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シーズン2-エミド再侵攻
060-捕虜の使い道
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というわけで、エリワンステップの防衛には成功した。
本格的なワームホール制御施設が完成したおかげで、エリワンステップの出口は今の所Ve’zの支配領域にしか開かないようになっている。
「それで......これはなんだ」
『私からのお土産です!』
『拙者が主君に差し上げたい、敵将の首に御座います』
『戦術的に正しいかと思い、捕縛しました』
僕の目の前にあったのは、台に固定されたカプセルだった。
エミド人が艦船に装填されているものとよく似ている。
『登録名はアディナ、エミド語で羽という意味ですね』
「まだエミドと繋がっているのか?」
『エリアス様、アロウトには....』
「ああ、そうだったな」
アロウトには電子・精神的な接続に干渉するジャミングが張られている。
つまり、ここをスパイしたいのなら、電子的にも精神的にも自由な人間を使うほかないのだ。
「開けろ」
『はい』
カサンドラが触手でカプセルを開き、カプセルの中にいる人間を引きずり出した。
眠っているようだ。
「起きないのか?」
『インプラントを除去しない限りは目覚めないようです』
ケルビスが冷静に言い放つ。
僕は椅子から降りて、人間に近寄る。
髪を持って身体を持ち上げると、どうやら女らしいという事が分かった。
「....どうするつもりだ? 僕はエリスで十分だ」
僕がそう返すと、カサンドラが人間をカプセルに戻す。
『では、廃棄処分にいたしましょう』
「いや、待て。せっかく殺さないでおいたのだから、利用法を考えよう」
折角ジェネラスを暇させてまで確保したのだから、わざわざ捨てるのも問題だ。
何かないだろうか。
「エリアスー、お菓子が出来たわよ!」
その時、最悪のタイミングでエリスが姿を現した。
カプセルがまだ開いていたので、裸の女性を皆で囲んでいる構図になってしまった。
「あ........」
エリスが硬直している。
そして、真っすぐ僕の所に歩いて来る。
「エリアス!」
「違う、これは......ケルビス?」
『申し訳ございません、エリアス様! このような事になるとは思わず、施錠しておりませんでしたッッッ!』
ケルビスが土下座するが、それは今の時点では悪手にしかならない。
「浮気しちゃ駄目よ」
「....敵の捕虜だ、これから何をさせようか考えていただけだ」
「そう」
エリスは僕の頬に唇を寄せて、去って行った。
「.....シーシャ、ポラノル、彼女を治療できるか?」
『お任せください』
『任せてください!』
僕はとりあえず、今後の彼女の扱いについて話す。
「インプラントを抜いて、思考を矯正した後に、エリワンステップの指導者に任命する」
『成程、奴隷を脱した人間達の指導者は、同じく奴隷だった者がすべきでしょう。流石はエリアス様ですね』
ケルビスが触手で胸?に手を当て同意する。
ケルビスが同意したという事は、反対も特にないだろう。
「では、そうしよう」
というわけで、捕虜の扱いも決まった。
色々課題もあるが、まあ今のところはこれでいいだろう。
何より....
「エリスのお菓子が気になる」
『.....』
「お前たちもついてこい」
乗り気の配下を連れて、僕はエリスの焼いたお菓子を見に行くのだった。
本格的なワームホール制御施設が完成したおかげで、エリワンステップの出口は今の所Ve’zの支配領域にしか開かないようになっている。
「それで......これはなんだ」
『私からのお土産です!』
『拙者が主君に差し上げたい、敵将の首に御座います』
『戦術的に正しいかと思い、捕縛しました』
僕の目の前にあったのは、台に固定されたカプセルだった。
エミド人が艦船に装填されているものとよく似ている。
『登録名はアディナ、エミド語で羽という意味ですね』
「まだエミドと繋がっているのか?」
『エリアス様、アロウトには....』
「ああ、そうだったな」
アロウトには電子・精神的な接続に干渉するジャミングが張られている。
つまり、ここをスパイしたいのなら、電子的にも精神的にも自由な人間を使うほかないのだ。
「開けろ」
『はい』
カサンドラが触手でカプセルを開き、カプセルの中にいる人間を引きずり出した。
眠っているようだ。
「起きないのか?」
『インプラントを除去しない限りは目覚めないようです』
ケルビスが冷静に言い放つ。
僕は椅子から降りて、人間に近寄る。
髪を持って身体を持ち上げると、どうやら女らしいという事が分かった。
「....どうするつもりだ? 僕はエリスで十分だ」
僕がそう返すと、カサンドラが人間をカプセルに戻す。
『では、廃棄処分にいたしましょう』
「いや、待て。せっかく殺さないでおいたのだから、利用法を考えよう」
折角ジェネラスを暇させてまで確保したのだから、わざわざ捨てるのも問題だ。
何かないだろうか。
「エリアスー、お菓子が出来たわよ!」
その時、最悪のタイミングでエリスが姿を現した。
カプセルがまだ開いていたので、裸の女性を皆で囲んでいる構図になってしまった。
「あ........」
エリスが硬直している。
そして、真っすぐ僕の所に歩いて来る。
「エリアス!」
「違う、これは......ケルビス?」
『申し訳ございません、エリアス様! このような事になるとは思わず、施錠しておりませんでしたッッッ!』
ケルビスが土下座するが、それは今の時点では悪手にしかならない。
「浮気しちゃ駄目よ」
「....敵の捕虜だ、これから何をさせようか考えていただけだ」
「そう」
エリスは僕の頬に唇を寄せて、去って行った。
「.....シーシャ、ポラノル、彼女を治療できるか?」
『お任せください』
『任せてください!』
僕はとりあえず、今後の彼女の扱いについて話す。
「インプラントを抜いて、思考を矯正した後に、エリワンステップの指導者に任命する」
『成程、奴隷を脱した人間達の指導者は、同じく奴隷だった者がすべきでしょう。流石はエリアス様ですね』
ケルビスが触手で胸?に手を当て同意する。
ケルビスが同意したという事は、反対も特にないだろう。
「では、そうしよう」
というわけで、捕虜の扱いも決まった。
色々課題もあるが、まあ今のところはこれでいいだろう。
何より....
「エリスのお菓子が気になる」
『.....』
「お前たちもついてこい」
乗り気の配下を連れて、僕はエリスの焼いたお菓子を見に行くのだった。
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