45 / 200
シーズン2-エミド再侵攻
045-黒き渦
しおりを挟む
『.....来た、ね』
ワームホールが一瞬歪み、そこからオーロクルが現れた。
オーロクルは細長い艦体を持つ船で、後ろ側に出っ張りがありそこにシールドバニッシャーが搭載されている。
『じゃ、攻撃します』
この場にはアドラスしかいない。
後詰めはいるが....
『(私ひとりで倒さないと、禊の意味がないよね!)』
アドラスは張り切っていた。
アドラスの秘密兵器はいまだ、手札として残っているのだから。
『うーん、やっぱり硬いなぁ』
エミドがシールドトランスファーアレイをオーロクルに向けたせいで、アドラスの攻撃はオーロクルに通らない。
いや、確実に削ってはいるものの、オーロクルのシールドバニッシャーのチャージの時間を許してしまう。
『シールドが消えたね』
だが、アドラスは動揺しない。
直後、パーティクルオシレーションディケイ(POD)がアドラスの装甲を分解し始める。
『どうした、アドラス?』
『.....もう少し待って、ください....』
エリアスからの疑念を持った声に、アドラスは待ったをかけた。
アドラスの代替兵器は、慎重さと時間が必要だ。
『第一装甲板、崩壊。第二装甲板の分解が開始.....でも。』
アドラスは笑った。
それは、勝利を確信した笑みだ。
『トゥールビヨン、起動』
アドラスの角ばった船体にラインが走り、そのラインの部分が稼働して、その船体を更にデコボコとした形に変化させる。
直後。
オーロクルを中心に巨大な重力異常が発生する。
重力の歪みは急速に熱量を失うことで質量を増大させ、法則の穴――――疑似ブラックホールと化す。
「な、何だこれは!?」
ジェキドはその光景を見て、動揺した。
Ve’zのワームホールを制御できる技術については知っていたが、ブラックホールを疑似的に生成できるなど聞いたこともなかった。
惑星を引き裂く力を持たないアドラスがなぜ惑星を引き裂けたのか。
それは、この『トールビヨン』にあったのである。
「ギ......オーロクルが.....重力場から抜け出せません! シールド崩壊! 船体は10秒と持ちません」
「これは驚いた。仕方あるまい、オーロクルは捨てようではないか」
重力場の中央に引きずり込まれたオーロクルは、シールドごと船体が歪み、空間ごと複雑に捩れて爆縮した。
それと同時に、アドラスの船体が元に戻り、ブラックホールは消え去った。
『いやー流石だねぇ』
『クラッキングを再開する』
しばらく経ってから、ポラノルとグレゴルが戻ってきた。
ポラノルはそのまま敵残存艦隊へ、グレゴルはトランスファーアレイにクラッキングを仕掛けてポラノルを援護する。
『エリアス様の役に立てた....うれしい!!』
アドラスは喜びながら、その全身からミサイルとビームを連射する。
『うわーッ!? ボクがいるのに無茶苦茶だ!』
ポラノルは短距離跳躍を繰り返しつつ、敵のセンサーをジャミングした上でミサイルを誘導して直撃させていく。
『ど.....どうせ、それくらいじゃ....死なないでしょ....?』
『酷い!』
こうして、遺物頼りであった先遣隊は全滅した。
だが、戦いは未だ終わってはいない。
Ve‘zの技術に脅威を見出すジェキドは、上位存在に与えられた使命の為にVe’zを滅ぼさなければならない。
こうして、小競り合いは大規模な戦争へと発展していくのだった。
ワームホールが一瞬歪み、そこからオーロクルが現れた。
オーロクルは細長い艦体を持つ船で、後ろ側に出っ張りがありそこにシールドバニッシャーが搭載されている。
『じゃ、攻撃します』
この場にはアドラスしかいない。
後詰めはいるが....
『(私ひとりで倒さないと、禊の意味がないよね!)』
アドラスは張り切っていた。
アドラスの秘密兵器はいまだ、手札として残っているのだから。
『うーん、やっぱり硬いなぁ』
エミドがシールドトランスファーアレイをオーロクルに向けたせいで、アドラスの攻撃はオーロクルに通らない。
いや、確実に削ってはいるものの、オーロクルのシールドバニッシャーのチャージの時間を許してしまう。
『シールドが消えたね』
だが、アドラスは動揺しない。
直後、パーティクルオシレーションディケイ(POD)がアドラスの装甲を分解し始める。
『どうした、アドラス?』
『.....もう少し待って、ください....』
エリアスからの疑念を持った声に、アドラスは待ったをかけた。
アドラスの代替兵器は、慎重さと時間が必要だ。
『第一装甲板、崩壊。第二装甲板の分解が開始.....でも。』
アドラスは笑った。
それは、勝利を確信した笑みだ。
『トゥールビヨン、起動』
アドラスの角ばった船体にラインが走り、そのラインの部分が稼働して、その船体を更にデコボコとした形に変化させる。
直後。
オーロクルを中心に巨大な重力異常が発生する。
重力の歪みは急速に熱量を失うことで質量を増大させ、法則の穴――――疑似ブラックホールと化す。
「な、何だこれは!?」
ジェキドはその光景を見て、動揺した。
Ve’zのワームホールを制御できる技術については知っていたが、ブラックホールを疑似的に生成できるなど聞いたこともなかった。
惑星を引き裂く力を持たないアドラスがなぜ惑星を引き裂けたのか。
それは、この『トールビヨン』にあったのである。
「ギ......オーロクルが.....重力場から抜け出せません! シールド崩壊! 船体は10秒と持ちません」
「これは驚いた。仕方あるまい、オーロクルは捨てようではないか」
重力場の中央に引きずり込まれたオーロクルは、シールドごと船体が歪み、空間ごと複雑に捩れて爆縮した。
それと同時に、アドラスの船体が元に戻り、ブラックホールは消え去った。
『いやー流石だねぇ』
『クラッキングを再開する』
しばらく経ってから、ポラノルとグレゴルが戻ってきた。
ポラノルはそのまま敵残存艦隊へ、グレゴルはトランスファーアレイにクラッキングを仕掛けてポラノルを援護する。
『エリアス様の役に立てた....うれしい!!』
アドラスは喜びながら、その全身からミサイルとビームを連射する。
『うわーッ!? ボクがいるのに無茶苦茶だ!』
ポラノルは短距離跳躍を繰り返しつつ、敵のセンサーをジャミングした上でミサイルを誘導して直撃させていく。
『ど.....どうせ、それくらいじゃ....死なないでしょ....?』
『酷い!』
こうして、遺物頼りであった先遣隊は全滅した。
だが、戦いは未だ終わってはいない。
Ve‘zの技術に脅威を見出すジェキドは、上位存在に与えられた使命の為にVe’zを滅ぼさなければならない。
こうして、小競り合いは大規模な戦争へと発展していくのだった。
11
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【SF短編】エリオの方舟
ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
Reboot ~AIに管理を任せたVRMMOが反旗を翻したので運営と力を合わせて攻略します~
霧氷こあ
SF
フルダイブMMORPGのクローズドβテストに参加した三人が、システム統括のAI『アイリス』によって閉じ込められた。
それを助けるためログインしたクロノスだったが、アイリスの妨害によりレベル1に……!?
見兼ねたシステム設計者で運営である『イヴ』がハイエルフの姿を借りて仮想空間に入り込む。だがそこはすでに、AIが統治する恐ろしくも残酷な世界だった。
「ここは現実であって、現実ではないの」
自我を持ち始めた混沌とした世界、乖離していく紅の世界。相反する二つを結ぶ少年と少女を描いたSFファンタジー。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか
ピモラス
ファンタジー
自動車工場で働くケンはいつも通りに仕事を終えて、帰りのバスのなかでうたた寝をしていた。
目を覚ますと、見知らぬ草原の真っ只中だった。
なんとか民家を見つけ、助けを求めたのだが、兵士を呼ばれて投獄されてしまう。
そこへ返り血に染まった吸血鬼が襲撃に現れ、ケンを誘拐する。
その目的は「ロボットを修理しろ」とのことだった・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる