SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン2-エミド再侵攻

058-意味無き戦い

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その頃。
アディナが率いる第二十一船団は、Ve‘z本体と激戦を繰り広げていた。

『これが本隊の力か』

アディナは悔しそうに顔を歪ませる。
Ve’z本隊にはメッティーラ、ジェネラス、アドラスが参加しており、アドラスの圧倒的な暴力とジェネラスの奇襲能力、メッティーラの大規模艦隊指揮能力によって、アディナの艦隊は徐々に追い詰められていた。

『グンドの持つ聖なる後光アールヴェルタを我々は持っていない。この戦いが終われば、少しは忠誠度が貰えるだろうか』

船団にはクヴェールイルトム忠誠度が設定されており、それに応じて装備が支給されるのだ。
第二十一船団は、忠誠度が低く第十五船団に比べてやや装備が劣る。
そのせいで、ニューエンドやアルカンシエルに対策ができていなかった。
だが。

『我々には、「速度」がある!』

グンドの第十五船団が不動だとすれば、アディナの第二十一船団は神速。
アルカンシエルの連射をその速度だけで躱し、セントリーガンとテンタクルレーザーによる猛攻を潜り抜け、ヴィジラント=ノクティラノスとライアット=ノクティラノスをそれぞれ3隻も沈めていた。

『ジェネラス、行動予測をより精密に行うのです』
『承知した』

メッティーラの指示に従い、ジェネラスは艦隊を遮蔽させて即座にワープさせる。
そして、バラバラに動いているように見える第二十一船団の行く先へと移動し、待機する。

『邪魔邪魔ーっ!!』

アドラスはミサイルとレーザーの弾幕を展開し、第二十一船団を追い詰める。
凄まじいまでの猛攻に晒され、第二十一船団は少しずつその数を減らしていく。

『しまった!』

そして、アディナの眼前に遮蔽を解いたジェネラス艦隊が出現する。
統制を失う船団に、ジェネラスは無慈悲に言い渡す。

『処刑せよ』

アディナは逃げ道を探すが、既に包囲されていた。
しかし、彼女のインプラントで強化された頭脳は、その0.1秒で答えを導き出す。

『全船団、7.11秒後にポイント:ガータに向けて短距離ワープせよ!』

アディナの船団は、そちらへと向けてワープを敢行する。
エミドのワープは障害物があると止まってしまうが、その一瞬だけは船と船の隙間ができる。
そこを狙っての生存戦略であった。
しかし、それは――――
ジェネラスの慈悲。
メッティーラの戦略。
アドラスのゴマすり。
それらが入り混じった戦略に過ぎなかった。

『な!? システムが....!』

その場所に入り込んだアディナは、システムが強力なジャミングを受けた事に気付く。
艦船を操作したり、味方に通信をするシステムが完全にダウンしていた。

『貴様ら、この卑怯者がっ!!』

アディナは怒り狂ったが、エクスティラノス達はそれを冷ややかな目で見ていた。
ジェネラスは武人の心で、アディナを殺す事を躊躇い、メッティーラはそれを戦略的にそれが一番迅速であると判断し、アドラスは敵を生け捕りにしてエリアスにプレゼントすれば喜んでくれるに違いないと、押しつけがましい発想でその作戦に同意した。
というわけで、アディナ達第二十一船団の残党は、強力なシステムジャミングフィールドの内部へと閉じ込められ、実質的な全滅という結果を喫したのであった。


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