51 / 200
シーズン2-エミド再侵攻
051-味見の一撃
しおりを挟む
クライアレン外縁部。
そこで、三隻の船がパトロールしていた。
漏れなく全員が、脳に電極を埋め込まれたエミド兵である。
『定時報告、問題無し』
『定時報告、問題なし』
『定時報告、問題なし』
『確認した、報告する』
哨戒中のフリゲート三隻からの報告を受け、旗艦である流線型の巡洋艦内部で眠る男はそう返した。
そして、男が本国へのリレー通信を行おうとした時。
通信が、唐突に切断された。
『...異常事態発生。トラブルシューティングを開始、再接続...』
いつもと違う事態に、艦隊の司令官であるエミド兵が慌て始めた時。
視界の真ん前で、巨大なワームホールが口を開けた。
『緊急事態発生、緊急事態発生。外部との通信が切断、ローカル通信は良好。ワームホール内部に複数のワームホールゲート確認。ただし、中央コントロールセンターへの攻撃は依然として無し。全艦、直ちに帰投し防衛を行え』
そんな通信が、コントロールセンターより発令された。
エミド兵はこの上位の指令に逆らえないため、慌ててワープ態勢に入るものの...
『捕まえた』
アドラスの艦隊から放たれた重力波により、ワープを妨害されてしまう。
先行していたフリゲート艦隊は逃げ遂せたが、巡洋艦三隻はVe‘zのセントリーレーザーによる射撃を受け、爆沈の憂き目に遭った。
『第四惑星監視ステーション、沈黙』
『第七小型船舶港、通信途絶』
ワームホールを破壊されたクライアレンは、凄まじい勢いで侵攻を受けていた。
ニューエンドとアルカンシェルの斉射により、ステーションや基地は一撃で破壊され、指揮系統を失い混乱する小型艦隊は、迷走の果てにアドラスと遭遇して壊滅させられた。
星系中に散らばったカナーティ=ノクティラノスが、領域監視用の装置を係留していく。
中央コントロールセンターの残骸を片付けたノクティラノス達は、喜んで立派な城砦を建造し始めるのであった。
「...早過ぎる」
僕はその惨状に、驚きを隠せなかった。
もう少し善戦すると思っていたのだが、コントロールセンターが陥落すると同時に全ての艦船が沈黙した。
「だが、意外な弱点が発覚したな」
エミド艦はなんらかの方法でコントロールされており、内部の人間はそのコントロールが切れると何もできなくなる。
『現在拠点を構築中です、エリアス様にお見せできるような、モニュメントのような役割も兼ねています』
「...そうか」
そのサービスは必要無いのだが...
しかし、ノクティラノスが勝手に始めたことであれば、それを尊重しよう。
「さあ、ワームホールの次点収束場を狭めろ。ここを起点に、エミドに噛み付く」
『仰せのままに』
ジェネラスは通信の向こうで、不敵に笑ってくれた。
ここからやる事は限られる。
まずは、Ve‘z領域を襲ってくるエミドの撃退。
次に、エミド領域への侵攻。
そして、エミド支配領域の植民地化。
簡単に奪還できなくするために、ワームホール内で補給を完結できるようにするべきだ。
セルフメンテナンス式のアドラスと違って、ノクティラノス達は自力修復はほぼ出来ない。
現地調達は視野に入れておいたほうがいいだろう。
そこで、三隻の船がパトロールしていた。
漏れなく全員が、脳に電極を埋め込まれたエミド兵である。
『定時報告、問題無し』
『定時報告、問題なし』
『定時報告、問題なし』
『確認した、報告する』
哨戒中のフリゲート三隻からの報告を受け、旗艦である流線型の巡洋艦内部で眠る男はそう返した。
そして、男が本国へのリレー通信を行おうとした時。
通信が、唐突に切断された。
『...異常事態発生。トラブルシューティングを開始、再接続...』
いつもと違う事態に、艦隊の司令官であるエミド兵が慌て始めた時。
視界の真ん前で、巨大なワームホールが口を開けた。
『緊急事態発生、緊急事態発生。外部との通信が切断、ローカル通信は良好。ワームホール内部に複数のワームホールゲート確認。ただし、中央コントロールセンターへの攻撃は依然として無し。全艦、直ちに帰投し防衛を行え』
そんな通信が、コントロールセンターより発令された。
エミド兵はこの上位の指令に逆らえないため、慌ててワープ態勢に入るものの...
『捕まえた』
アドラスの艦隊から放たれた重力波により、ワープを妨害されてしまう。
先行していたフリゲート艦隊は逃げ遂せたが、巡洋艦三隻はVe‘zのセントリーレーザーによる射撃を受け、爆沈の憂き目に遭った。
『第四惑星監視ステーション、沈黙』
『第七小型船舶港、通信途絶』
ワームホールを破壊されたクライアレンは、凄まじい勢いで侵攻を受けていた。
ニューエンドとアルカンシェルの斉射により、ステーションや基地は一撃で破壊され、指揮系統を失い混乱する小型艦隊は、迷走の果てにアドラスと遭遇して壊滅させられた。
星系中に散らばったカナーティ=ノクティラノスが、領域監視用の装置を係留していく。
中央コントロールセンターの残骸を片付けたノクティラノス達は、喜んで立派な城砦を建造し始めるのであった。
「...早過ぎる」
僕はその惨状に、驚きを隠せなかった。
もう少し善戦すると思っていたのだが、コントロールセンターが陥落すると同時に全ての艦船が沈黙した。
「だが、意外な弱点が発覚したな」
エミド艦はなんらかの方法でコントロールされており、内部の人間はそのコントロールが切れると何もできなくなる。
『現在拠点を構築中です、エリアス様にお見せできるような、モニュメントのような役割も兼ねています』
「...そうか」
そのサービスは必要無いのだが...
しかし、ノクティラノスが勝手に始めたことであれば、それを尊重しよう。
「さあ、ワームホールの次点収束場を狭めろ。ここを起点に、エミドに噛み付く」
『仰せのままに』
ジェネラスは通信の向こうで、不敵に笑ってくれた。
ここからやる事は限られる。
まずは、Ve‘z領域を襲ってくるエミドの撃退。
次に、エミド領域への侵攻。
そして、エミド支配領域の植民地化。
簡単に奪還できなくするために、ワームホール内で補給を完結できるようにするべきだ。
セルフメンテナンス式のアドラスと違って、ノクティラノス達は自力修復はほぼ出来ない。
現地調達は視野に入れておいたほうがいいだろう。
11
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【SF短編】エリオの方舟
ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~
霧氷こあ
SF
フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。
それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?
見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。
「ここは現実であって、現実ではないの」
自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる