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シーズン1-悪夢の始まり
031-謝罪
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僕がエリスのいる場所に辿り着いた時、彼女は最初に出会った場所にいた。
カサンドラに用意してもらった資材で、ベンチをDIYしたのを思い出した。
そして予想通り、彼女はそこに座っていた。
「...エリス」
「......」
彼女は何も言わない。
どんな顔をしているのか、見ようと思えば見れる。
都市中にセンサーがあるのだから。
しかし、僕にはできなかった。
「.......エリアス」
「....!」
その時。
エリスが話しかけてきた。
どう返すべきか、どんなパターンを組んで思考すればいいか、全く分からない。
「.....私、別に怒ってないわ」
「....だが」
「あそこは私の故郷だったし、それを粉々にしてしまったのは貴女だけれど」
「......」
次の言葉が聞きたくなくて、僕はテレポートしようとする。
だが、次の言葉を聞いて、逃げるわけにはいかなくなった。
「......でも、私の未練はなくなったわね」
「...どうして、そんなに軽く考えられる?」
「だって、私の家族が私になんて言ったと思う?」
「.........」
それはまだ、聞いていない。
僕は沈黙をもって返答を返す。
「......私を拾って育てたのは、老後の資金を稼いでもらうためだって。丁度いいからTRINITY.に賞金を懸けられている私を引き渡して、遊ぶ金の足しにするって」
「.....それだけで、あの星が吹き飛んでもいいと?」
「そうは言ってないけれど、私が撃たれた時に、”薙ぎ払え、全てを”って言ってたでしょ? それだけ怒ってたなら、もう仕方ないと思うわ」
彼女が言いたいことは分かる。
自分は気にしていないけれど、僕はその罪を一生抱えて行け、という事だろう。
「僕を恨んだり、憎んだりしないのか?」
「......あのね、私は...故郷を吹き飛ばしたエミドが憎いわ。でも、それはエミドが何の理由もなく星を吹き飛ばしてみんなを殺したから憎いのよ」
「......」
理由があれば許されることなのか?
分からない。
だが一つだけ言えることがある、出来ることがある。
「本当に、ごめんなさい.......」
地球式とはいえ、頭を下げる文化はあるらしいので全力で土下座する。
直後、エリスが立ち上がって、下げた僕の頭を蹴り飛ばした。
「!?」
「これでいいでしょ! くよくよ悩まなくていいわ!」
「....あ、ああ」
強烈な一撃だった。
心にしっかりと染みわたるような。
「......私は貴女みたいに真面目な性格じゃないわ。第二の故郷が粉々になって悲しいけれど、思い出は思い出の中にしか価値はないもの。当時の人たちは別に私に優しくもなかったし、その.....その.....」
段々と声が震えてきた。
僕が顔を上げると、エリスの頬を涙が伝っていた。
「.....わかった、僕はこの罪を絶対に忘れない」
「そういう....事じゃないのだけど.....いいわ」
僕は彼女に歩み寄って、涙を手で拭った。
エリスはにっこり笑って、僕の手をがっしり掴んだ。
「......許したわけじゃないわ」
「ああ」
少し溝が深まったかもしれないが、まだ関係は続いているという事だろうか。
だとすれば.......良かった。
「それに、私はもう半分くらいVe’z人なんでしょう?」
「そう....だな」
Ve’z人は全身を人工のものに置き換えた超生命体らしいので、エリスの状態は正確には異なるが、だいたいそういう感じの身体だ。
「だったら、これ以上私に何かしないって約束してくれる?」
「....ああ」
当然だ。
今回だって彼女の意思を無視してしまったのだから。
「じゃあ行きましょう」
「どこへ?」
突然、エリスが僕の手を引く。
どこへ行くかと僕が尋ねたら、彼女は笑って答えた。
「お風呂に決まってるでしょ! まだ入ってないんだから!」
カサンドラに用意してもらった資材で、ベンチをDIYしたのを思い出した。
そして予想通り、彼女はそこに座っていた。
「...エリス」
「......」
彼女は何も言わない。
どんな顔をしているのか、見ようと思えば見れる。
都市中にセンサーがあるのだから。
しかし、僕にはできなかった。
「.......エリアス」
「....!」
その時。
エリスが話しかけてきた。
どう返すべきか、どんなパターンを組んで思考すればいいか、全く分からない。
「.....私、別に怒ってないわ」
「....だが」
「あそこは私の故郷だったし、それを粉々にしてしまったのは貴女だけれど」
「......」
次の言葉が聞きたくなくて、僕はテレポートしようとする。
だが、次の言葉を聞いて、逃げるわけにはいかなくなった。
「......でも、私の未練はなくなったわね」
「...どうして、そんなに軽く考えられる?」
「だって、私の家族が私になんて言ったと思う?」
「.........」
それはまだ、聞いていない。
僕は沈黙をもって返答を返す。
「......私を拾って育てたのは、老後の資金を稼いでもらうためだって。丁度いいからTRINITY.に賞金を懸けられている私を引き渡して、遊ぶ金の足しにするって」
「.....それだけで、あの星が吹き飛んでもいいと?」
「そうは言ってないけれど、私が撃たれた時に、”薙ぎ払え、全てを”って言ってたでしょ? それだけ怒ってたなら、もう仕方ないと思うわ」
彼女が言いたいことは分かる。
自分は気にしていないけれど、僕はその罪を一生抱えて行け、という事だろう。
「僕を恨んだり、憎んだりしないのか?」
「......あのね、私は...故郷を吹き飛ばしたエミドが憎いわ。でも、それはエミドが何の理由もなく星を吹き飛ばしてみんなを殺したから憎いのよ」
「......」
理由があれば許されることなのか?
分からない。
だが一つだけ言えることがある、出来ることがある。
「本当に、ごめんなさい.......」
地球式とはいえ、頭を下げる文化はあるらしいので全力で土下座する。
直後、エリスが立ち上がって、下げた僕の頭を蹴り飛ばした。
「!?」
「これでいいでしょ! くよくよ悩まなくていいわ!」
「....あ、ああ」
強烈な一撃だった。
心にしっかりと染みわたるような。
「......私は貴女みたいに真面目な性格じゃないわ。第二の故郷が粉々になって悲しいけれど、思い出は思い出の中にしか価値はないもの。当時の人たちは別に私に優しくもなかったし、その.....その.....」
段々と声が震えてきた。
僕が顔を上げると、エリスの頬を涙が伝っていた。
「.....わかった、僕はこの罪を絶対に忘れない」
「そういう....事じゃないのだけど.....いいわ」
僕は彼女に歩み寄って、涙を手で拭った。
エリスはにっこり笑って、僕の手をがっしり掴んだ。
「......許したわけじゃないわ」
「ああ」
少し溝が深まったかもしれないが、まだ関係は続いているという事だろうか。
だとすれば.......良かった。
「それに、私はもう半分くらいVe’z人なんでしょう?」
「そう....だな」
Ve’z人は全身を人工のものに置き換えた超生命体らしいので、エリスの状態は正確には異なるが、だいたいそういう感じの身体だ。
「だったら、これ以上私に何かしないって約束してくれる?」
「....ああ」
当然だ。
今回だって彼女の意思を無視してしまったのだから。
「じゃあ行きましょう」
「どこへ?」
突然、エリスが僕の手を引く。
どこへ行くかと僕が尋ねたら、彼女は笑って答えた。
「お風呂に決まってるでしょ! まだ入ってないんだから!」
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