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序章
002-暗中模索
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『遺伝情報を承認』
『開錠』
扉が開かれる。
僕はコアブロックに進入し、Ve’zにしかアクセスできないメインシステムを再起動する。
Ve’zの首都星系には、惑星サイズの都市、「A-Rought」が存在していて、僕が今いるのもここだ。
この首都のメインコンピューターが、僕のこのクローン体では出来ない演算を出来るようにしてくれる......らしい。
カサンドラに聞くと怪しまれるので、自力で記憶のアーカイブを探して見つけた。
「何が何だか.....」
ほぼ一瞬で再起動したメインコンピューターだが、演算領域はフルに使えない。
メイン動力......「F.......D.....」ダメだ、読めない。
とにかく、起動したばかりのメイン動力のエネルギーが不十分なので、ここ以外のネットワークへの復旧は出来ない。
「....はぁ」
コアブロックから都市部にワープする。
凄い技術だ。
でも、「理論が知りたいな」とか思ってはダメだ。
また頭痛に襲われる。
望めば何でも手に入るのは、幸せじゃないのだ。
基礎があって初めて、それを手に入れる喜びがある。
「Ve’z.......」
アロウトの街並みは、素人が3Dモデルで街を作りました! みたいなデザインだった。
こればかりは情報が表示されないので考察だが、Ve’zの人間は居住性のみを重視していたのだろう。
『エリアス様、御召し物をご用意しました』
「ありがとう」
その時、標準型の警備ドローンが何かを持ってきた。
僕はそれを受け取り、着用する。
「..........本当に助かる」
凄くいいファッションセンスだと思う。
全身から金属の触手が出せるし、単独で宇宙の旅も出来る。
それでいて熱排出の手間はないし、充電もいらないらしい。
本当に、素晴らしいファッションセンスだ.....
「本当に、普通の身体じゃないんだな」
僕は鏡を見つけて、自分の姿を見る。
足元まで伸ばした、青みがかった銀髪と、生気の感じられない肌、虹色に見える瞳。
ふと皮膚を引き千切ると、橙色の発光する液体が滲み出る。
「.........」
人間じゃない。
人間もいない。
何でこんなことになった?
「.........」
情報は表示されない。
僕の状態を説明することはできないようだ。
生まれ変わるなら、もう少しマシな状況にして欲しかった。
主人でないとバレたら、あの金属触手のかいぶ...カサンドラに八つ裂きにされるかもしれないというのに。
「頭がおかしくなりそうだ」
ここがどこだか、わからない筈なのに...わかる。
自分が何者か、わかる。
何をすべきかは、ある程度わかる。
この世界に僕が呼ばれた理由は...わからない。
「...っ」
僕の目の前で、血(?)を垂れ流していた腕が治っていくのが見えた。
痛みは感じるけれど、鈍く、再生は一瞬。
Ve‘z人の頑丈さが見て取れる。
「さて...こんな所で油売ってる場合じゃないんだ」
僕は外見調整場...公衆電話ボックス版美容院みたいなものから出る。
ワープ装置を使ってもいいけど、今の僕だと警報装置に引っ掛かるかもしれないので、自力で宇宙に飛び出す。
「ぐぐ.....」
アロウトの重力フィールドから離脱するのは容易ではない。
だからこそ思いっきり飛んだのだが、重力フィールドに囚われて落下軌道に入る。
そのまま都市まで落下する。
「いてててて.....」
今気づいたけれど、この都市は生きている。
僕の義体と同じような、人工血液が各部に浸透し、心臓部である動力炉のエネルギーを効率的に伝達しているのだ。
「どういう技術.....あああ、いい」
疑問を持つと、凄くわかりやすくて知りたくない記憶が蘇ってくる。
エリアスの常識と僕の常識が嚙みあってないので、そのせいで余計につらい。
「もう一度...!」
金属の触手で、自分を思い切り上空に跳ね上げる。
飛んでる最中、ふと思った。
「(これ、ドローンを呼んで乗って行けばよかったかもな....)」
反重力スラスターを起動して、最後の一押しで重力フィールドを突破する。
『エリアス様、どこへ?』
「ちょっと”詰め所”に」
『お供をお付けします』
いらないんだが.....
カサンドラの厚意を断れず、僕は戦闘用ドローンと共に行動することにした。
『開錠』
扉が開かれる。
僕はコアブロックに進入し、Ve’zにしかアクセスできないメインシステムを再起動する。
Ve’zの首都星系には、惑星サイズの都市、「A-Rought」が存在していて、僕が今いるのもここだ。
この首都のメインコンピューターが、僕のこのクローン体では出来ない演算を出来るようにしてくれる......らしい。
カサンドラに聞くと怪しまれるので、自力で記憶のアーカイブを探して見つけた。
「何が何だか.....」
ほぼ一瞬で再起動したメインコンピューターだが、演算領域はフルに使えない。
メイン動力......「F.......D.....」ダメだ、読めない。
とにかく、起動したばかりのメイン動力のエネルギーが不十分なので、ここ以外のネットワークへの復旧は出来ない。
「....はぁ」
コアブロックから都市部にワープする。
凄い技術だ。
でも、「理論が知りたいな」とか思ってはダメだ。
また頭痛に襲われる。
望めば何でも手に入るのは、幸せじゃないのだ。
基礎があって初めて、それを手に入れる喜びがある。
「Ve’z.......」
アロウトの街並みは、素人が3Dモデルで街を作りました! みたいなデザインだった。
こればかりは情報が表示されないので考察だが、Ve’zの人間は居住性のみを重視していたのだろう。
『エリアス様、御召し物をご用意しました』
「ありがとう」
その時、標準型の警備ドローンが何かを持ってきた。
僕はそれを受け取り、着用する。
「..........本当に助かる」
凄くいいファッションセンスだと思う。
全身から金属の触手が出せるし、単独で宇宙の旅も出来る。
それでいて熱排出の手間はないし、充電もいらないらしい。
本当に、素晴らしいファッションセンスだ.....
「本当に、普通の身体じゃないんだな」
僕は鏡を見つけて、自分の姿を見る。
足元まで伸ばした、青みがかった銀髪と、生気の感じられない肌、虹色に見える瞳。
ふと皮膚を引き千切ると、橙色の発光する液体が滲み出る。
「.........」
人間じゃない。
人間もいない。
何でこんなことになった?
「.........」
情報は表示されない。
僕の状態を説明することはできないようだ。
生まれ変わるなら、もう少しマシな状況にして欲しかった。
主人でないとバレたら、あの金属触手のかいぶ...カサンドラに八つ裂きにされるかもしれないというのに。
「頭がおかしくなりそうだ」
ここがどこだか、わからない筈なのに...わかる。
自分が何者か、わかる。
何をすべきかは、ある程度わかる。
この世界に僕が呼ばれた理由は...わからない。
「...っ」
僕の目の前で、血(?)を垂れ流していた腕が治っていくのが見えた。
痛みは感じるけれど、鈍く、再生は一瞬。
Ve‘z人の頑丈さが見て取れる。
「さて...こんな所で油売ってる場合じゃないんだ」
僕は外見調整場...公衆電話ボックス版美容院みたいなものから出る。
ワープ装置を使ってもいいけど、今の僕だと警報装置に引っ掛かるかもしれないので、自力で宇宙に飛び出す。
「ぐぐ.....」
アロウトの重力フィールドから離脱するのは容易ではない。
だからこそ思いっきり飛んだのだが、重力フィールドに囚われて落下軌道に入る。
そのまま都市まで落下する。
「いてててて.....」
今気づいたけれど、この都市は生きている。
僕の義体と同じような、人工血液が各部に浸透し、心臓部である動力炉のエネルギーを効率的に伝達しているのだ。
「どういう技術.....あああ、いい」
疑問を持つと、凄くわかりやすくて知りたくない記憶が蘇ってくる。
エリアスの常識と僕の常識が嚙みあってないので、そのせいで余計につらい。
「もう一度...!」
金属の触手で、自分を思い切り上空に跳ね上げる。
飛んでる最中、ふと思った。
「(これ、ドローンを呼んで乗って行けばよかったかもな....)」
反重力スラスターを起動して、最後の一押しで重力フィールドを突破する。
『エリアス様、どこへ?』
「ちょっと”詰め所”に」
『お供をお付けします』
いらないんだが.....
カサンドラの厚意を断れず、僕は戦闘用ドローンと共に行動することにした。
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