どこかがふつうと違うベータだった僕の話

俺にとっての陽向〜 才賀直人視点

俺の名前は才賀直人だ。才賀財閥の御曹司でアルファ。
両親はアルファとオメガである。俺には弟がいるが、弟もアルファだった。

俺が運命的とも言える陽向と初めて会ったのは3歳の頃。そんな頃のことなんてふつうは覚えていない。だが、陽向と出会った時のことは今でもはっきり覚えているのだ。

陽向は庭の隅の方で1人で遊んでいた。あれは初夏の頃のことだっただろうか？薔薇が咲き乱れており、その中で陽向だけが、キラキラと輝いてみえた。こちらに向かって微笑んでるのを見た瞬間、衝撃が走った。心臓がバクバクとなり、顔が真っ赤になったのが分かった。
それが僕の初恋だったのである。

「ここで何をしているの？」
「遊んでるの」

「1人で遊んでるなら一緒に遊んでもいい？」

その時の陽向の弾けるような笑顔と言ったら、最高に可愛かった。今そんな笑顔を見たら、間違いなく下半身に直撃するな。

「もちろん！一緒に遊ぼ！」

それから僕らは色んな遊びをした。日が暮れて、親が探しにくるまで。

3歳の子どもがそんなに遅くまで遊んでいたら、ふつうは探しにくるものだが、うちの親は満足そうに笑うだけで特に何も言わなかった。


まぁ今思えば、3歳と言う年齢にしては早熟だったし、そう迷子になることもないので、あまり心配してなかっただろうと思う。

隣に住んでいる陽向とはそれから毎日のように遊んだし、楽しかった記憶しかない。5歳になり、美晴が引っ越ししてきてからは、美晴も混じえて3人で遊ぶようになった。

小学校も中学校も親に頼みこんで、全部同じクラスにしてもらった。うちの親は顔が広いし、うちの学校の先生とも昔からの顔馴染みだった。

陽向はとにかく可愛い、それに綺麗だ。運動も出来るし、頭もそれなりにいい。だからすごくモテた。下手をすると俺よりもモテるじゃないかと思ってる。それはいまでも変わらない。ほっとくと誰かしらに捕まり、ナンパされるのだ。


陽向の魅力は、自分だけが知っていればいいと思ってる。行為中の色気のある顔も自分と美晴だけが知っていればいい。


俺のオカズも初めての夢精の相手は陽向だし、童貞をあげたのも陽向だ。ちなみに、陽向の初めての相手は俺だ。後ろだけでなく、前もである。美晴は陽向の童貞をもらったのは、自分だと思っているみたいだが、それは違う。美晴にも確認したから間違いない。いつしたかは、秘密にしておく。とにかく素晴らしかったとだけ言っておこう。だからこそ、陽向の特殊な体質に気がついたとも言える。オメガ因子が優勢になるとヒートを起こし、俺を誘惑した。それを利用して、初めて性行為をしたのである。

いつだったか、3人で、陽向の家に遊んでいる時に、美晴が軽くヒートになったことがある。美晴はすぐに抑制剤を飲んで、自宅に帰ったが、俺はそのまま残っていた。その時、陽向はラットになっていたのだ。ラットになった陽向はそのまま俺を襲った。襲ったというと語弊があるな。俺の体を進んで差し出したと言うべきかもしれない。その時の陽向の色気は凄まじく、逆らえるものではなかった。ちょうど親もいなかったので、泊まりで一晩中し続けた。アルファなのに、感じまくったのだ。後にも前にも、陽向がアルファになってラットになった状態でしたのは、その一回きりなのである。どちらも無意識のうちにやったのか、陽向の記憶には残ってないらしい。何とも残念な話である。