44 / 200
シーズン2-エミド再侵攻
044-新たな手札
しおりを挟む
「ジェキド様、前衛の艦隊が全滅しました。システムノードへの大規模な干渉を確認」
「遮断せよ。即座にバイパスシステムへと切り替えるのだ」
「はい」
エミド本星では、エミド艦への通信ルートを使ってシステムのクラックを試みるグレゴルとの戦いが繰り広げられていた。
エミドの本星に張り巡らされたネットワークは、相互ブロックチェーンとそれによるバイパスへの即座の切り替えにより、汚染されたネットワーク領域を即座に遮断して切り替えが可能となっている。
「”先代”の技術ではあるが、我々にも問題なく扱う事が出来る様だな」
「深淵書庫の閉架技術ですか?」
「そうだ、興味があるか?」
「ジェキド様がお望みであれば、興味を持ちます」
ジェキドは一瞬笑ったが、返ってきた返事に無表情になる。
「....そうだな、では持つがいい」
「はっ」
キシナの抑制レベルが下げられているのは、ひとえにジェキドの趣味である。
しかしながら、ジェキドはこの程度の抑制レベルでは正しい返答を返せないと判ずる。
「今日は下がれキシナ。お前のクローンのバルマを出動させる」
「分かりました」
キシナはジェキドに一礼すると去って行く。
キシナはエミドの中枢コンピューターのインターフェースに過ぎないため、下がらせても特に問題が無い。
「バルマよ、聞こえているか?」
『ハ。ジェキド様』
「ワームホール内に隠しているオーロクルを出撃させよ。あれはVe’zにはよく効くはずだ」
『わかりました、指揮権をお渡しください』
「任せよう」
ジェキドは無感情に徹し、命じた。
全ては宇宙のバランスを乱さぬために。
『こちらジェネラス、ワームホール内に動きあり。敵艦、恐らくエミド戦艦オーロクル級と思われまする、如何いたしましょうか』
「シーシャ、敵の情報は?」
『オーロクル級制空戦艦、製造:ポーロック第四兵器工場、Ve’zのシールドに対して中和効果のある『イーロカ式ティラスバニッシャー』を搭載しています。ポラノルと接敵した場合、ポラノルの艦船は43%の確率で破壊されます』
「それは困るな、ポラノルは下がれ」
『了解!』
Ve’zの情報収集能力は半端ではないのは分かっていたが、エミドも完全調査済みなのは驚いた。
隠し玉は多少あるだろうが、殆どの読み合いにおいてこちらに利がある。
『アドラス、接敵による破壊確率:2%、グレゴル:21%、ジェネラス:0%』
流石にジェネラスは強いか。
ジェネラスは何より、Ve‘zのセンサーでも見つけづらい程の遮蔽能力を持っている。
敵を狙う時間は十分にあるわけだ。
武人キャラではあるものの、その戦法は狡いと言っても過言ではないだろうな。
勿論、直接撃ち合っても強い。
ジェネラスの装甲は熱分散装甲で、レーザーのエネルギーを分散させて急速に減衰させる。
その分ミサイルなどの爆発には弱いが...しかし、座標を意図しない緊急ジャンプで逃げ切ることも可能だ。
「アドラス、そのまま前進しろ。ジェネラスは潜伏を継続、グレゴルは侵入を中断してこちら側のワームホールに戻れ」
『はっ』
ワームホールは基本一方通行であり、途中で戻るような器用な真似は普通の船ではできない。
ジェネラスが潜伏しているワームホールで、相手が逃げた場合に捕まえるのが目的である。
「思えば、こうした睨み合いは殆どありませんでした。我々にとっては、新鮮な体験ですね」
カサンドラが呟く。
僕はともかく、エリアスにとっても初めてだろう。
これは、そんな歴史的な睨み合いなのだ。
「遮断せよ。即座にバイパスシステムへと切り替えるのだ」
「はい」
エミド本星では、エミド艦への通信ルートを使ってシステムのクラックを試みるグレゴルとの戦いが繰り広げられていた。
エミドの本星に張り巡らされたネットワークは、相互ブロックチェーンとそれによるバイパスへの即座の切り替えにより、汚染されたネットワーク領域を即座に遮断して切り替えが可能となっている。
「”先代”の技術ではあるが、我々にも問題なく扱う事が出来る様だな」
「深淵書庫の閉架技術ですか?」
「そうだ、興味があるか?」
「ジェキド様がお望みであれば、興味を持ちます」
ジェキドは一瞬笑ったが、返ってきた返事に無表情になる。
「....そうだな、では持つがいい」
「はっ」
キシナの抑制レベルが下げられているのは、ひとえにジェキドの趣味である。
しかしながら、ジェキドはこの程度の抑制レベルでは正しい返答を返せないと判ずる。
「今日は下がれキシナ。お前のクローンのバルマを出動させる」
「分かりました」
キシナはジェキドに一礼すると去って行く。
キシナはエミドの中枢コンピューターのインターフェースに過ぎないため、下がらせても特に問題が無い。
「バルマよ、聞こえているか?」
『ハ。ジェキド様』
「ワームホール内に隠しているオーロクルを出撃させよ。あれはVe’zにはよく効くはずだ」
『わかりました、指揮権をお渡しください』
「任せよう」
ジェキドは無感情に徹し、命じた。
全ては宇宙のバランスを乱さぬために。
『こちらジェネラス、ワームホール内に動きあり。敵艦、恐らくエミド戦艦オーロクル級と思われまする、如何いたしましょうか』
「シーシャ、敵の情報は?」
『オーロクル級制空戦艦、製造:ポーロック第四兵器工場、Ve’zのシールドに対して中和効果のある『イーロカ式ティラスバニッシャー』を搭載しています。ポラノルと接敵した場合、ポラノルの艦船は43%の確率で破壊されます』
「それは困るな、ポラノルは下がれ」
『了解!』
Ve’zの情報収集能力は半端ではないのは分かっていたが、エミドも完全調査済みなのは驚いた。
隠し玉は多少あるだろうが、殆どの読み合いにおいてこちらに利がある。
『アドラス、接敵による破壊確率:2%、グレゴル:21%、ジェネラス:0%』
流石にジェネラスは強いか。
ジェネラスは何より、Ve‘zのセンサーでも見つけづらい程の遮蔽能力を持っている。
敵を狙う時間は十分にあるわけだ。
武人キャラではあるものの、その戦法は狡いと言っても過言ではないだろうな。
勿論、直接撃ち合っても強い。
ジェネラスの装甲は熱分散装甲で、レーザーのエネルギーを分散させて急速に減衰させる。
その分ミサイルなどの爆発には弱いが...しかし、座標を意図しない緊急ジャンプで逃げ切ることも可能だ。
「アドラス、そのまま前進しろ。ジェネラスは潜伏を継続、グレゴルは侵入を中断してこちら側のワームホールに戻れ」
『はっ』
ワームホールは基本一方通行であり、途中で戻るような器用な真似は普通の船ではできない。
ジェネラスが潜伏しているワームホールで、相手が逃げた場合に捕まえるのが目的である。
「思えば、こうした睨み合いは殆どありませんでした。我々にとっては、新鮮な体験ですね」
カサンドラが呟く。
僕はともかく、エリアスにとっても初めてだろう。
これは、そんな歴史的な睨み合いなのだ。
11
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
【SF短編】エリオの方舟
ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる