SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

文字の大きさ
上 下
23 / 200
シーズン1-悪夢の始まり

023-紅い瞳

しおりを挟む
また更に数日後。
僕はエリスを除く全員と、通信による会議を行っていた。
まだ帰れていないエクスティラノス三体も、通信に参加している。
今僕の目に映っている仮想会議室には、自分で作り出したものだ。
前は直接脳内に聞こえていたが、流石に声だけだと分かりにくかったのだ。

『今回の議題は、資材の不足についてだ』
『恐れながらエリアス様、星を占拠すれば資材を自在に確保可能かと』

カサンドラの義体がトレースされたモデルが、恭しく跪いて発言する。
それを聞いた瞬間に、ジェネラスが左の手のひらを、ケルビスが大きく手を挙げて発言の許可を申請してくる。
一旦カサンドラを黙らせて、二人の意見を順番に聞く。

『拙者は賛成です、しかしながら、原住生物の排除は拙者にお任せください。強き者が居れば、解析し、キジラのAIの向上に務めたいのです』
『私めは反対です。我々に与えられた最初の指令とは、集結しこの首都を復興すること。下手に人間と接触するような事態になれば、襲い来る全てを焼き払わねばならないでしょう?』
「..........」

僕は考える。
となると、資材を調達する惑星は慎重に選ばないといけない。

『お待ちください』

その時、シーシャが声を上げる。
僕が話すように促すと、彼女は僕の方に情報を送ってきた。

『なんだ?』
『我々Ve’zは、大栄華の時代に複数の惑星を、このヴェリアノスに収容していました。美しいと判断した星の時間を停止させ、永遠に維持するシステムは現在も働いています』
『.....待てい!』

その時、威厳ある声が響いた。
全員がそちらを見ると、グレゴル=エクスティラノスがそこにいた。

『グレゴルッ、真っ先に離反した君が何か言う権利はない!』
『待て、ケルビス』

ケルビスが僕の前で声を荒げる。
エリアスの記憶を含めて一度もなかったことだ。
僕はそれを制止し、グレゴルに向き合う。

『.......私はグレゴル=エクスティラノス。しかし、私の忠義はあなたと、過去の貴女にあります。過去の貴女はあれらの星々を永久に遺せとおっしゃいました、貴女は何故、自分に嘘を吐くのですか!』
『ッ.......!』

それを言われた瞬間、会議室全体にノイズが走る。
周囲の声が、うまく聞こえない。

『.........ぜ.........生き..........?』
「おま.....えは.....誰だ!」

その瞬間、ノイズは消え去った。
澄んだ声で、直接耳に声が響いた。

『........お前には未来を変える権利がある。権利ではない、義務だ、呪いを、解け』
「..............」

僕は黙ったまま会議に再接続する。
そして、グレゴルに面と向かう。

『グレゴル、お前は何のために生み出された?』
『.........過去の罪を管理する、墓守です』
『罪? 罪といったな?』

僕はグレゴルに詰め寄る。
それを、配下たちがじっと見つめる。

『お前は何故それを罪と断じる?』
『.....貴女様がそう仰ったのです』
『ならば、僕が今それを”赦す”といえばそれは無かったことになるか?』
『い、いえ.......それは過去の貴女の.....』

そうか。
そんなに過去のエリアスが......大切か。
僕は目を閉じ、もう一度目を開ける。

『ならば、私なら良いのか?』

その途端、会議室は消え去り、コアブロックが私の視界に映る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

【SF短編】エリオの方舟

ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

処理中です...