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シーズン1-悪夢の始まり
029-惨劇
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メッティーラは、即座にそれを実行した。
自分と、周囲のシュヴァリエ・ノクティラノスの機体性能では、全てを薙ぎ払う事など到底不可能である。
それ故に、一番近くにある質量に目をつけた。
『こちらメッティーラ=エクスティラノス。グレゴル=エクスティラノスに兵器使用の許可を申請します』
『こちら“宝物殿”管理、グレゴル=エクスティラノス。用途を説明せよ』
『作戦の遂行に、こちら側の戦力では困難と判断。惑星破壊装置を使用する』
『了解した、そちらにゲートを開く』
そして、禁断の扉は開かれる。
ワームホールがメッティーラの艦隊の背後に出現し、天体規模の構造物が出現した。
メッティーラは構造物に取り付いて内部システムにアクセスする。
『エネルギーは完全に充填されています――――照準固定』
その構造物は、重力を操作して近くの質量物――――ガゼラークⅣへと砲身を向ける。
本来は惑星を破壊する兵器ではあるが、今回の場合は破壊に伴う衝撃波で全てを薙ぎ払うための手段として使われていた。
『発射』
秒読みは必要ない。
砲身もまた、形だけのものだ。
重力制御空間内で指向性を持たせられた光の奔流が、正確な座標に向かって放たれた。
光線は宇宙の暗闇を明るく照らし、惑星へとその鉾先を突き立てた。
凄まじい衝撃波が惑星の地上を蹂躙し、雲が吹き飛ぶ。
『惑星核到達まで残り7秒』
カウントダウンは無慈悲に進み、惑星の核にまで光線が到達する。
その瞬間、破滅へのプロセスは開始されたのだ。
惑星核に到達した光線は、その質量を急速に増大させたうえで、惑星の重力場を内側から崩壊させる。
行き場をなくしたエネルギーは破壊力と化して惑星のマントルと反応し、内側から何千何万の光となって惑星の外殻を吹き飛ばす。
「こ、これは!?」
TRINITY.旗艦の艦橋で、クリストフは叫ぶ。
衝撃波でシールドを失った艦隊は、迫ってくる大陸サイズの岩盤相手に何もできずに巻き込まれ、全滅した。
惑星の爆発は近辺のステーションや前哨基地にも甚大な被害を与え、直後に襲い掛かった莫大な熱量を受けて融解し、全ての生ける物たちは全滅した。
『作戦成功、現宙域内の対象物全てを撃滅することに成功しました』
メッティーラは若干嬉しそうに言い終えた。
主の命令をこんなにも綺麗に終えられたのだから。
『エリアス様、作戦が完了――――』
『.....すまない、先に帰還している! お前たちは、宙域の生存者を可能な限り抹殺しろ』
『...はい』
メッティーラはその言葉で何かを察する。
主であるエリアスが拾ってきて、自由にさせている人間。
彼女の所有物であるエリスに何かあったのだと。
『....ノクティラノス、宙域を殲滅せよ!』
メッティーラはシュヴァリエに生存反応を探索するように命じたのだった。
「.......ケルビス!」
都市に戻った僕は、ケルビスを呼ぶ。
するとすぐに、その場に籠を抱えたケルビスがやってきた。
籠には半分ほど何かの果物が入っていた。
「.....エリスが危篤だ、しかし僕では.....」
「私めにお任せください!」
ケルビスが手を差し出してくる。
僕は彼の手を掴んで、テレポートに乗る。
飛んだ先は、エリスの寝室だった。
「.......恐らく、内蔵が損傷しています。撃たれたのは数度でしょう」
「治癒できるか?」
「時間が経ちすぎていますね......しかし、エリス様が望まれない形であれば治癒は可能です」
「?」
疑問符を浮かべる僕だったが、情報共有で即座に理解した。
僕の身体が高速で治癒するのは、ナノマシンの高速分裂によるものだ。
彼女を、同じ状態にする事で、命を救う事が出来る。
だが、それは....
「エリスを、一部とはいえVe’z人と同じにするという事か....」
「このまま放置しますと、脳に影響が出始めるでしょう。エリアス様、どうなされますか?」
エクスティラノスたちは、僕の背中を押してはくれない。
彼らは押される側であるからだ。
「.........分かった」
僕は頷き、ケルビスにやれと命じた。
自分と、周囲のシュヴァリエ・ノクティラノスの機体性能では、全てを薙ぎ払う事など到底不可能である。
それ故に、一番近くにある質量に目をつけた。
『こちらメッティーラ=エクスティラノス。グレゴル=エクスティラノスに兵器使用の許可を申請します』
『こちら“宝物殿”管理、グレゴル=エクスティラノス。用途を説明せよ』
『作戦の遂行に、こちら側の戦力では困難と判断。惑星破壊装置を使用する』
『了解した、そちらにゲートを開く』
そして、禁断の扉は開かれる。
ワームホールがメッティーラの艦隊の背後に出現し、天体規模の構造物が出現した。
メッティーラは構造物に取り付いて内部システムにアクセスする。
『エネルギーは完全に充填されています――――照準固定』
その構造物は、重力を操作して近くの質量物――――ガゼラークⅣへと砲身を向ける。
本来は惑星を破壊する兵器ではあるが、今回の場合は破壊に伴う衝撃波で全てを薙ぎ払うための手段として使われていた。
『発射』
秒読みは必要ない。
砲身もまた、形だけのものだ。
重力制御空間内で指向性を持たせられた光の奔流が、正確な座標に向かって放たれた。
光線は宇宙の暗闇を明るく照らし、惑星へとその鉾先を突き立てた。
凄まじい衝撃波が惑星の地上を蹂躙し、雲が吹き飛ぶ。
『惑星核到達まで残り7秒』
カウントダウンは無慈悲に進み、惑星の核にまで光線が到達する。
その瞬間、破滅へのプロセスは開始されたのだ。
惑星核に到達した光線は、その質量を急速に増大させたうえで、惑星の重力場を内側から崩壊させる。
行き場をなくしたエネルギーは破壊力と化して惑星のマントルと反応し、内側から何千何万の光となって惑星の外殻を吹き飛ばす。
「こ、これは!?」
TRINITY.旗艦の艦橋で、クリストフは叫ぶ。
衝撃波でシールドを失った艦隊は、迫ってくる大陸サイズの岩盤相手に何もできずに巻き込まれ、全滅した。
惑星の爆発は近辺のステーションや前哨基地にも甚大な被害を与え、直後に襲い掛かった莫大な熱量を受けて融解し、全ての生ける物たちは全滅した。
『作戦成功、現宙域内の対象物全てを撃滅することに成功しました』
メッティーラは若干嬉しそうに言い終えた。
主の命令をこんなにも綺麗に終えられたのだから。
『エリアス様、作戦が完了――――』
『.....すまない、先に帰還している! お前たちは、宙域の生存者を可能な限り抹殺しろ』
『...はい』
メッティーラはその言葉で何かを察する。
主であるエリアスが拾ってきて、自由にさせている人間。
彼女の所有物であるエリスに何かあったのだと。
『....ノクティラノス、宙域を殲滅せよ!』
メッティーラはシュヴァリエに生存反応を探索するように命じたのだった。
「.......ケルビス!」
都市に戻った僕は、ケルビスを呼ぶ。
するとすぐに、その場に籠を抱えたケルビスがやってきた。
籠には半分ほど何かの果物が入っていた。
「.....エリスが危篤だ、しかし僕では.....」
「私めにお任せください!」
ケルビスが手を差し出してくる。
僕は彼の手を掴んで、テレポートに乗る。
飛んだ先は、エリスの寝室だった。
「.......恐らく、内蔵が損傷しています。撃たれたのは数度でしょう」
「治癒できるか?」
「時間が経ちすぎていますね......しかし、エリス様が望まれない形であれば治癒は可能です」
「?」
疑問符を浮かべる僕だったが、情報共有で即座に理解した。
僕の身体が高速で治癒するのは、ナノマシンの高速分裂によるものだ。
彼女を、同じ状態にする事で、命を救う事が出来る。
だが、それは....
「エリスを、一部とはいえVe’z人と同じにするという事か....」
「このまま放置しますと、脳に影響が出始めるでしょう。エリアス様、どうなされますか?」
エクスティラノスたちは、僕の背中を押してはくれない。
彼らは押される側であるからだ。
「.........分かった」
僕は頷き、ケルビスにやれと命じた。
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