57 / 200
シーズン2-エミド再侵攻
057-コントロールセンター防衛戦
しおりを挟む
とはいえ、予想外を突かれたのも事実だ。
P.O.Dを装備した艦載機サイズの船。
中に積める人間の数は有限とはいえ、エミドならいくらでも用意できるだろう。
『全機突撃!』
ラエリスがケルビスの指示によって滑り出し、魚群のように左右に分かれてエミド艦隊に突撃する。
エミド艦載機がそれに応戦するが、ラエリスはP.O.Dによる攻撃をものともせずに突貫、艦載機を粉砕して突き進む。
第二世代型は武装を搭載しているため、セントリータレットをばら撒きながら飛翔し、前面に二門だけ搭載されている砲台「クーゲル」を連射して、エミド艦を沈めていく。
『ぬう...木っ端ですら戦略兵器並には強いというのか』
グンドは唸る。
そして、命じる。
『破魔の風を使用せよ!』
と。
直後、エミド艦載機の周囲に発生した力場が、エネルギー残留物を巻き上げてラエリスに打撃を加える。
螺旋を描いて到達した殴打は、ラエリスのシールドにへこみを作る。
そこに三隻のエミド艦載機がP.O.Dを収束させ、シールドを貫いて装甲に攻撃を加える。
しかし、彼らが捕まえたのは第二世代である。
ケルビスが下した無慈悲な決断により、そのラエリスは内側から自爆する。
自爆によって内部の重力場に異常が発生し、発生した歪みはエミド艦載機三隻を巻き込んで唐突に消滅した。
戦場の彼方此方で、その光景と全く同じ光景が繰り広げられる。
そして、第二世代型の犠牲を乗り越えて到達した第一世代ラエリスによって、エミド艦隊の前衛にラムアタックがかけられる。
『被害拡大、32%』
『ハエどもを下がらせよ!』
グンドの命令で、エミド艦載機が敵陣へと戻る。
だがそれは、この戦場においては愚行とも言えるものだった。
『ニューエンド、アルカンシエル一斉射!』
味方を顧みず戦うのはエミドの特徴でもあるが、それはVe‘zにも同じことが言える。
メインコンピュータからの意識複製体でしかないAI達にとって、自らの死とはreloadに過ぎない。
ラエリスを巻き込む形で放たれた一撃は、慌てて防御フィールドを展開した本隊を除く、全ての敵......エミド前衛、エミド艦載機...その全てを消滅させた。
『バカな、味方を平然と...』
エミドとは、結局のところその本質は人間である。
死を厭い、失うことを恐れる。
だがVe’zの思考とは、似て非なるモノ。
味方など、また作った機体にインストールすれば製造できる。
資源など、半永久的に採掘できる。
損失よりも、主人の命令に応えられない事こそが、彼らの存在意義に反する恐るべき行為なのだ。
『化け物どもめ...』
グンドは呟く。
ポッドの中は液体酸素で満たされているというのに、その肌からは冷や汗が滲み出るようだった。
『第二次攻撃隊を出撃させよ、この戦場を制するのは我らなのだ』
だが、グンドもまたエミド人だ。
すぐに思考を切り替え、艦載機の第二陣を出撃させるのであった。
P.O.Dを装備した艦載機サイズの船。
中に積める人間の数は有限とはいえ、エミドならいくらでも用意できるだろう。
『全機突撃!』
ラエリスがケルビスの指示によって滑り出し、魚群のように左右に分かれてエミド艦隊に突撃する。
エミド艦載機がそれに応戦するが、ラエリスはP.O.Dによる攻撃をものともせずに突貫、艦載機を粉砕して突き進む。
第二世代型は武装を搭載しているため、セントリータレットをばら撒きながら飛翔し、前面に二門だけ搭載されている砲台「クーゲル」を連射して、エミド艦を沈めていく。
『ぬう...木っ端ですら戦略兵器並には強いというのか』
グンドは唸る。
そして、命じる。
『破魔の風を使用せよ!』
と。
直後、エミド艦載機の周囲に発生した力場が、エネルギー残留物を巻き上げてラエリスに打撃を加える。
螺旋を描いて到達した殴打は、ラエリスのシールドにへこみを作る。
そこに三隻のエミド艦載機がP.O.Dを収束させ、シールドを貫いて装甲に攻撃を加える。
しかし、彼らが捕まえたのは第二世代である。
ケルビスが下した無慈悲な決断により、そのラエリスは内側から自爆する。
自爆によって内部の重力場に異常が発生し、発生した歪みはエミド艦載機三隻を巻き込んで唐突に消滅した。
戦場の彼方此方で、その光景と全く同じ光景が繰り広げられる。
そして、第二世代型の犠牲を乗り越えて到達した第一世代ラエリスによって、エミド艦隊の前衛にラムアタックがかけられる。
『被害拡大、32%』
『ハエどもを下がらせよ!』
グンドの命令で、エミド艦載機が敵陣へと戻る。
だがそれは、この戦場においては愚行とも言えるものだった。
『ニューエンド、アルカンシエル一斉射!』
味方を顧みず戦うのはエミドの特徴でもあるが、それはVe‘zにも同じことが言える。
メインコンピュータからの意識複製体でしかないAI達にとって、自らの死とはreloadに過ぎない。
ラエリスを巻き込む形で放たれた一撃は、慌てて防御フィールドを展開した本隊を除く、全ての敵......エミド前衛、エミド艦載機...その全てを消滅させた。
『バカな、味方を平然と...』
エミドとは、結局のところその本質は人間である。
死を厭い、失うことを恐れる。
だがVe’zの思考とは、似て非なるモノ。
味方など、また作った機体にインストールすれば製造できる。
資源など、半永久的に採掘できる。
損失よりも、主人の命令に応えられない事こそが、彼らの存在意義に反する恐るべき行為なのだ。
『化け物どもめ...』
グンドは呟く。
ポッドの中は液体酸素で満たされているというのに、その肌からは冷や汗が滲み出るようだった。
『第二次攻撃隊を出撃させよ、この戦場を制するのは我らなのだ』
だが、グンドもまたエミド人だ。
すぐに思考を切り替え、艦載機の第二陣を出撃させるのであった。
11
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【SF短編】エリオの方舟
ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~
霧氷こあ
SF
フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。
それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?
見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。
「ここは現実であって、現実ではないの」
自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる