6 / 200
序章
006-恐怖の幕開け
しおりを挟む
「ぶわっはっはっは!!」
惑星C-00221、未開拓の惑星を見下ろし、ヴァンデッタ帝国の将軍ギーレスは下品な高笑いをしていた。
その余裕の理由は単純だ。
今から征服する惑星に、こちらを反撃する戦力はないからであった。
「わしの久々の任務が、こぉんなに楽勝な惑星の攻略とはのう! ぶひゃひゃひゃ!」
将軍は知らなかった。
まさか、ここの攻略を任されたのが、ここが元々Ve‘zの領域であったからであることを。そして、Ve’zの最高指導者のお気に入りの星であることを。
自分たちが星の輝きを妨げる遮蔽物でしかない事を。
「全艦載機を発進させ、地上の主要都市の制圧を行うのだ! ぶわっはっはっは!」
既に将軍の思考は、奴隷とした人間をどう痛めつけるかの一極化となっていた。
男ならば縛って痛めつけ、女ならありとあらゆる屈辱を...
下品な彼は慢心ゆえに、警戒を怠った。
「しょ、将軍閣下! 艦隊後方にワープアウト反応あり!」
「ん? 味方の救援か?」
「い、いいえっ、艦種識別...Ve‘zです!」
しかし、将軍は狼狽えない。
Ve’zとは元来全てに無関心な種族であり、自分には関係ない.........そう思い込んでいるからであった。
だが、既に遅い。
『最重要ターゲットを捕捉、エクスターミネーターノクティラノス、攻撃開始』
指揮官、クルセラ=エクスティラノスはそう命じた。
艦隊との距離は大きく離れているが、Ve‘zにとって大したことではない。
ほぼノータイムで、Ve’z艦隊から虹色の光線が全部で5つ放たれる。
通常のビーム兵器とは違い、それは圧倒的な熱量を維持したままヴァンデッタ帝国艦隊を薙ぎ払い、母艦を刺し貫く。
『『『『『エクスターミネーターノクティラノス、【アルカンシェル】再充填まで残り5秒』』』』』
アルカンシェルとは、Ve‘z側の通常兵器である。
人類側からすれば恐るべき量のエネルギーを消費し、あらゆるシールドと装甲を貫通して星系の端から端まで航続距離を自在に設定できる超兵器だが、Ve’z側は多少の差異はあるもののほぼ全艦がこれを標準装備している。
『攻撃続行』
『『『『『了解』』』』』
再び放たれた閃光が、難を逃れたと勘違いする帝国艦隊を今度こそ消し飛ばした。
母艦だけは崩壊を免れたが、それは却って不幸であった。
「ば、ばばばばば、馬鹿な、あり得ん」
人の死に耐えたブリッジで、将軍は先ほどの余裕はどこへやら震え上がっていた。
対処などできるわけがない。
射程外から、しかもワープした直後に攻撃してきたのだ。
こちらもワープで離脱したいのはやまやまだが、再発射まで5秒とかからなかった為、到底間に合うはずもなかった。
一縷の望みの艦載機も、馬鹿げた射程の副砲によって、大気圏へと降りる前にデブリと化した。
「つ、つう、通信を...救いを請わねば...救いを...」
将軍は真っ青になりながら、通信回線を起動しようとして、見た。
母艦に向かう閃光を。
「な、何故ぇえええええっ!」
次の一撃によって、母艦は完全にこの宇宙から消滅し、残骸が漂うばかりとなった。
腐っても帝国の主力艦隊だったそれらは、超兵器を前に5分と持たなかったのであった。
『では、デブリの除去を開始します。』
クルセラは引き続き命令を下す。
次席の権限者であるカサンドラが命じた、「宝石の埃を取っ払え」との指示を完遂するために。
『エリアス様の視界にゴミが写る事がない様、慎重に回収するのです。刻限は三〇〇秒後、迅速に!』
たった五分だが、難しい話ではない。
そのためにVe‘z艦隊は残骸回収用のドローンを積んできたのである。
5分もかからずに残骸は完全に回収され、クルセラの艦隊は撤収した。
これが、何千年もの沈黙を貫いてきたVe’zの、世界に対する初撃であり、後に「沈黙の15分」と呼ばれ恐れられる事件となったのだった。
惑星C-00221、未開拓の惑星を見下ろし、ヴァンデッタ帝国の将軍ギーレスは下品な高笑いをしていた。
その余裕の理由は単純だ。
今から征服する惑星に、こちらを反撃する戦力はないからであった。
「わしの久々の任務が、こぉんなに楽勝な惑星の攻略とはのう! ぶひゃひゃひゃ!」
将軍は知らなかった。
まさか、ここの攻略を任されたのが、ここが元々Ve‘zの領域であったからであることを。そして、Ve’zの最高指導者のお気に入りの星であることを。
自分たちが星の輝きを妨げる遮蔽物でしかない事を。
「全艦載機を発進させ、地上の主要都市の制圧を行うのだ! ぶわっはっはっは!」
既に将軍の思考は、奴隷とした人間をどう痛めつけるかの一極化となっていた。
男ならば縛って痛めつけ、女ならありとあらゆる屈辱を...
下品な彼は慢心ゆえに、警戒を怠った。
「しょ、将軍閣下! 艦隊後方にワープアウト反応あり!」
「ん? 味方の救援か?」
「い、いいえっ、艦種識別...Ve‘zです!」
しかし、将軍は狼狽えない。
Ve’zとは元来全てに無関心な種族であり、自分には関係ない.........そう思い込んでいるからであった。
だが、既に遅い。
『最重要ターゲットを捕捉、エクスターミネーターノクティラノス、攻撃開始』
指揮官、クルセラ=エクスティラノスはそう命じた。
艦隊との距離は大きく離れているが、Ve‘zにとって大したことではない。
ほぼノータイムで、Ve’z艦隊から虹色の光線が全部で5つ放たれる。
通常のビーム兵器とは違い、それは圧倒的な熱量を維持したままヴァンデッタ帝国艦隊を薙ぎ払い、母艦を刺し貫く。
『『『『『エクスターミネーターノクティラノス、【アルカンシェル】再充填まで残り5秒』』』』』
アルカンシェルとは、Ve‘z側の通常兵器である。
人類側からすれば恐るべき量のエネルギーを消費し、あらゆるシールドと装甲を貫通して星系の端から端まで航続距離を自在に設定できる超兵器だが、Ve’z側は多少の差異はあるもののほぼ全艦がこれを標準装備している。
『攻撃続行』
『『『『『了解』』』』』
再び放たれた閃光が、難を逃れたと勘違いする帝国艦隊を今度こそ消し飛ばした。
母艦だけは崩壊を免れたが、それは却って不幸であった。
「ば、ばばばばば、馬鹿な、あり得ん」
人の死に耐えたブリッジで、将軍は先ほどの余裕はどこへやら震え上がっていた。
対処などできるわけがない。
射程外から、しかもワープした直後に攻撃してきたのだ。
こちらもワープで離脱したいのはやまやまだが、再発射まで5秒とかからなかった為、到底間に合うはずもなかった。
一縷の望みの艦載機も、馬鹿げた射程の副砲によって、大気圏へと降りる前にデブリと化した。
「つ、つう、通信を...救いを請わねば...救いを...」
将軍は真っ青になりながら、通信回線を起動しようとして、見た。
母艦に向かう閃光を。
「な、何故ぇえええええっ!」
次の一撃によって、母艦は完全にこの宇宙から消滅し、残骸が漂うばかりとなった。
腐っても帝国の主力艦隊だったそれらは、超兵器を前に5分と持たなかったのであった。
『では、デブリの除去を開始します。』
クルセラは引き続き命令を下す。
次席の権限者であるカサンドラが命じた、「宝石の埃を取っ払え」との指示を完遂するために。
『エリアス様の視界にゴミが写る事がない様、慎重に回収するのです。刻限は三〇〇秒後、迅速に!』
たった五分だが、難しい話ではない。
そのためにVe‘z艦隊は残骸回収用のドローンを積んできたのである。
5分もかからずに残骸は完全に回収され、クルセラの艦隊は撤収した。
これが、何千年もの沈黙を貫いてきたVe’zの、世界に対する初撃であり、後に「沈黙の15分」と呼ばれ恐れられる事件となったのだった。
22
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

転生先は美少女パイロットが乗るロボットのAIでした。
美作美琴
ファンタジー
いじめられっ子の少年、瑞基(みずき)は事故死して女神に出会う。
彼女は瑞基を転生させようとするが瑞基はかたくなに拒否。
理由は人間に転生してまたいじめられるのが嫌だから。
しかし実績の為どうしても瑞基を転生させたい女神は瑞基にある提案をする。
それは瑞基を人間ではないもの……科学技術が進歩した世界のAIに転生させるというものだった。
異世界転生はファンタジー世界に転生するだけに在らず……異例のロボ転生、刮目してみよ!!

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる