと席を立ち、老人に尋ねた。

「シティロスという料理を購入したいが、近くに店はあるか?」
「待っていろ。今備蓄を持ってくる」

老人は廊下の奥に消えた。
僕はしばらく待つが、数十分経っても老人は戻ってこなかった。

「どうした?」

僕は倉庫の方へ向かったが、そこであるものを見た。
腹を撃って死んだ死体と、血が被らないように離して置かれた箱だった。

「.....理解できないな」

僕は老人の死体を置いて、家を後にした。
周囲を見れば、そもそもこの場所は孤島だった。
古い宇宙船が置いてあったが、僕はそれを放置して帰還した。






エリアスがそうして星々を回っている間の事である。
Ve’zの戦場跡であるレギンスレム星系に、帝国の艦隊がワープアウトした。

『全艦ワープ終了!』
『ガーダー様、物凄い残骸の数です!』
『よろしい、さぁ、回収を開始せよ! この宝の山を持ち帰り、皇帝に捧げるのだ!』

ヴァンデッタ帝国の艦隊は、レギンスレム全体に散っていく。
領土に侵入した船は、残骸をトラクタービームで引き寄せて回収していく。
だがそれは、ブレーキエリアス不在のVe’zにとって、侮辱にも等しい行為であったという事を――――――
彼らはまだ知らない。


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