SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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シーズン2-エミド再侵攻

044-新たな手札

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「ジェキド様、前衛の艦隊が全滅しました。システムノードへの大規模な干渉を確認」
「遮断せよ。即座にバイパスシステムへと切り替えるのだ」
「はい」

エミド本星では、エミド艦への通信ルートを使ってシステムのクラックを試みるグレゴルとの戦いが繰り広げられていた。
エミドの本星に張り巡らされたネットワークは、相互ブロックチェーンとそれによるバイパスへの即座の切り替えにより、汚染されたネットワーク領域を即座に遮断して切り替えが可能となっている。

「”先代”の技術ではあるが、我々にも問題なく扱う事が出来る様だな」
「深淵書庫の閉架技術ですか?」
「そうだ、興味があるか?」
「ジェキド様がお望みであれば、興味を持ちます」

ジェキドは一瞬笑ったが、返ってきた返事に無表情になる。

「....そうだな、では持つがいい」
「はっ」

キシナの抑制レベルが下げられているのは、ひとえにジェキドの趣味である。
しかしながら、ジェキドはこの程度の抑制レベルでは正しい返答を返せないと判ずる。

「今日は下がれキシナ。お前のクローンのバルマ隕鉄を出動させる」
「分かりました」

キシナはジェキドに一礼すると去って行く。
キシナはエミドの中枢コンピューターのインターフェースに過ぎないため、下がらせても特に問題が無い。

「バルマよ、聞こえているか?」
『ハ。ジェキド様』
「ワームホール内に隠しているオーロクルを出撃させよ。あれはVe’zにはよく効くはずだ」
『わかりました、指揮権をお渡しください』
「任せよう」

ジェキドは無感情に徹し、命じた。
全ては宇宙のバランスを乱さぬために。






『こちらジェネラス、ワームホール内に動きあり。敵艦、恐らくエミド戦艦オーロクル級と思われまする、如何いたしましょうか』
「シーシャ、敵の情報は?」
『オーロクル級制空戦艦、製造:ポーロック第四兵器工場、Ve’zのシールドに対して中和効果のある『イーロカ式ティラスバニッシャー』を搭載しています。ポラノルと接敵した場合、ポラノルの艦船は43%の確率で破壊されます』
「それは困るな、ポラノルは下がれ」
『了解!』

Ve’zの情報収集能力は半端ではないのは分かっていたが、エミドも完全調査済みなのは驚いた。
隠し玉は多少あるだろうが、殆どの読み合いにおいてこちらに利がある。

『アドラス、接敵による破壊確率:2%、グレゴル:21%、ジェネラス:0%』

流石にジェネラスは強いか。
ジェネラスは何より、Ve‘zのセンサーでも見つけづらい程の遮蔽能力を持っている。
敵を狙う時間は十分にあるわけだ。
武人キャラではあるものの、その戦法は狡いと言っても過言ではないだろうな。
勿論、直接撃ち合っても強い。
ジェネラスの装甲は熱分散装甲で、レーザーのエネルギーを分散させて急速に減衰させる。
その分ミサイルなどの爆発には弱いが...しかし、座標を意図しない緊急ジャンプで逃げ切ることも可能だ。

「アドラス、そのまま前進しろ。ジェネラスは潜伏を継続、グレゴルは侵入を中断してこちら側のワームホールに戻れ」
『はっ』

ワームホールは基本一方通行であり、途中で戻るような器用な真似は普通の船ではできない。
ジェネラスが潜伏しているワームホールで、相手が逃げた場合に捕まえるのが目的である。

「思えば、こうした睨み合いは殆どありませんでした。我々にとっては、新鮮な体験ですね」

カサンドラが呟く。
僕はともかく、エリアスにとっても初めてだろう。
これは、そんな歴史的な睨み合いなのだ。
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