どこかがふつうと違うベータだった僕の話

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僕が妊娠した時の話3

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「そうそう。忘れないうちに、エコー写真渡しとくね。それから次回の検診の予約もしておくね。それじゃ、次回は、2週間後だね。順調にいけば、次で母子手帳が貰えるかな?じゃ、お大事に」

「先生、ありがとうございました」

3人そろってお辞儀をしてから、診察室を出た。


「僕が妊娠…まだ実感ないや」

「それはまぁ、そうかもね。しかも2人ともいつの間に番になってたの!?僕、全然知らなかったよ。番登録しにいかなきゃいけないじゃん」

「それは、直人しか分からないと思う。いつも僕、意識飛んじゃって覚えてないから…。僕の意識がある時にすることってあんまりないし」

それはそれでどうなんだ?と直人と美晴は2人同時に思ったのだった。

「そっか…。僕は避妊してたけど、陽向は避妊なんてしたことないよね?」

「いつも直人に任せちゃってるからね。自分からは特に…今回はそれじゃダメなんだって分かったけど、いざ行為が始まると飛んじゃって、避妊どころじゃなくなるんだよね」

「そうなんだね。そこのところ、もっとよく話し合いしないといけなかったね。今更だけどさ。僕なんて、番になってるか微妙だって言われたし!まぁ、まだチャンスはあるからとも言われたけどね」

そう言うと美晴はやる気に満ちた顔をした。この顔をした美晴には昔から逆らえない。

「僕は直人とは番になるつもりはないよ。それは変わらない。番になるなら、陽向とだから」

そこには美晴の強い決意があった。

「そうだな。それは俺も同感だ。俺のオメガは陽向だけ。それは昔も今も変わらない」

直人もそこは譲れないらしい。

「そっか。そうなんだね」

僕は頷くことしか出来なかった。


「それはそうと、うちの親にいつ言う?」

「少なくとも陽向の親には言うべきだろうな」

「そうだね。産むのは陽向だし、僕らが付き添えない時は陽向の親が付き添うこともあるだろうしね。僕らの親に言うのは次の検診でも良いと思う。それにしてもお腹空いた。食べに行く?うちに帰ってお赤飯炊く?」

「食欲はあるけど、お赤飯を食べれるかどうかは微妙かも」

「今から食べに行くのも面倒だな。俺が何か作る」

「それじゃ買い物に行った方がいいかも。直人どうする?」

「俺1人で行ってくるわ。すぐそこだしな」

「それじゃ、うちにあるもので、僕も何か作るよ。分担して作った方が早いでしょ?足りなかったら、直人が追加で作って」

「了解。あ、もうすぐ家だから、2人ともここで降りてくれる?俺はそのままスーパーに寄ってくるから」


「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい。あ、欲しいものあったら電話する」

「分かった。陽向、ちょっと来て」

「どうしたの?何か忘れ物?」

「うん。ちょっとな」

そう言うと直人から僕にキスをした。しかも舌入れたし。

「ちょ…ちょっと直人!」

直人は楽しそうに笑うと、そのまま去っていった。車だから、あっという間に見えなくなる。

何だろう。ものすごくしてやられた感がハンパない。




その日の夕食は楽しいものとなった。妊娠が分かって、どこか浮かれていたというのもあるかもしれない。


しかし、ここからが大変だった。

妊婦は大変。そのひと言に尽きる。嬉しいことばっかりじゃないし、辛いこともけっこうある。

イライラしたり、やたらと泣きたくなることもあったり情緒不安定になる。

体調も良かったり悪かったりする。


妊娠する前は殆んどケンカしたことがなかったのに、ちょっとしたことが気になって、それが原因でケンカしたことが何回もあった。悪阻が酷い時は、気持ち悪くて眠れないなんてこともあった。

かと思えば、眠くて眠くて、起きていられなくて、もちろん家事なんて出来なくて、1日中寝て過ごす日が何日も続くこともあった。

そんな日々をお腹が大きくなる喜びとともに過ごしたのだった。

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