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序章
008-農家も始めます
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「.....何の船だ? これ」
パーツを一個一個剥がして確かめてみるものの、データにある戦闘艦のものと一致しない。
これはまるで、......僕には専門知識はないけど.....探索艦に近い。
『恐らくは、新鋭艦の一種でしょう。データにない機体ですが、ヴァンデッタ帝国の派生国家カルメナスとキロマイア皇国の技術的特徴がみられます』
「データの解析は済んだか?」
『ハッ、ノイズが多いため、データの破損を防ぎつつ行っています』
僕はカサンドラの他にもいた触手オバケ..........データベースの『司書』であるシーシャ・バスディラノスに意見を聞く。
情報の共有は直接できるが、僕が寂しいのでなるべく喋る事にした。
「慎重に頼む」
『エリアス様の御勅命とあらば』
シーシャは古代遺物のデータ残骸を修復する業務を一万年前は行っていたらしく、その経験を生かして船の破損したデータを修復している。
『....ですが、この船、金属疲労の観点から見て、数百年は経過しているはずです』
「計算が合わないな」
データにない新鋭艦なら、百年経過しているのはおかしな話だ。
『一部の解析が完了しました。オペレーティングシステムのビルド年月日が42日前に該当します』
「......ますます謎だな」
謎を残し、船は艦船ドックに運搬されたのであった。
「カサンドラ、生存者を確保するために、あるものが必要だ」
『餌ですね』
「餌....まぁ、餌だ」
人口食糧なら、僕のような生体兵器の血液をそのまま飲ませればいい。
ただ、流石にアブノーマル過ぎるだろう。
「あの時の残骸に食糧は残っていないか?」
『誠に申し訳ございません! まさか、ここまでお考えだったとは......』
「え?」
『あの埃を払うよう命じたのは、物資を回収し人間を飼育する目的だったのですね! その考えを見抜けず、私の愚かさを恥じるばかりです』
「.......」
違うというのも面倒くさい。
物資が残っていないのならば、新たに探す必要がある。
「奪うというのも、選択肢にあるか....?」
いや、それはどうだろう。
これは、ケルビス待ちだろうか。
ケルビスというのは、まだ未帰還の機体、ケルビス=エクスティラノスだ。
エリアスの記憶によれば、カサンドラの右腕的存在で、演算領域はメインコンピューター並みだそうだ。
「奪うのは、美学に反する気がするな」
悪の帝国みたいになる。
既に悪行は一度重ねてるので、これ以上悪化させるといよいよ外交が難しくなる。
『では、如何なされますか?』
「データの中に、未開の惑星はあるか? 植物の生育条件を満たす上でだ」
『はい、アーカイブからリストアップいたしますか?』
「頼む」
リストアップされた惑星のデータを見ながら、食べられそうな植生のリストを高速で参照する。
『何をなされるおつもりですか? 危険な事は、できれば許可できないのですが.....』
「畑仕事.....だ」
『....農業機械を作成なさられればよいのでは?』
「趣味だ」
『趣味...........』
カサンドラ.exeの動作が停止しました。
[プログラムを終了]
……..じゃなくてだ。
「完全さを求めた結果、僕らは滅んだ。なら、人間の追い求める不完全さを追ってみるのはどうかと、死を経て気づいたのだ」
『定命の者の生を追うのですね。それは、我々には不可能な事――――オリジナルであるあなただけが可能な事です』
オリジナルか。
クローンの複製体の僕に、凄くいい皮肉を言ってくれる。
「称賛は要らない。それより、この惑星にワープ装置と拠点を設置して欲しい、ケルビスが帰還するまでここで過ごす」
『了解しました』
触手をうまく使い、お辞儀するカサンドラ。
いつか、彼女の献身に応えられたらいいな....とふと思った。
パーツを一個一個剥がして確かめてみるものの、データにある戦闘艦のものと一致しない。
これはまるで、......僕には専門知識はないけど.....探索艦に近い。
『恐らくは、新鋭艦の一種でしょう。データにない機体ですが、ヴァンデッタ帝国の派生国家カルメナスとキロマイア皇国の技術的特徴がみられます』
「データの解析は済んだか?」
『ハッ、ノイズが多いため、データの破損を防ぎつつ行っています』
僕はカサンドラの他にもいた触手オバケ..........データベースの『司書』であるシーシャ・バスディラノスに意見を聞く。
情報の共有は直接できるが、僕が寂しいのでなるべく喋る事にした。
「慎重に頼む」
『エリアス様の御勅命とあらば』
シーシャは古代遺物のデータ残骸を修復する業務を一万年前は行っていたらしく、その経験を生かして船の破損したデータを修復している。
『....ですが、この船、金属疲労の観点から見て、数百年は経過しているはずです』
「計算が合わないな」
データにない新鋭艦なら、百年経過しているのはおかしな話だ。
『一部の解析が完了しました。オペレーティングシステムのビルド年月日が42日前に該当します』
「......ますます謎だな」
謎を残し、船は艦船ドックに運搬されたのであった。
「カサンドラ、生存者を確保するために、あるものが必要だ」
『餌ですね』
「餌....まぁ、餌だ」
人口食糧なら、僕のような生体兵器の血液をそのまま飲ませればいい。
ただ、流石にアブノーマル過ぎるだろう。
「あの時の残骸に食糧は残っていないか?」
『誠に申し訳ございません! まさか、ここまでお考えだったとは......』
「え?」
『あの埃を払うよう命じたのは、物資を回収し人間を飼育する目的だったのですね! その考えを見抜けず、私の愚かさを恥じるばかりです』
「.......」
違うというのも面倒くさい。
物資が残っていないのならば、新たに探す必要がある。
「奪うというのも、選択肢にあるか....?」
いや、それはどうだろう。
これは、ケルビス待ちだろうか。
ケルビスというのは、まだ未帰還の機体、ケルビス=エクスティラノスだ。
エリアスの記憶によれば、カサンドラの右腕的存在で、演算領域はメインコンピューター並みだそうだ。
「奪うのは、美学に反する気がするな」
悪の帝国みたいになる。
既に悪行は一度重ねてるので、これ以上悪化させるといよいよ外交が難しくなる。
『では、如何なされますか?』
「データの中に、未開の惑星はあるか? 植物の生育条件を満たす上でだ」
『はい、アーカイブからリストアップいたしますか?』
「頼む」
リストアップされた惑星のデータを見ながら、食べられそうな植生のリストを高速で参照する。
『何をなされるおつもりですか? 危険な事は、できれば許可できないのですが.....』
「畑仕事.....だ」
『....農業機械を作成なさられればよいのでは?』
「趣味だ」
『趣味...........』
カサンドラ.exeの動作が停止しました。
[プログラムを終了]
……..じゃなくてだ。
「完全さを求めた結果、僕らは滅んだ。なら、人間の追い求める不完全さを追ってみるのはどうかと、死を経て気づいたのだ」
『定命の者の生を追うのですね。それは、我々には不可能な事――――オリジナルであるあなただけが可能な事です』
オリジナルか。
クローンの複製体の僕に、凄くいい皮肉を言ってくれる。
「称賛は要らない。それより、この惑星にワープ装置と拠点を設置して欲しい、ケルビスが帰還するまでここで過ごす」
『了解しました』
触手をうまく使い、お辞儀するカサンドラ。
いつか、彼女の献身に応えられたらいいな....とふと思った。
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