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序章
013-エミド接近
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「.........物言わぬ者どもが動いた、か」
エミド。
ワームホール内から現れ、瞬く間に一つの銀河を支配下に置いた文明。
その奥深くにて、一人の男が呟いた。
「惑星C-113322付近で大規模な戦闘活動を確認。残骸は全て回収されましたが、エネルギーの残滓から超兵器が使われたものと予測」
「放ってはおけぬ、これは宇宙のバランスを乱す行為だ」
エミドの目的とは何か?
それは、意思を持たない民の頂点に立つこの男...自らを上位存在の端末と僭称するジェキド・イーシャティブの定める基準に従い、この宇宙のバランスを公平に保つ事。
かの星がエミドを攻撃した際、その攻撃にはエミドからサルベージングされた技術が利用されていた。
それ故に、二度と広まらぬよう星を焦土と化させたのだ。
バランスを崩さぬ様。
「いかがなされますか?」
「やつらの首都ヴェリアノスへと艦隊を派遣するのだ、様子見で小型艦艇200隻程度で良い」
ジェキドにとっては、自らの民などリソースと同様なのだ。
エミドの正式名称は、エミド統合体。
国民全てが自由意志を持たずに、エミドに従う、人間でありながら虫のコロニーの様な社会構造。
それ故に、見誤っていたのだ。
技術面では勝るとも劣らないレベルなのに対し、とある点でVe‘zには決して及ばない事に。
『エリアス様、偵察に出させていたスカウトノクティラノスから情報が入りました。ワームホール内の連続空間内を、こちらの座標に向けて移動中のエミド艦隊を発見した模様』
「そうか」
僕はどうすればいい?
そう思うと、目の前...というか網膜スクリーンに情報が出る。
「...ワームホール制御でヴェリアノス周辺のワームホールを閉じ、一点に収束させろ。エミドはワームホールについての知識は深いが、制御するまでの技術は持たない事が事前の情報では確認されている」
言い切るとほぼ同時に、ケルビスが喋り始める。
『成程、流石はエリアス様、敵を一点に集め、一気に滅ぼす.........しかし、わざと計画に穴を作る事で、我々を試されているのですね!』
ん?
計画に穴なんて...
「...では、その穴とは何か? それを埋めるためにはどうするか、示してみよ」
『ハッ、エリアス様。私めは、ワームホールから脱出した直後、敵が散開した場合に超兵器「ニューエンド」では対処が難しいと愚行いたしました』
「......僕の予想通りか」
全くわからなかったが、とりあえず敵が広がると直線的な攻撃では意味がないらしい。
あれは面制圧を目的とした兵器ではないからだ。
『そこで私めは、エリアス様がポーラライズ収束粒子フィールドジェネレータを使用し、包囲陣形にて敵艦隊を殲滅するとお考えになられているのかと思いました』
「そ、そうだ...その通r」
『ですが! それではあまりに非効率です。到底、エリアス様のような賢き御方の発想ではない』
ちょっとイイと思ったのだが。
まだ足りないらしい。
『簡単な事でした、エリアス様は最初から答えを示しておられたのですよ!』
「えっ!?」
『なっ!?』
カサンドラの声に僕の声がかき消される。
その場にいたシーシャ、メッティーラ、将軍枠のメティス=エクスティラノスまでが驚いていた。
『エリアス様はこの会議場に入る際に、敷居に躓かれました。あらゆる知性体の頂点に立つお方であるエリアス様がその様なミスを犯すはずがない...そう、これは私めに新たな叡智を授けてくださったのと同義...そう、広がる前に入り口という一方通行の場所で迎え撃つ事こそが、作戦の本懐だったのですよ!』
な、何だって。
確かにワームホールの入り口は一極化されていて、入った方から出る方にしか動けない。
だが、それを利用して迎え撃つとは。
凄い発想だ...僕じゃ無理だった。
「そ...その通りだケルビス。僕の試験には合格だ。だが実戦で通じるかな、なにしろ僕には指揮の経験が無いのだから」
『ならばこのケルビスに...』
『待ちなさい』
メッティーラがケルビスの声を遮る。
『艦隊を動かすのはこの私なのですから、試運転的な意義も込めて、このメッティーラこそが指揮官に相応しいかと存じます』
触手で恭しく礼をしながらメッティーラがこっちに話しかけてくる。
僕としては作戦指揮はどちらでもいいんだが、ここはあまりエリアスの記憶にないメッティーラを起用しよう。
「メッティーラ、君はまだ指揮経験が少ない」
『でしょう、ね...』
「行ってくれるか、君の経験を積むという点で、この迎撃戦は重要だ。ケルビスは後続の防衛艦隊の指揮を執れ」
『ハッ、仰せのままに』
ケルビスはアイカメラを瞼...アーマーで覆って礼の代わりとする。
大丈夫だろうか、人ではないとわかっているが、不満を抱いたりなどはしていないだろうか?
不安が膨らむ中、静かなる戦いは幕を開ける。
エミド。
ワームホール内から現れ、瞬く間に一つの銀河を支配下に置いた文明。
その奥深くにて、一人の男が呟いた。
「惑星C-113322付近で大規模な戦闘活動を確認。残骸は全て回収されましたが、エネルギーの残滓から超兵器が使われたものと予測」
「放ってはおけぬ、これは宇宙のバランスを乱す行為だ」
エミドの目的とは何か?
それは、意思を持たない民の頂点に立つこの男...自らを上位存在の端末と僭称するジェキド・イーシャティブの定める基準に従い、この宇宙のバランスを公平に保つ事。
かの星がエミドを攻撃した際、その攻撃にはエミドからサルベージングされた技術が利用されていた。
それ故に、二度と広まらぬよう星を焦土と化させたのだ。
バランスを崩さぬ様。
「いかがなされますか?」
「やつらの首都ヴェリアノスへと艦隊を派遣するのだ、様子見で小型艦艇200隻程度で良い」
ジェキドにとっては、自らの民などリソースと同様なのだ。
エミドの正式名称は、エミド統合体。
国民全てが自由意志を持たずに、エミドに従う、人間でありながら虫のコロニーの様な社会構造。
それ故に、見誤っていたのだ。
技術面では勝るとも劣らないレベルなのに対し、とある点でVe‘zには決して及ばない事に。
『エリアス様、偵察に出させていたスカウトノクティラノスから情報が入りました。ワームホール内の連続空間内を、こちらの座標に向けて移動中のエミド艦隊を発見した模様』
「そうか」
僕はどうすればいい?
そう思うと、目の前...というか網膜スクリーンに情報が出る。
「...ワームホール制御でヴェリアノス周辺のワームホールを閉じ、一点に収束させろ。エミドはワームホールについての知識は深いが、制御するまでの技術は持たない事が事前の情報では確認されている」
言い切るとほぼ同時に、ケルビスが喋り始める。
『成程、流石はエリアス様、敵を一点に集め、一気に滅ぼす.........しかし、わざと計画に穴を作る事で、我々を試されているのですね!』
ん?
計画に穴なんて...
「...では、その穴とは何か? それを埋めるためにはどうするか、示してみよ」
『ハッ、エリアス様。私めは、ワームホールから脱出した直後、敵が散開した場合に超兵器「ニューエンド」では対処が難しいと愚行いたしました』
「......僕の予想通りか」
全くわからなかったが、とりあえず敵が広がると直線的な攻撃では意味がないらしい。
あれは面制圧を目的とした兵器ではないからだ。
『そこで私めは、エリアス様がポーラライズ収束粒子フィールドジェネレータを使用し、包囲陣形にて敵艦隊を殲滅するとお考えになられているのかと思いました』
「そ、そうだ...その通r」
『ですが! それではあまりに非効率です。到底、エリアス様のような賢き御方の発想ではない』
ちょっとイイと思ったのだが。
まだ足りないらしい。
『簡単な事でした、エリアス様は最初から答えを示しておられたのですよ!』
「えっ!?」
『なっ!?』
カサンドラの声に僕の声がかき消される。
その場にいたシーシャ、メッティーラ、将軍枠のメティス=エクスティラノスまでが驚いていた。
『エリアス様はこの会議場に入る際に、敷居に躓かれました。あらゆる知性体の頂点に立つお方であるエリアス様がその様なミスを犯すはずがない...そう、これは私めに新たな叡智を授けてくださったのと同義...そう、広がる前に入り口という一方通行の場所で迎え撃つ事こそが、作戦の本懐だったのですよ!』
な、何だって。
確かにワームホールの入り口は一極化されていて、入った方から出る方にしか動けない。
だが、それを利用して迎え撃つとは。
凄い発想だ...僕じゃ無理だった。
「そ...その通りだケルビス。僕の試験には合格だ。だが実戦で通じるかな、なにしろ僕には指揮の経験が無いのだから」
『ならばこのケルビスに...』
『待ちなさい』
メッティーラがケルビスの声を遮る。
『艦隊を動かすのはこの私なのですから、試運転的な意義も込めて、このメッティーラこそが指揮官に相応しいかと存じます』
触手で恭しく礼をしながらメッティーラがこっちに話しかけてくる。
僕としては作戦指揮はどちらでもいいんだが、ここはあまりエリアスの記憶にないメッティーラを起用しよう。
「メッティーラ、君はまだ指揮経験が少ない」
『でしょう、ね...』
「行ってくれるか、君の経験を積むという点で、この迎撃戦は重要だ。ケルビスは後続の防衛艦隊の指揮を執れ」
『ハッ、仰せのままに』
ケルビスはアイカメラを瞼...アーマーで覆って礼の代わりとする。
大丈夫だろうか、人ではないとわかっているが、不満を抱いたりなどはしていないだろうか?
不安が膨らむ中、静かなる戦いは幕を開ける。
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