55 / 200
シーズン2-エミド再侵攻
055-タッティラとの会話
しおりを挟む
数日後、僕はエリワンステップのコントロールセンターを訪れた。
なにぶん急造なので、気密保持も慣性制御も行われていない。
触手を伸ばして、うまく内部を伝っていく。
『タッティラ、作業の様子はどうだ?』
『順調です!』
タッティラは、巨大なキズミのようなアイカメラを持つエクスティラノスだ。
戦闘特化では無いため、カナーティ=ノクティラノスと同様に作業用の触手を多く保持している。
一本の触手ではなく、数千本の細いケーブルが纏まって一つに見えている触手が、数十本ある。
どんな精密な作業も行えるのだ。
『現地に輸送前の資材が残ってたので、それをお借りしてます!』
『不足があれば報告しろ』
『はーい!』
カナーティが飛び回り、急ピッチで拠点の構築を進めている。
予測によれば、次に次元境界が不安定になるタイミングは四日後。
それに備えて、Ve’zの前線基地を作らなければならない。
『思えば、会うのは久々だ』
『私は戦闘特化型ではありませんから.....こういう時しか会えません』
タッティラは非武装型であり、エクスティラノスの本来の標準搭載であるニューエンド以外を持っていない。
だからヴェリアノスを離脱しなかったのだろう。
『我々は居住性を求めないため、建造は順調なのですが....これらの資源が足りません、融通できませんか?』
『......ああ、大丈夫だ』
即座に貯蔵資源リストと、資源の割り振り予定データを比較し、リスト化されていた資源を確保する。
やはり102211合金が一番よく使われるようだ。
『すまない、首都周辺の復興を願い出たタイミングで、こちらもあまり資源を確保できていない』
『いいえ! エリアス様が直々にご用意してくださった資源です、無駄なく活用していきます』
『ここはただの戦略拠点ではない。エリワンステップの.....エリスの名前を冠した、数千年ぶりのVe’zの新しい領土の最前線だ、それを忘れるな』
『はい!』
タッティラは深く頷いた。
エリスの名前を付けてしまった以上、ここをクライアレンに戻すことはあってはならない。
既に量産が始まっているラエリスが、続々とこの星系に流れ込んできている。
それだけではなく、ギニラ=ステラギノスと呼ばれる、中位の指揮AIが開発されており、こちらは全ての集合意識に繋がっているキジラを一時的に自分に接続させて統率する個体だ。
破壊されるとポッドの状態で逃げだすことができ、優先的に狙われても問題ないようになっている。
『エミドの襲撃も鳴りを潜めた。恐らく、ここの侵攻に対策を重ねているはずだ』
『エミドには四十二大星國船団が存在しますから、そちらに招集を掛けているのかもしれません』
『そうだな』
データ上は存在するが、ノイズが多い。
詳細となると何も分からないのが、エミド四十二大星國船団だ。
....ただ、エリスの星を襲ったのは恐らくこの中の一つ。
『エリスが言っていた。空を小さい艦が埋め尽くしたと....だが、今まで会った艦艇にはそんなものはなかった』
殆どが戦艦級であり、エリスが見た小型艦はなかった。
最初は世代交代で淘汰されたのかと思っていたが、恐らく秘匿された艦隊を持っているのだろう。
『タッティラ、お前は自己犠牲についてどう思う?』
『何とも思いません。自分を誰かのために犠牲にするというのは、その時の自分の価値観次第です、他人が評するようなことではありませんから』
『そうか』
ラエリスは、第一世代型と第二世代型がいる。
第二世代型は、ラムアタックの後自爆する機能を持っているのだ。
それについて尋ねてみたのだが、AIではこういう質問に応えるのはやはり不得手のようだ。
死生観がないのだから。
『では、頼んだ』
『はい』
僕は触手を収納し、そのままアロウトへと転移した。
なにぶん急造なので、気密保持も慣性制御も行われていない。
触手を伸ばして、うまく内部を伝っていく。
『タッティラ、作業の様子はどうだ?』
『順調です!』
タッティラは、巨大なキズミのようなアイカメラを持つエクスティラノスだ。
戦闘特化では無いため、カナーティ=ノクティラノスと同様に作業用の触手を多く保持している。
一本の触手ではなく、数千本の細いケーブルが纏まって一つに見えている触手が、数十本ある。
どんな精密な作業も行えるのだ。
『現地に輸送前の資材が残ってたので、それをお借りしてます!』
『不足があれば報告しろ』
『はーい!』
カナーティが飛び回り、急ピッチで拠点の構築を進めている。
予測によれば、次に次元境界が不安定になるタイミングは四日後。
それに備えて、Ve’zの前線基地を作らなければならない。
『思えば、会うのは久々だ』
『私は戦闘特化型ではありませんから.....こういう時しか会えません』
タッティラは非武装型であり、エクスティラノスの本来の標準搭載であるニューエンド以外を持っていない。
だからヴェリアノスを離脱しなかったのだろう。
『我々は居住性を求めないため、建造は順調なのですが....これらの資源が足りません、融通できませんか?』
『......ああ、大丈夫だ』
即座に貯蔵資源リストと、資源の割り振り予定データを比較し、リスト化されていた資源を確保する。
やはり102211合金が一番よく使われるようだ。
『すまない、首都周辺の復興を願い出たタイミングで、こちらもあまり資源を確保できていない』
『いいえ! エリアス様が直々にご用意してくださった資源です、無駄なく活用していきます』
『ここはただの戦略拠点ではない。エリワンステップの.....エリスの名前を冠した、数千年ぶりのVe’zの新しい領土の最前線だ、それを忘れるな』
『はい!』
タッティラは深く頷いた。
エリスの名前を付けてしまった以上、ここをクライアレンに戻すことはあってはならない。
既に量産が始まっているラエリスが、続々とこの星系に流れ込んできている。
それだけではなく、ギニラ=ステラギノスと呼ばれる、中位の指揮AIが開発されており、こちらは全ての集合意識に繋がっているキジラを一時的に自分に接続させて統率する個体だ。
破壊されるとポッドの状態で逃げだすことができ、優先的に狙われても問題ないようになっている。
『エミドの襲撃も鳴りを潜めた。恐らく、ここの侵攻に対策を重ねているはずだ』
『エミドには四十二大星國船団が存在しますから、そちらに招集を掛けているのかもしれません』
『そうだな』
データ上は存在するが、ノイズが多い。
詳細となると何も分からないのが、エミド四十二大星國船団だ。
....ただ、エリスの星を襲ったのは恐らくこの中の一つ。
『エリスが言っていた。空を小さい艦が埋め尽くしたと....だが、今まで会った艦艇にはそんなものはなかった』
殆どが戦艦級であり、エリスが見た小型艦はなかった。
最初は世代交代で淘汰されたのかと思っていたが、恐らく秘匿された艦隊を持っているのだろう。
『タッティラ、お前は自己犠牲についてどう思う?』
『何とも思いません。自分を誰かのために犠牲にするというのは、その時の自分の価値観次第です、他人が評するようなことではありませんから』
『そうか』
ラエリスは、第一世代型と第二世代型がいる。
第二世代型は、ラムアタックの後自爆する機能を持っているのだ。
それについて尋ねてみたのだが、AIではこういう質問に応えるのはやはり不得手のようだ。
死生観がないのだから。
『では、頼んだ』
『はい』
僕は触手を収納し、そのままアロウトへと転移した。
11
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【SF短編】エリオの方舟
ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~
霧氷こあ
SF
フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。
それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?
見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。
「ここは現実であって、現実ではないの」
自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる