29 / 200
シーズン1-悪夢の始まり
029-惨劇
しおりを挟む
メッティーラは、即座にそれを実行した。
自分と、周囲のシュヴァリエ・ノクティラノスの機体性能では、全てを薙ぎ払う事など到底不可能である。
それ故に、一番近くにある質量に目をつけた。
『こちらメッティーラ=エクスティラノス。グレゴル=エクスティラノスに兵器使用の許可を申請します』
『こちら“宝物殿”管理、グレゴル=エクスティラノス。用途を説明せよ』
『作戦の遂行に、こちら側の戦力では困難と判断。惑星破壊装置を使用する』
『了解した、そちらにゲートを開く』
そして、禁断の扉は開かれる。
ワームホールがメッティーラの艦隊の背後に出現し、天体規模の構造物が出現した。
メッティーラは構造物に取り付いて内部システムにアクセスする。
『エネルギーは完全に充填されています――――照準固定』
その構造物は、重力を操作して近くの質量物――――ガゼラークⅣへと砲身を向ける。
本来は惑星を破壊する兵器ではあるが、今回の場合は破壊に伴う衝撃波で全てを薙ぎ払うための手段として使われていた。
『発射』
秒読みは必要ない。
砲身もまた、形だけのものだ。
重力制御空間内で指向性を持たせられた光の奔流が、正確な座標に向かって放たれた。
光線は宇宙の暗闇を明るく照らし、惑星へとその鉾先を突き立てた。
凄まじい衝撃波が惑星の地上を蹂躙し、雲が吹き飛ぶ。
『惑星核到達まで残り7秒』
カウントダウンは無慈悲に進み、惑星の核にまで光線が到達する。
その瞬間、破滅へのプロセスは開始されたのだ。
惑星核に到達した光線は、その質量を急速に増大させたうえで、惑星の重力場を内側から崩壊させる。
行き場をなくしたエネルギーは破壊力と化して惑星のマントルと反応し、内側から何千何万の光となって惑星の外殻を吹き飛ばす。
「こ、これは!?」
TRINITY.旗艦の艦橋で、クリストフは叫ぶ。
衝撃波でシールドを失った艦隊は、迫ってくる大陸サイズの岩盤相手に何もできずに巻き込まれ、全滅した。
惑星の爆発は近辺のステーションや前哨基地にも甚大な被害を与え、直後に襲い掛かった莫大な熱量を受けて融解し、全ての生ける物たちは全滅した。
『作戦成功、現宙域内の対象物全てを撃滅することに成功しました』
メッティーラは若干嬉しそうに言い終えた。
主の命令をこんなにも綺麗に終えられたのだから。
『エリアス様、作戦が完了――――』
『.....すまない、先に帰還している! お前たちは、宙域の生存者を可能な限り抹殺しろ』
『...はい』
メッティーラはその言葉で何かを察する。
主であるエリアスが拾ってきて、自由にさせている人間。
彼女の所有物であるエリスに何かあったのだと。
『....ノクティラノス、宙域を殲滅せよ!』
メッティーラはシュヴァリエに生存反応を探索するように命じたのだった。
「.......ケルビス!」
都市に戻った僕は、ケルビスを呼ぶ。
するとすぐに、その場に籠を抱えたケルビスがやってきた。
籠には半分ほど何かの果物が入っていた。
「.....エリスが危篤だ、しかし僕では.....」
「私めにお任せください!」
ケルビスが手を差し出してくる。
僕は彼の手を掴んで、テレポートに乗る。
飛んだ先は、エリスの寝室だった。
「.......恐らく、内蔵が損傷しています。撃たれたのは数度でしょう」
「治癒できるか?」
「時間が経ちすぎていますね......しかし、エリス様が望まれない形であれば治癒は可能です」
「?」
疑問符を浮かべる僕だったが、情報共有で即座に理解した。
僕の身体が高速で治癒するのは、ナノマシンの高速分裂によるものだ。
彼女を、同じ状態にする事で、命を救う事が出来る。
だが、それは....
「エリスを、一部とはいえVe’z人と同じにするという事か....」
「このまま放置しますと、脳に影響が出始めるでしょう。エリアス様、どうなされますか?」
エクスティラノスたちは、僕の背中を押してはくれない。
彼らは押される側であるからだ。
「.........分かった」
僕は頷き、ケルビスにやれと命じた。
自分と、周囲のシュヴァリエ・ノクティラノスの機体性能では、全てを薙ぎ払う事など到底不可能である。
それ故に、一番近くにある質量に目をつけた。
『こちらメッティーラ=エクスティラノス。グレゴル=エクスティラノスに兵器使用の許可を申請します』
『こちら“宝物殿”管理、グレゴル=エクスティラノス。用途を説明せよ』
『作戦の遂行に、こちら側の戦力では困難と判断。惑星破壊装置を使用する』
『了解した、そちらにゲートを開く』
そして、禁断の扉は開かれる。
ワームホールがメッティーラの艦隊の背後に出現し、天体規模の構造物が出現した。
メッティーラは構造物に取り付いて内部システムにアクセスする。
『エネルギーは完全に充填されています――――照準固定』
その構造物は、重力を操作して近くの質量物――――ガゼラークⅣへと砲身を向ける。
本来は惑星を破壊する兵器ではあるが、今回の場合は破壊に伴う衝撃波で全てを薙ぎ払うための手段として使われていた。
『発射』
秒読みは必要ない。
砲身もまた、形だけのものだ。
重力制御空間内で指向性を持たせられた光の奔流が、正確な座標に向かって放たれた。
光線は宇宙の暗闇を明るく照らし、惑星へとその鉾先を突き立てた。
凄まじい衝撃波が惑星の地上を蹂躙し、雲が吹き飛ぶ。
『惑星核到達まで残り7秒』
カウントダウンは無慈悲に進み、惑星の核にまで光線が到達する。
その瞬間、破滅へのプロセスは開始されたのだ。
惑星核に到達した光線は、その質量を急速に増大させたうえで、惑星の重力場を内側から崩壊させる。
行き場をなくしたエネルギーは破壊力と化して惑星のマントルと反応し、内側から何千何万の光となって惑星の外殻を吹き飛ばす。
「こ、これは!?」
TRINITY.旗艦の艦橋で、クリストフは叫ぶ。
衝撃波でシールドを失った艦隊は、迫ってくる大陸サイズの岩盤相手に何もできずに巻き込まれ、全滅した。
惑星の爆発は近辺のステーションや前哨基地にも甚大な被害を与え、直後に襲い掛かった莫大な熱量を受けて融解し、全ての生ける物たちは全滅した。
『作戦成功、現宙域内の対象物全てを撃滅することに成功しました』
メッティーラは若干嬉しそうに言い終えた。
主の命令をこんなにも綺麗に終えられたのだから。
『エリアス様、作戦が完了――――』
『.....すまない、先に帰還している! お前たちは、宙域の生存者を可能な限り抹殺しろ』
『...はい』
メッティーラはその言葉で何かを察する。
主であるエリアスが拾ってきて、自由にさせている人間。
彼女の所有物であるエリスに何かあったのだと。
『....ノクティラノス、宙域を殲滅せよ!』
メッティーラはシュヴァリエに生存反応を探索するように命じたのだった。
「.......ケルビス!」
都市に戻った僕は、ケルビスを呼ぶ。
するとすぐに、その場に籠を抱えたケルビスがやってきた。
籠には半分ほど何かの果物が入っていた。
「.....エリスが危篤だ、しかし僕では.....」
「私めにお任せください!」
ケルビスが手を差し出してくる。
僕は彼の手を掴んで、テレポートに乗る。
飛んだ先は、エリスの寝室だった。
「.......恐らく、内蔵が損傷しています。撃たれたのは数度でしょう」
「治癒できるか?」
「時間が経ちすぎていますね......しかし、エリス様が望まれない形であれば治癒は可能です」
「?」
疑問符を浮かべる僕だったが、情報共有で即座に理解した。
僕の身体が高速で治癒するのは、ナノマシンの高速分裂によるものだ。
彼女を、同じ状態にする事で、命を救う事が出来る。
だが、それは....
「エリスを、一部とはいえVe’z人と同じにするという事か....」
「このまま放置しますと、脳に影響が出始めるでしょう。エリアス様、どうなされますか?」
エクスティラノスたちは、僕の背中を押してはくれない。
彼らは押される側であるからだ。
「.........分かった」
僕は頷き、ケルビスにやれと命じた。
12
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる