通勤電車

kumapom

文字の大きさ
上 下
1 / 11

1会社が電車

しおりを挟む

 目が覚めた。朝だ。

 見慣れたマンションの天井に薄いシミが見える。あれは霊現象ではない。断じて霊現象ではない。カビだ。カビの一種に違いない。築年数が古いから。そう、霊現象ではない。僕は自分にそう言い聞かせた。毎朝のことだ。

 アラーム音が響いている。敵か? しばらくして僕は横にある目覚まし時計の存在に気づき、それが目覚まし時計のアラーム音であることを理解した。すかさず叩いてスイッチをオフにする。

 体を起こす。……朦朧としている。世界が揺れる。普通では無い。何だこれは。何があった? 知らないうちに敵の不意打ちでスタンでも食らったのか……そうだ、僕の強力な電子銃はどこだ。あれがあれば僕は無敵だ。……手を見る。持って無い。何も持ってない。もはや戦うすべはない。

 チュンチュンとスズメの声が聞こえてくる。そして全てを思い出した。僕が銀河の戦士ではなく、地球の日本のサラリーマンと言う種族であることを。

 ベッドを出る。フラフラしている。そうだ、前の日に友人と飲んだんだった。正確には後半どうなったか思い出せないが、今ここにいるのだから何も問題はない。

 酒が残っているのせいか、どうもフワフワとして現実感が無い。まるで夢の中にいるようだ。実は銀河の戦士が本当で、今見ているのはサラリーマンの夢では無いのか? ……とか哲学的な事を考えていたが、どう考えてもこっちの方がリアルだった。

 しかもカレンダーを見るに今日は平日だった。会社に行かなければいけない。僕は眠い目をこすりながら支度を始めた。

 いつものように顔を洗い、スーツに着替えてマンションを出る。
 近くの駅まで急ぐ。急ぐ必要は全く無いのだが急ぐ。そうしないと行けない気がしているからだ。隣を歩く他の通勤者を追い越さなければ行けない。いつからかそう思っていた。

 改札を抜け、階段を駆け抜け、いつものようにホームで電車が来るのを待つ。いつもの時間のいつもの電車だ。そして当たり前のようにいつもの電車がやって来た。

 正確にいうのならば、いつもの電車という訳では無いだろう。電車の車台番号を覚えている訳では無いし、運行会社の都合で車体は入れ替わっているはずだ。でもそれは自分にとってはいつもの電車なのだ。

 しかし、僕はやって来た電車に、何か奇妙な違和感を感じた。電車がいつもの電車では無いような気がしたのだ。しかし、いつもの電車はいつものごとく自分の目の前に止まり、いつもの如くドアを開けた。

 僕はそのドアの先の光景に戸惑った。そこに課長が座っていたからだ。
 偶然? ああ、会社が同じで始業時間が同じで、路線が同じなら、会社の人に会うことはある。
 しかし違うのだ。そういう話じゃ無い。課長は課長席に座っていたのだ。
 え? いつもの同じ席って意味かって? いやいや席と言っても電車の長椅子のお気に入りの定位置とかそう言うんじゃない。
 課長が座っていたのは会社によくあるスチール製のいわゆる事務机。それと背もたれのついた黒い革張りの椅子。右上にほつれがあって少しくたびれているのも良く知っている。
 それは、いつも会社で見ていた、課長が座っている馴染みのある机と椅子だった。そこに課長が座っていた。電車の中で。

「え……と……」

 考えた。どう見ても正常な状態では無い。しかし対応方法を思いつかない。方法はいくつかある。社会人らしく、何事も無かったかのように挨拶をする。もう一つは、素知らぬ顔で踵を返して一旦電車を降りる。幸いまだ課長は気付いていないようだ。しかし遅刻の恐れがある。さあどうする僕?

 そうこう思案しているうちに、ホームでご当地キャラクターにちなんだ駅の発車メロディー「おけらくんマーチ」が流れ始めた。まずいっ! もうすぐ電車が発車してしまう。これに乗り遅れると会社に間に合わない! 迷ってる暇は無い!
「♪おっけらけらけら、ぼくーおっけらっ!」
 プシュー。ガタンゴトン。乗った。乗ってしまった。

「課長、おはようございます」
 僕は極めてさわやかに挨拶をする。
「ああ、おはよう」
 普通だ。極めて普通だ。おかしいぐらい普通だ。僕はかえって戸惑った。
 とりあえず挨拶はした。挨拶はしたから次は、えーと……あ? え? 周りを見渡すと、見慣れた面々がそこにいた。

 同僚の只野。課長と何やらやり取りをしている。どうやら何かヘマをしたらしく、頭をずっと下げたまま、呪文のように言い訳を唱えている。

 さらにその傍らをミっちゃんが通りがかった。経理のふわふわボブの可愛い娘だ。課長の元にお茶を運んで来た。

 アドさんもいた。気難しいがデキる人だ。いつも色々教わっている。
 何でアドさんかと言うと……得意先の住所を全部暗記しているからとか、広告畑の出身だとかという話らしい。本当のことは分からないし、本人に聞く勇気も機会もないので謎のままである。
 そのアドさんがいつもは電車の優先席があるところ辺りに机を構えている。そして、いつものように机に雑然と書類を積み、タバコをふかして頭を掻いていた。
 いつもと違うのは、車両の振動で書類が崩れないように、時々書類を片手で支えている事だろうか? タバコの灰が時々床に落ちている。

 その傍らを掃除のつね子おばちゃんが床に灰を落とすアドさんを睨みながら、床にモップをセカセカと超高速で走らせて行く。

 さらに見回すと、僕は自分の席が置いてあるのを発見した。見慣れた自分の席だ。傷の入ったスチール机。ついうっかりマジックで書いてしまった謎の文字が背当てに書かれている椅子。机の上には昨日読んだ「デキる営業になる十カ条」も置いてある。どう見ても僕の机だ。
 あ、見られると恥ずかしいな。か、隠さないと……いやそうじゃなくて!
 動こうか動くまいか、どう動こうか考えていると課長が僕に話しかけて来た。

「吉田くん、どうかしたかね?」
 そういうと銀縁の眼鏡の奥から課長の鋭い眼光がこちらを睨んだ。どうも機嫌が悪いっぽい。とりあえず笑顔で答える。
「……あ、いえ……何でもありません」
 しかし思い直した。課長が何か知っているかもしれない。いや知らないはずはない。ここは一つ、思い切って聞いてみるべきでは?
「あの……課長、ここ、電車の中だと思うのですが……これはいったいど……どういう?」

 でも聞いちゃいなかった。
「だから只野くん! これこんなに発注いらんだろう? 在庫どうする気? 倉庫もうキャパ一杯じゃないの?」
「すいませんすいません! 何とか処理しますから! 大丈夫です、アテはありますから!」
 課長は只野の件で頭が怒りで一杯らしい。僕は課長に見えているようで見えていないようだ。

 どうしようかと薄ら笑みを浮かべながら左右を見回していると、近くを歩いていたミッちゃんと目があった。
 ミっちゃんはニコリと笑みを浮かべ、スタスタと僕に近付き、僕の背後に一瞬で回り込んだ。思わず脇を締めて身構える。なぜ身構えるのか。僕は彼女の行動パターンを知っているからだ。

「おはようございますぅッ」
 ドスッ。笑顔で脇腹に強力なチョップ。うん、いつも通りだ。実に可愛らしい……。
「ミ、ミッちゃん、お、おはよう……ゲフッ」
「あらら、今の決まりましたか? あたしの技も一人前ですかね?」
「で、あのさ、これ……どういうこと? な、何?」
「これ? 何って……何がです? 何がどうしました?」
「ちょっと、こっちで話いい……?」
 ミッちゃんを手招きして電車の端っこに連れて行く。
「……何です? 愛の告白ですか? ……あたし、吉田さんのこと嫌いじゃ無いですけどトキメキは無いっていうか、歩く時の腰つきはちょっと好きですけれども。そうですね。うーん……どうしようかな……」

 そんな話じゃ無い。
「ちょ、ちょっと耳貸して」
「えー……やだなーこんなところで」
 小声でミッちゃんの耳元でつぶやく。
「……なんで電車の中に、会社の机とか椅子があんのさ?」
 きょとんとした顔。
「あれ、聞いてなかったんですか? メール回ってましたよ。見てませんか?」
「いや見ていないけどさ……」
 いやいや、メールとかそういう問題じゃない。おかしいでしょこれ。メールに何が書いてあったか知らないけれど。
 え? もしかしてドッキリとか? 何かの社内イベント? いや、手が込み過ぎだし。
「……か、確認してみるよ」
「話ってそれだけですか?」
「う、うん……」
 ミッちゃんは口を尖らせて残念そうに僕を見つめている。目を潤ませるな目を。
「今度、飯おごるから!」
 ミッちゃんは目を輝かせた。
「約束ですからね?」
「う、うん」
 そういって小さく手を振ってミッちゃんと別れ、自席に座り、社用のノートパソコンを開いた。

 ガタンゴトン。
 それにしても、揺れる電車の中に自分のいつもの席があるのは不思議だ。机の上がいつも通りだけに奇妙さが増す。……あ、未読メールがあった。

 メールによると——来たる日(今日の日付が書いてある)より、営業三課を移転します。移転先は次の場所になります。北部鉄道副都心線5号車から6号車、乗車時刻は——。
「……」
 つまり、ここか? いや、ちょっと待って。これは誤植とかなのでは? 実際は副都心線のどこかの駅の、とある場所とかなのでは? だっておかしいでしょう? 電車の中に会社が移転とか。電車の中って住所じゃ無いし。

「ほらー、書いてあるじゃないですかー」
 気がつくと、後ろにミッちゃんがいた。僕の頭の後ろに大きな胸をギュウギュウ押し付けて、画面を覗き込んで来る。この娘はっ!
「ちょっと! ミッちゃん! 胸、胸! 当たってるから!」
「あらー、何焦ってるんですかー(ニヤリ)。大丈夫ですよ、減るもんじゃ無いし——」
「それ、なんか言ってる人と台詞が間違ってるから!」

 こちらの抗議を聞いているのか聞いていないのか、更に前のめりになって僕の頭の上に乗っかった。そして画面を指でコンコンとつついた。
「ほら、ここ。ね、私の言った通りだったでしょ」
「……確かに、書いてあるけどさ、これ間違いなんじゃないの? 何かおかしいよ?」
「んー、でもそう書いてありますしー。なんならソウムの友達に聞いてみましょうか?」
「ああ、そうだね。お願い出来る?」
「そうですねー、連絡とる代わりに何して貰おうっかなー?」
「……何って……?」
「ウフフ……やだなぁ、冗談ですよぉ……えーと、ケータイ、ケータイ……あれ、無いな?
センパイ、私のケータイ知りません?」
 そう言って自分のあちこちのポケットを弄り、ケータイを探し始めた。
「あれー?」
 ……見つからないらしい。

 そうこうしているうちにA駅に到着。見知らぬサラリーマンが乗り込んで来た。課長が声をかける。
「あ、君きみ、ここは丸得商事だ。関係者かね?」
「え? あ、これは……し、失礼しました!」
 そのサラリーマンは左右を見回し、呆気にとられながらも、にこやかに退散する。無理も無い。こういう場合とりあえず逃げるだろう。うん、僕なら逃げる。僕はタイミングを逸してしまったが。しかし知り合いで無ければ何も躊躇する必要は無い。君子危うきに近寄らずである。

「机に置きっぱなしかなー?」
 ミッちゃんはそう言うと、奥の自分の席まで小走りに駆けていった。
 とりあえず僕は自席に着き、前の日の仕事の続きをすることにした。いくら異常事態だと言っても仕事を進めない訳には行かない。いや、目の前に仕事が無い異常事態な場合はやらない。今の状態が異常かつ通常と言うややこしい状態だから仕方が無い。

「ふう~。しこたま絞られたよ」
 隣の只野が席に戻って来た。
「……なあ只野、ちょっと聞いてみてもいいかな?」
「何だよ、課長だけでなくお前も俺を絞る気か? 勘弁してくれよ」
「いやいや、その件には触れないでおくよ。それじゃなくてさ……」
「?」
「なあ、今のこの状況、どう思う?」
「……今の……状況……最悪だよ」
「いや、それじゃなくて……」
「その件じゃないって……どの件?」
 僕は只野に耳を貸せのジェスチャーをして、小声でつぶやいた。
「電車の中に会社があることだよ」
 只野はしばらく考えたあと、こう言った。
「……便利……かな?」
「はあ?」
「通勤時間が短くなったし……合理的じゃない?」
 僕はついカッとなって声を荒げた。
「この状況を変だと思わないのか?」
「おいおい、何を怒ってるんだよ? 俺、何か気に触ることでも言ったか?」
 周りの視線が僕に注がれるのを感じて僕はそれ以上言うのをやめた。
「あ……いや、ごめん、何でもない」
「妙な奴だな」

 只野はこの状況を全く疑問に思っていないようだった。どうやら話は通じないと見た。
 そう、ミっちゃんもだ。どういうことなのか。この状況がおかしいと思う僕がおかしいとでも言うのか?
 僕は周りを見渡した。会社の誰もが普通に仕事をしている。表情もいたって普段通りである。つまりそういう事だ。
 僕は途方に暮れて上を見上げた。電車の天井と天井のエアコンが見えている。車内吊り広告が電車の揺れに合わせて揺れている。

「あの……ちょっといいですか?」
 聞き覚えの無い声がした。振り返ると、そこには長い黒髪の制服姿の女性がいた。見たことの無い女性だった。
「吉田さん……でしたっけ?」
「そうですが……」
「私、最近、派遣でここに来た安西という者ですが」
「はい」
「あ、安西ちゃん」
 気付くとそこにミッちゃんが立っていた。
「吉田さん、新人の安西ちゃんです。最近入って来た。まだ見習いの」
 なるほど。どうりで知らないはずだ。
「どうしたの? 吉田さんに用事?」
「あ、うん、ちょっと……」
「ふうん……」
「相談したいことがありまして……」
 途端、僕の頭の上にまた柔らかく重い感触が置かれた。またミッちゃんに頭の上に乗っけられている。
「吉田さん?」
「はい?」
「安西ちゃん」
「はい?」
「仕事の話ですよね?」
 ミッちゃんのその凄んだ語気に安西さんはしどろもどろに答えた。
「あの……そう言う話じゃ……大丈夫です!」
 ミッちゃんはそう言われると、不満げな表情を浮かべながらもその場を去って行った。
 僕はホッとした。

「あの、吉田さん、この状況なんですけれど」
 僕はその状況と言う言葉に疑問と不安を感じつつも一応聞いてみた。
「この状況と言うのは何のこと?」
 彼女は一瞬くぐもった表情をしたが、周りを確認すると僕の耳元でこう囁いた。
「……電車に……会社があることですよ」
 僕は驚いた。僕は同じ認識の人間に初めて出会ったのだ。そして僕は思わず彼女に握手を求めてしまった。彼女はそれをどう言う意味か分からず戸惑っている。

 僕も彼女の耳元で囁いた。
「君はどう思うの? この状況?」
 一応慎重に探りを入れてみる。彼女がマトモなのかどうか。
「電車に……会社があるのはおかし過ぎます」
「どうして僕に?」
「社員の中で、唯一戸惑っているように見えました」
 ビンゴだ。
「全く同じ意見だ。協力しよう」
「良かった……」
 彼女は握手をしてくれた。
「それであの……」
 彼女は辺りを気にしながらこう言った。
「他の車輌を見に行った方が良いと思うんです」
「確かに。もしかしたらこことは様子が違うかもしれない。何かヒントが見つかるかも」
「隙を見て抜け出しましょう」

 僕は辺りを見回した。皆、仕事に夢中になっているようで、こちらを見てはいない。一番問題がありそうなミッちゃんは居ないし、噂話好きの掃除のつね子おばちゃんも見当たらない。動くなら今だと思った。

 僕は彼女に手招きして、二人でそっと前方車両に移動した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊捜査官・天城宿禰の事件簿~乙女の告発

斑鳩陽菜
ミステリー
 K県警捜査一課特殊捜査室――、そこにたった一人だけ特殊捜査官の肩書をもつ男、天城宿禰が在籍している。  遺留品や現場にある物が残留思念を読み取り、犯人を導くという。  そんな県警管轄内で、美術評論家が何者かに殺害された。  遺体の周りには、大量のガラス片が飛散。  臨場した天城は、さっそく残留思念を読み取るのだが――。

絶叫ゲーム

みなと
ミステリー
東京にある小学校に通う「音川湊斗」と「雨野芽衣」がさまざまなところで「絶叫ゲーム」に参加させられて…… ※現在、ふりがな対応中です。 一部ふりがなありと、ふりがな無しが混同しています。

消された過去と消えた宝石

志波 連
ミステリー
大富豪斎藤雅也のコレクション、ピンクダイヤモンドのペンダント『女神の涙』が消えた。 刑事伊藤大吉と藤田建造は、現場検証を行うが手掛かりは出てこなかった。   後妻の小夜子は、心臓病により車椅子生活となった当主をよく支え、二人の仲は良い。 宝石コレクションの隠し場所は使用人たちも知らず、知っているのは当主と妻の小夜子だけ。 しかし夫の体を慮った妻は、この一年一度も外出をしていない事は確認できている。 しかも事件当日の朝、日課だったコレクションの確認を行った雅也によって、宝石はあったと証言されている。 最後の確認から盗難までの間に人の出入りは無く、使用人たちも徹底的に調べられたが何も出てこない。  消えた宝石はどこに? 手掛かりを掴めないまま街を彷徨っていた伊藤刑事は、偶然立ち寄った画廊で衝撃的な事実を発見し、斬新な仮説を立てる。 他サイトにも掲載しています。 R15は保険です。 表紙は写真ACの作品を使用しています。

行かれない場所

六弥太オロア
ミステリー
謎が残る系ショートショートです。あまりパッとしません。

朝教室に来たのは教師ではなかった。

すみれ
ミステリー
ある日の朝。 いつも通り集まった生徒達。 そこまではいつも通りだった。 ガラッ 「ミナサン ニハ、アル `ゲーム´ヲ シテモライマス」 ✄- - - - - - キ リ ト リ - - - - - ✄ 先に言ってしまいますが、人狼ゲームです。 ・騙し合い ・人が死ぬの ・リアルではありえない 以上のことが苦手な方はお控えオススメします。 語彙力低めですが、暖かく見守ってくれればな、と思います。

退屈な日常に潜む謎

葉羽
ミステリー
神藤葉羽の鋭い観察眼が捉えた、学園祭準備委員会の不可解な動き。彼の推理力が冴え渡る中、望月彩由美との何気ない会話が思わぬ展開を見せる。葉羽の退屈な日常に、突如として訪れる予期せぬ事態。学園祭の資金が消失し、会計係の山田が失踪。葉羽の推理本能が目覚める瞬間だ。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

リモート刑事 笹本翔

雨垂 一滴
ミステリー
 『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。  主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。  それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。  物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。  翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?  翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!

処理中です...