上 下
67 / 180
シーズン3-ヴァンデッタ帝国の末路

067-不思議な出遭い

しおりを挟む
現地民の家に呼ばれた僕だったが、下心などは特になかったようで、普通に服を貰った。
生活レベルは地球と同じくらいのようで、僕の着ていた服は乾燥機にかけられていた。

「お前、どこから来た?」
「星の外から」
「そうか。帰る方法は?」
「ある」

男は一人暮らしのようで、椅子を勧めてくれたのでありがたく座る。

「星の外は、どうだ?」
「どう、とは?」
「何でもいい。話をしてくれ」

男はお茶らしき液体を出してくれたので、僕もそれを口にしながら、今まで行った星の話をした。
男はそれにふんふんと頷くと、僕に向かって頭を下げた。

「すまん。貴方の部下を返せなかった」
「何?」

唐突に始まった謝罪に、僕は硬直する。
だがすぐに、カサンドラによって未帰還確定リストに分類された数体を思い出す。

「Ve’zのガルジアと、その御方は名乗った。俺はその御方の核を加工して、カルセールと名を付けた武器にした」
「ガルジアを無理やり加工したのでなければ、僕は気にしない」
「そうか.....」

だが、その所在が分からないのは困るな。

「それは、今どこにある?」
「すまん。偏屈な友達に預けたのだが....どこに居るかは、俺にも分からん」
「そうか」

まあ、そのうち帰ってくるだろう。

「もしガルジアが人間の手に渡っていたら、その人間は生かしてやってくれないか?」
「構わない。だが、何故だ?」

僕は尋ねる。
この男をガルジアが認めたのであれば、それはVe’zにとって合理的な判断だ。

「ガルジアは認めた人間にしか力を貸さない。それは、貴方もよく分かっているはずだ」
「成程、承知した」

継承者という訳か。
僕は頷くと席を立ち、老人に尋ねた。

「シティロスという料理を購入したいが、近くに店はあるか?」
「待っていろ。今備蓄を持ってくる」

老人は廊下の奥に消えた。
僕はしばらく待つが、数十分経っても老人は戻ってこなかった。

「どうした?」

僕は倉庫の方へ向かったが、そこであるものを見た。
腹を撃って死んだ死体と、血が被らないように離して置かれた箱だった。

「.....理解できないな」

僕は老人の死体を置いて、家を後にした。
周囲を見れば、そもそもこの場所は孤島だった。
古い宇宙船が置いてあったが、僕はそれを放置して帰還した。






エリアスがそうして星々を回っている間の事である。
Ve’zの戦場跡であるレギンスレム星系に、帝国の艦隊がワープアウトした。

『全艦ワープ終了!』
『ガーダー様、物凄い残骸の数です!』
『よろしい、さぁ、回収を開始せよ! この宝の山を持ち帰り、皇帝に捧げるのだ!』

ヴァンデッタ帝国の艦隊は、レギンスレム全体に散っていく。
領土に侵入した船は、残骸をトラクタービームで引き寄せて回収していく。
だがそれは、ブレーキエリアス不在のVe’zにとって、侮辱にも等しい行為であったという事を――――――
彼らはまだ知らない。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――

EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。 そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。 そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。 そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。 そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。 果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。 未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する―― 注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。 注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。 注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。 注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

処理中です...