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第一章

第3話 新しい家族

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「起きてる~?」

 若い女性の声。先程の「起きてる~?」は恐らく俺に言っているのだろう。取り敢えず、返事をしてみる。

「あう」

「あ、起きてた」

 いきなり、返事を返したから少し驚かれると思ったがそんなことは無く、おっとり系の黒髪が綺麗な可愛らしい女性が顔を覗かせきた。

「おはよ~、私の可愛い赤ちゃん♪」

 何となく予想はしていたが俺の母親だった。
 笑顔でコチラに手を振ってくるのでコチラも笑って手を振り返してみる。

「キャキャ」

「あ、笑った!可愛いなぁ~」

 思っていた以上に喜んでくれたので何よりだが、男として可愛いと言われると何か微妙。

 タッタッタッタッタッ

「(ん?)」

 母親が来た方から走ってくる音が聞こえてくる。

「お、エレナ。ここに居たのか」

「あ、クリス」

 クリスの呼ばれる若い男性が部屋に入ってきた。

「(この流れだと、この人は…)」

「はぁい、ベガスちゃん♡お父さんが来てくれまちたよぉ♡」

 案の定、俺の父親らしい。母親の髪が黒なのに対し父親はキリッとした金髪のイケメンだった。俺は前世で顔が怖いという理由から「組長」とか呼ばれてたので本当に羨ましい。

「はい、パパでちゅよぉ~」

 前言撤回、デレデレしすぎて若干キモい。イケメン面をここまでかと言うほど緩ませてヤバイ。語彙力が低下する程ヤバイ。

「って、そうじゃなかった。エレナ、ベガスを生んだばかりで、まだ体調は万全ではないなろう? それに、ベガスは産まれたばかりの赤ん坊なんだから休ませてあげないと」

 だらけ切った顔をキリッとさせてエレナ母さんを注意するが、クリス父さん。だが、チラチラとコチラに視線を移してくるのであまり説得力がない。

「そうよね。ごめんなさい。分かってはいたのだけれど、どうしてもベガスの顔を見たかったの」

 しゅんとするエレナ母さん。

「それじゃあ、バイバイベガス。また明日、こっちに来るからねぇ」

 そう言うと右頬にキスをしたエレナ母さん。

「それじゃあ、僕からも」

 父さんも便乗して、俺の左頬にキスをしてきた。なので…

「あぁう!」

「痛っ!」

 離れると同時にビンタさせて貰った。

「それじゃあ、行きましょうか」

「う、うん。そうだね。ベガスまたくるね!」

 そう言い残して二人は部屋から出て行ったのだった。
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