たった1度の過ち

なこ

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その4

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「やっぱり、部屋でシャワー浴びてから行くのでもいい?」
「ダメ。シャワーなら俺の部屋の使って」
「?分かった」

冴島は、紗織に逃げられるのを恐れた。中学生の頃、さっきはほんのり片思いしてた、と言ったが、かなり本気で好きだった。顔とか雰囲気とか好みのど真ん中で、紗織のグループが度々話しかけてくるのが、あの頃は本当に嬉しくてテンションが上ったものだった。お陰で紗織に“陽キャ”と思われていたが。
結局、告白も何も出来ないまま中学を卒業し、別々の高校で接点はなくなりそのままとなった。

紗織が先にシャワーを浴び、髪を乾かしている間に瞬速でシャワーを済ませた。

「びっくりした。めっちゃ早いじゃん」
「うん」
「髪、乾かしてるの、もうチョット待ってくれる?」
「うん」

ガウン姿の沙織は扇情的だけど可愛くて、冴島は、この状況に浮かれていた。
中学時代の思いが、ここで報われる。もし、紗織さえ良ければ今の彼氏と別れたあと自分と… なんて欲までムクムクと湧き上がってくる。

「お待たせ。乾かした、よ?」
「うん。じゃあ、始めてもイイ?」
「…う、ん」

紗織は、シャワーを浴びたことで少し冷静になっていた。しかし、返事をした途端に冴島はすぐさま唇をあわせ、舌をねじ込み口の中を舐め回してきた。
舌を絡めながら、同時に紗織のガウンを脱がせる。
冴島の勢いに押され、紗織はただ応えるだけになっていた。

「んっ、……はぁっ、…んっ」
「中嶋、すっげーキレイ…」

感嘆の声を呟き、同時に紗織をベッドへ仰向けに寝かせる。胸を下から掬うように揉み、乳首を摘む。時々、ピンと弾きながらとにかく可愛がった。

「乳首、勃ってる」
「えっ、あんっ」

乳首をパクっと咥え、舌で転がす。時々、甘噛をすると反応がいいので、夢中になって舐めしゃぶった。

すると、無意識なのか、紗織が膝を擦り合わせるような仕草をするので、冴島は求められていると判断し、遠慮なく紗織の割れ目へ手を伸ばす。

「こっちも触るね」

表面を優しく何度もなぞると、少しずつ濡れてきて、滑りが良くなる。クリトリスを捏ねると、紗織の反応は面白いくらいに良く、愛液でベトベトに濡れてきた。その間も、舌で胸への愛撫も続ける。

「やっ、冴島っ。ソコばっか、…はんっ」
「ん?ここが好き?すごいヌルヌルになってる」
「あんっ、も、恥ずかしっ…、も、」

しっかりと濡れていて滑りが良く、指を入れるとぎゅっと締まり、中は蠢いている。ココに入ったらどんなに気持ちいいんだろう、と期待が高まる。2本の指を入れると中は吸い付くような触り心地で、冴島の股間はバキバキに勃起していた。
取り合えす1回は紗織をイカせてから…と、指を折り曲げお腹側を探る。
紗織の反応が一際良かった場所に狙いを定め、ソコを重点的に刺激する。

「あ、ダメッ、ソコ、それ以上したらっ、はんっ」
「ん、中嶋、イッて?」
「やっ、あんっ、イッ…」

紗織がビグビクっと軽く痙攣する。
荒い息をしていたが、ゆっくりと深呼吸をして落ち着こうとしている。

「挿れてイイ?」

紗織が軽く頷く頷いたと同時に、ゴムを被せた陰茎を入口に沿わせる。2、3回上下に塗りつけるように先端でこすり、亀頭を挿入する。少しずつ抜き差しし、やがて最奥にたどり着く。

久しぶりなのもあるが、驚くほど気持ちがいい。
挿れただけなのに射精感がこみあげ、必死に堪える。

「中嶋の中、すげー気持ちいい」
「うん…、私も、気持ちいいよ」

紗織は泣きそうな顔をしていた。
彼氏のことを考えているのか、と思うと嫉妬心が生まれ、今、抱いているのは自分だと刻みつけたくなる。

「動いていい?」
「…ん、いいよ」

紗織に口づけながら、抜き差しする。紗織の中は自分のことを誘っているようで、吸い付き、締め付け、気持ちよくて仕方が無い。気が付いたら夢中で腰を振りたくっていた。体勢を変え、後から獣の交尾のように抽送する。出来るだけ奥に奥に、何度も何度も出し入れし、やがて限界がおとずれる。

「はっ、ヤバイ、もう、出そうっ」
「んっ、あんっ」
「イクッ、イッてい?も、無理っ」
「んんっ、いいよっ、イッてっ」
「んっ、はぁ、出る、イクよっ」

冴島は紗織の一番奥に陰茎を埋め、そこで大量に吐き出した。ビュッ、ビュッと、射精は暫く続き、やがて2,3回ゆっくり抽送したあと、陰茎を抜いた。

「すごい、気持ちよかった。こんなに気持ちの良いセックス、初めてかも知れない」
「私も、気持ちよかったよ」

軽く微笑むが、やはり、紗織は泣くのを堪えるような顔をしている。
冴島は素早く処理をして、紗織を抱きしめる。

「中嶋、これで劇的に何かが変わるわけじゃないかもしれない。俺は、いくらでも相談に乗るし、助けになりたいって思う。嫌なら今日限りでも良い。中嶋の選択に従う。俺のこと、保険みたいに思ってくれたらいい。連絡くれたら、何が何でも中嶋を助けに行くよ」

「冴島くん、そんなのダメだよ」
「俺がいいの。中嶋のこと、中学の時好きで、今回やっぱり好きだって思ったよ。あわよくば、って下心があるから、辛かったり困ったことがあったら連絡して」
「そんな、都合の良い…」
「うん。都合がいい男でいい。心の片隅に置いといてくれたら嬉しい」

そう言って、おでこや頬にキスをする。本当に愛しい人にするみたいに。

「あのさ」
「なに?」
「言いにくいんだけど…」
「な、なに?」
「もう1回、してもいい?」

「なっ、え? さっきしたばっか…」
「うん。自分でビックリなんだけど、まだ足りないみたいで…」

紗織は呆れた。さっきは仔犬…のような、忠犬のような態度だったのに、おかわり希望とは…。

「んー、じゃ、1回だけ…」
「ん、ありがと」
「んんっ」

早速がっつき始める。もしかして、冴島は性欲強い男で、自分は性欲解消に丁度よく利用されただけなのか。そう考えて、違うと否定する。

利用したのは自分だ。
冴島と…というより、紗織にとっては尚樹以外の人とセックスして、今のどうしようもない気持ちから解放される切っ掛けが欲しかった。誰でも良かったのだ。

我ながら、最低なことをしたと思っている。
冴島とこの先、どうこうなるつもりは無い。
冴島の本心は分からない。
お互い、WIN WINな一夜を過ごせたのではないだろうか、と思っている。


事が終わり、紗織の頭の中は、これで尚樹を失うかも知れないという未知への恐怖と、失う事でやっとこの苦しみから解放される、という安堵の気持ちでごちゃまぜになっていた。


―――別れよう。


もし、今回の事を知って、尚樹がそう望んだら。
尚樹が好きなくせに、心の底では許せなくていつまでも燻り、挙げ句に同じ事をした。
私たちは終わりだ。
お互いに浮気するなんて、本当に終わってる。

紗織は、妙にスッキリした心地でいた。


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