踏んでもええ?

カゲ

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踏んでもええ?

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『足でしてほしい』。彼に初めてそう言われた時、幻滅こそしなかったが、芽依はとても戸惑った。
 付き合って早一年。そろそろ肉体関係を求められてもいい頃だと思っていたし、何なら少しそれを望んでいた部分が芽依にもあった。
 だが、まさか足で、というのは少々予想の斜め上を通り抜けていった。彼と会う時は、いつそういう状況になってもいいようにと。少し背伸びして買った大人びた下着を常に身に着けるようにしていた芽依の気持ちを少しは考えてもらいたい。
 二人の関係はまだキスまでしかいっていない。この年代のカップルとしては比較的プラトニックな付き合いをしているというのに、何でよりよって最初の行為が少々アブノーマルなのだろうか?
 しかしだ。結構ぶっ飛んだお願いであるとはいえ、それでも曲がりなりにも芽依の好きな人からのお願いだ。それも今まで性的な要求など何一つしてこなかった彼の初めての。
 初めてがこれ? というのは論点がズレるため置いておくが、そんな彼のお願いを無下にするのも悪いな、という良心があった芽依はとりあえずは頷いておくことにした。


 手でさえ触ったことがない彼の大事な部分に、まさか最初に足で触れることになるとは芽依も思わなかった。とはいえ、いきなり直接足で触る、というのも怖かったため、とりあえずズボンの上から触ってみる、という形にした。
 力加減がまったく分からない芽依は『踏む』というよりは『置く』と言った感じで、自分の足を彼のところに乗せた。まだただ置いただけ。何の愛撫もしていない。だがそれでも、彼の体が快感で小さく身じろいだ。
 一瞬芽依も『え?』とは思ったが、よくよく考えてみれば自然なことなのかもしれない。誰にだって、カップルになれたらやってみたいことの一つや二つあるだろう。彼にとってはこれがそうなのだ。嬉しくないわけがない。
 彼だってよほどの勇気を振り絞って芽依に頼んできたに違いない。なにせあまり一般的なお願いではないだろう。芽依はしなかったが、人によっては幻滅される原因にもなりかねない。そのリスクを背負った上で、ダメもとでもいいからお願いしたかったことなのだろう。
 そう思うと、できるだけ気持ち良くしてあげたい、そんな献身的な思いが芽依にも芽依え始め、分からないなりに一生懸命足で気持ち良くしようとした。
 しかし、やはり足での愛撫は難しかった。手であれば何となくのやり方は芽依にも分かるが、恐る恐る踏んでいる関係もあって、足での愛撫の仕方がよく分からなかった。
 彼が興奮しているのは染みが広がるズボンを見れば明らかではあったが、できたのはそこまでだった。前段階の液を絞り出せるだけで、中々その次が絞り出せない。
 結局その後彼が自分で欲望を処理したのかと思うと、どこか申し訳なさも覚えた。


 その罪悪感もあってか、芽依はネットで情報収集を始めた。本当は検索履歴が残るからあんまりやりたくはないのだが、背に腹は代えられない。
 ちなみに余談だがその調査期間中、スマホの充電が切れたとかで、友人にスマホを貸した時、とっても微妙そうな顔をしてスマホを返されたことがあるが、深くは考えないことにしておいた。
 思ったより強めにやってもいいらしい、と分かった芽依は試しにちゃんと踏んでみた。しっかり体重を乗せた結果、足裏全体に彼の感触が伝わり、彼の形がハッキリと分かった。形さえ分かれば後は手と同じ要領でもいけるのではないか? と芽依は考え、彼のものを足で捕らえたまま上下へと擦っていく。
 極力彼のもの以外に余計な足の力は使わないようにしようと、芽依は椅子に座った状態で彼のものを足で擦り上げる。技術が足りない以上、勢いで一気に導くしかないと、芽依は足でできる限り高速で擦り上げ続けた。その甲斐もあって、ズボンに染みができるのは今までで一番早かった。
 足が疲れる度、芽依は疲れた足を休ませ、休んでいた足で愛撫するということを繰り返した。この足の切り替えの際、せっかく高めた彼の感度を下げないよう、なるべく早く足を切り替えるようにした。常に片方の足が全力で動いているため、結構ハードな運動であった。
 気付けば芽依の体は汗だくで、芽依の方がよほど彼より息が上がっていた。しかし、その甲斐もあってようやく、彼のズボンに今までの染みとは明らかに質が異なる染みを広げることができた。


 最初の頃は一回彼を出させるだけで、足がつりそうになるくらい疲弊したものだったが、何回、十何回、とやっていけば、だんだんコツだって掴んでくる。
「あっ……」
 彼が切なそうな声を出す。恐らくもう少しの刺激で出せるところだったのだろう。それを何となく足の裏から感じた芽依は済んでの所でその足を彼から離した。
 焦らす、そんな高度なことが足でできるようになった。いや、むしろ足でしか彼のものに触れたことがないため、足の方がよっぽど的確に彼を責められるかもしれない。
 彼の気持ちのいいところは既に全て発掘済み。自分では敏感過ぎて触れないであろうところを芽依の足は容赦なく責めていく。直接触るようになった関係もあって、彼の感度は簡単に高められていく。
 高めては離し、高めては離しをずっと繰り返していると、彼はやがて自分から芽依の足に擦り付けてきた。すると芽依は勝手なことなど許さないと言わんばかりに、足への体重を増やし、彼のものを彼の体へと押し付ける形で固定した。自分で感度を高めることを禁止された彼は切なそうに芽依の方を見る。
「どうしたん?」
 彼がどうしてほしいのかなど、誰が見ても明らかだろう。それでも彼の口からおねだりさせたい芽依は少しだけ嗜虐的な笑みで彼に問う。
 彼もその恥ずかしい答えを言うことに躊躇はしなかった。言わなければいつまで経っても焦らされるというのは既に経験済みなのだろう。ここでお願いしておかないと、次いつ芽依が聞いてくれるのかも分からない。それでも結局は芽依の気分次第にはなるが、言いさえすればしてくれる可能性はある。
 そして、今日の芽依はそういう気分だったらしい。足の指先をグッと彼の先端へと押し込んだ。それがまるでスイッチであったかのように、彼のものからは欲望が次から次へと飛び出した。
 もはや出すも出させないも芽依の足の指一つでどうとでもなる。芽依の足はもうそれくらい、彼のことを理解していた。
 割とご無沙汰ぶりに芽依に欲望を出させてもらった彼はその快感からか、しばらく呆然としていた。彼も彼でいい加減、散々焦らされた後に自分で慰めることに満足できなくなってきていた。
 彼が吐き出したものを芽依は足の指先で器用にすくうと、そのまま彼の先端を指先で挟み、軽く抓る。敏感になったところには激しすぎる快感に彼は身をよじる。しかしそれは逆効果。それが芽依に面白いと思われてしまったため、芽依は指先でさらに強く彼の先端を掴み、より激しい刺激を与え続けた。
 指先一つの力で彼がもだえるのが楽しくて、芽依はしばらくそうやって遊んでいたが、やがてそれに満足すると、芽依は汚れた自分の足を彼の口元へと持っていく。
「舐めて?」
 一回やってみたかったこれ。彼にどう思われるかな、と少しドキドキしながらやってみた。
 彼は言われた直後こそ驚いたような顔をしていたが、やがて芽依の指をゆっくりと舐め始めた。
 足の指を舐められるという不思議な感覚に芽依の体が小さく震える。彼の精液で濡れていた芽依の指が今度は彼の唾液によって濡れていく。
 随分と懸命に舐めてくれるものだから、少し意地悪したくなった芽依は足の指で彼の舌を挟んでみる。嫌がるかと思ったが、萎もうとしていた彼のものが再び起き上がってきたところを見るに、嫌ではないのだろう。
 もはや芽依ではなく、芽依の足が好きなのではないか。それを疑うほどに彼は芽依の足に支配されていった。


 彼と会うときは意図的に足の露出を増やし、見せつけるようにする。たったそれだけのことで、街中にも関わらず彼のものが膨らんでいくのが分かり、それがだんだん楽しくなっていった。
 腕を組むときにさり気なく太ももを彼の体へと触れさせる。それだけであっさりと彼のものが膨らんでいく。そのまま少しだけ強く擦り付けると、彼のものがピクピク動いているのが服越しにも分かった。
 彼のものを大きくしたいだけならもう裸を見せる必要も触れる必要もない。ほんの少し芽依の足の感触を思い出させてあげればそれでいい。それだけでいとも容易く彼のものは大きくなる。
 時間も場所も問わない。何だったら芽依が裸足の写真を送り付けるだけで彼のものは起き上がるだろう。
 芽依の足を少しでも意識すると、もう芽依の足に導いてもらいたくて仕方がない。彼のそんな欲望が伝わってくるのが楽しくて、芽依は絶対処理ができないような、人前とか公衆の場で彼のものを大きくさせ、その大きさをただキープさせ続けるという遊びを繰り返した。
 大きくしてくれるだけで何もしてもらえず、しかし萎えさせてももらえないというのがもどかしいのか、彼はよくバレないように自分の手をそこへと置いていた。しかし当然、導けるほどの刺激をその場で与えられるハズもない。結果余計にもどかしそうに彼がしているのを見て、芽依は口元を手で押さえ、くすくすと笑っていた。

 元々は足でやるのなど、彼に頼まれて仕方なくやっていた作業だった。それが今となっては、

「なぁ、今日も踏んでもええ?」

 彼の一番大事な部分を、自分のこんな小さな足が制している。
 その事実に妙な興奮と快感を覚え、今ではすっかり彼女の方がハマってしまった。
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