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ラバニエル王国編
第51話 聖女の森を目指して
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ダックの治療が無事(?)済んだ私達は聖女の森に向かう為に話し合いを始めた。
「それでどうするつもりだ?飛竜で木々が生い茂った聖女の森に降りるのは危険じゃ。第2防衛拠点に降りてダジール女王陛下や7人の聖女様と合流するか?」
そう話すのはカルビーンお爺さん。他の人達もそれが妥当かと頷いている。
(私はあの人達が出発した時に任せようと思ってた。第2防衛拠点をね。だから私はプラス1の仕事をするの)
「ううん、第2防衛拠点はあの人達に任せて私達はカール隊長さんが居る可能性が高い聖女の森の最奥に飛竜で行く」
「でも飛竜で降りるのは危険よ?」
私が強行着陸するのかと心配顔になって聞いてくるサーシャさん。そうなれば最悪飛竜を死なせる事になる。そんな心配を吹き飛ばすように飛びっきりの笑顔で私は答えた。
「大丈夫。私に任せて。安全に地上に降りる方法があるから心配無用だよ!」
その私の自信満々の言葉に違う心配を感じ始めたのかサーシャさんは、「えっと‥‥それは本当に大丈夫なのかな?」と呟いている。そして隣で聞いていたカルビーンお爺さんが笑いながら話してきた。
「ガハハ、まさか森に火をつけて燃やしたりはせんじゃろ!そんなバカなことすればカールもろとも丸焦げじゃわい」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
そして私は無表情になった。(赤の聖女の力で森の一部を「ゴォッ」って燃やそうと思ってたの。ごめんなさい)
「えっ?奏嬢ちゃん‥‥‥違うよな?」
「そ、そ、そんなことする筈無いじゃん」
「「「「‥‥‥‥‥‥‥」」」」
そしてその場は静寂に包まれる。
「ま、まぁ任せておいて。とっておきの秘策があるから!」
その静寂を破り頬に一筋の汗を垂らしながら私は答えるのであった。それから話し合いは進み、私はトムソンさんとダックに乗りサーシャさんとカルビーンお爺さんがケンタに乗って聖女の森へと向かうことになった。
出来ればサーシャさんとカルビーンお爺さんには残ってもらいたかったが、カルビーンお爺さんからは「息子の窮地に家でじっとしていてどうするんじゃ!」と言われ、サーシャさんからは「怪我をしても奏ちゃんが治してくれるでしょ?」と2人は明るく振る舞っていたがその目はとても真剣だった。(そうだよね。カールさんのこと心配だよね。仕方ないか‥‥)
そして居残りのエルフィーさんが私に向かってアイテム袋から取り出したものを放り投げてきた。私はそれを慌てて受け取り見てみると見事な装飾がされた黒革の籠手だった。
「エルフィーさん、これは籠手だよね?私にくれるのかな?」
「これはワシが秘蔵していた漆黒の籠手だ。その黒革はブラックドラゴンの頭部の革でそれだけでも強固だが、特殊な加工処理で全ての攻撃を防ぐほど頑丈になっている。まあとりあえず左手首に着けてみろ」
私はエルフィーさんにそう言われ、少し大きく感じた籠手を左手首に通してみた。すると私の左手首にフィットするように縮まる籠手。
「おお!ナイスフィット!」
「これは魔法処理も施してある。小憎らしいエルフに頼んでやってもらった」
そう言って少し嫌な顔をするエルフィーさん。
(ああ、この世界でもドワーフとエルフの仲は良くないんだ)
「そしてアイテム袋と同じ機能も備わっている。奏、その籠手に入れてあるものを意識してみろ。中になにがあるか判る。そして取り出したいものを念じれば出てくる」
私は言われた通り籠手に意識を向けると頭の中にそのリストが表示される。そして私の左手には1本の鉄棒が現れていた。(わぉ、なんて素晴らしいものなんでしょう)
「エルフィーさん、これ物凄いよ!最高だよ!これもらってもいいの!?」
「ああ、奏はスピード重視の近接戦闘タイプだ。出来るだけ身軽な方がいい。今装備しているものは全部籠手の中にしまっておけ。出したい場所に念じればその場に現れる。ただし半径1m以内だがな」
(ほぇー、この籠手凄すぎない?)
その疑問を解消するかのようにカルビーンお爺さんがエルフィーさんに小さな声で私に聞こえないようにして話していた。(ちゃっかり聞こえてますけどね)
『おい、あの漆黒の籠手はお前が名匠になった褒美に現国王から授かった初代ドワーフ王とエルフ王が共同して造った逸品だろ?』
『ああ、大事にとっておいたものだ。だがたぶんこの日、奏に渡すことが運命付けられていたのだろう。それほどこの漆黒の籠手は今の奏に必要なものなんだ。これがあれば奏の戦闘能力は間違いなく飛躍的に上がる』
(そう言われるのは嬉しいけど私は一応聖女なんですけど?でもまあ、これはありがたい。確かに私の戦闘スタイルにピッタリだ)
私は身に付けている装備を籠手に仕舞い、エルフィーさんに向かって改めてお礼を言った。
「エルフィーさん、この漆黒の籠手に見合うような戦いをしてきます。あなたから受け継いだ最強のナイフと籠手に誓って」
(ん?このセリフに似たような事を前にも言ったような気がする。そしてこれは剣士の誓いなんだよなー。聖女らしくないんだよなー)
「ああ、お前なら一流の戦士になれる。狂暴種なんぞそのナイフと籠手で全て殲滅しろ!」
「ラジャー!」
(私を指差し力強く叫ぶエルフィーさんと姿勢を正し敬礼する私はなんなの?)
そして私達はエルフィーさんに見送られ、二頭の飛竜に乗って聖女の森へと向かった。
その飛竜ダックは生まれ変わった姿で軽快に飛び回り、それをとても羨ましそうに見て私に流し目を送る飛竜ケンタッキー。
(わ、判ったよ。ケンタにも聖女の力を使ってあげるから、そんなデカイ図体して寂しげに羨ましそうに見んなよ!)
「さあ、聖女の森へと向けて出発だ!っとその前に少しだけ休憩しまーす。そこの拗ねたどデカイ飛竜がうざったいからね!」
そうして私は呆れる皆を引き連れて、飛び立ってすぐ近くの草原へと舞い降りた。
(なんか締まらねーな、おい!)
ーーーそして場所は変わるーーー
ここは妖精の国『シュトルテラ』
「またアイツ、変なこと言い始めやがった。もう俺は知らん!ポルニャ、お前が相手しろ」
そう呆れた顔で話すのは片手にタブレットを持って眼鏡を掛けた細身でサラリーマン風の男ラントン。一応白の妖精だ。
「えっ?本当にポルニャがやってもいいでちか?頑張るでち!」
そしてちょっと語尾を変な感じで話すのが、白く長い髪を赤いリボンでサイドテールにして眉と目が同じ様に垂れている可愛い顔のポルニャだ。
「早くて安くて美味しいでちね?そして大盛りときましたでちか‥‥‥」
そう言って両手を組んで「ウンウン」唸り小首を傾げるポルニャ。しばらくしてそのポルニャが「閃いた!」とばかりに細い眉を上げ細い目をバチクリと開き言った。
「御注文承りましたでち!」
そして空中で静止して妖精魔法を発動した。
「ワタチが使うのは聖女の力で癒しでち。そしてあとは‥‥‥とにかく大盛りでち!」
そして盛大に輝く白い光に驚き、現れた飛竜ダックの姿の変化に慌てたラントン。
「お、おいポルニャ、お前なにをした?あれはちょっと不味くないか?」
「ん?そうでちか?御注文通りでちよ?」
そして不思議そうな顔をするポルニャにラントンが聞いてみた。
「それはどういう風にだ?」
「あの白の異世界人は早い安い美味しいで大盛りを注文したでち。だから早いは早く飛べるようにして、それと安いは鋭い体にしたでち。あとは美味しいだから良質の肉にしてあげたでちよ?それと大盛りでちたから最高のものになるようにしたでち。もう完ぺきでちよ!」
空中で満足げでやりきった感を出しているポルニャ。そして呆れているラントンであった。
「はぁ、それでなんで安いで鋭い体にしたんだ?」
「ん?なに言ってるでちか、安いはゴシゴシ削って鋭くする道具だから鋭くするのは当たり前でちよ?ラントンはバカでちか?」
ポルニャはラントンの目の前に飛んでいきオデコを付き合わせて説明する。それをラントンは両手で鷲掴みして振りほどき投げ捨てた。
「お前それはヤスリだろ。安いと言うのは買い物する時に払うお金が少ないって事だ!それにあれは度が過ぎてるぞ!」
その言葉に唖然とするポルニャ。だが彼女は能天気妖精だ。
「がーんでち。まあでもやってしまったことは仕方ないでち。許せでち」
「ぐぬぬ、やっぱり俺が対応するべきだった」
そう言い争いをしていると再び奏からの依頼が舞い降りてきた。
『おかわり』
「お前はアホか!そんなもんあるか!」
血管が切れるほどの雄叫びをあげるラントン。そして「承りました!でち!」と喜び再び「ウンウン」と唸り始めるポルニャ。
「ポルニャはもう手を出すな。俺がやる」
そう言ってラントンは精霊魔法を使い奏の要望に答えた。
「ぐぬぬぬ、ラントンはワタチに任すと言ったでちよ!もう怒ったでちーーーー!」
ポルニャはそう言ってどこかへ飛んでいった。そして1人残ったラントンは思案顔になっている。
(あの白の異世界人は世界樹の森に向かったのか‥‥それも俺達と契約せずにだ。ちょっとこれは不味くないか?仕方ない他の色の妖精達も連れて契約に向かってやるか)
そう考えているラントンは何千年も生きている特殊な妖精だ。時間の概念が違うラントンは焦って急いでいるようだがその手に持つタブレットをのんびり眺めている。そんなラントン達は果たして間に合うのだろうか。
ーーーーー後書きーー―ー―
2022.9.1より開催されましたファンタジー小説大賞に参加しております。もし少しでもいいなと思って頂けたら私に投票をお願い致します。
トップメニューから『ファンタジー小説大賞』にアクセスして『7人の聖女プラス1』を探して頂き投票ボタンを押してもらえるとありがたいです。
なんか他に簡単に出来るのかな?探すの大変だと思いますが是非ともお願いします。
「それでどうするつもりだ?飛竜で木々が生い茂った聖女の森に降りるのは危険じゃ。第2防衛拠点に降りてダジール女王陛下や7人の聖女様と合流するか?」
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(私はあの人達が出発した時に任せようと思ってた。第2防衛拠点をね。だから私はプラス1の仕事をするの)
「ううん、第2防衛拠点はあの人達に任せて私達はカール隊長さんが居る可能性が高い聖女の森の最奥に飛竜で行く」
「でも飛竜で降りるのは危険よ?」
私が強行着陸するのかと心配顔になって聞いてくるサーシャさん。そうなれば最悪飛竜を死なせる事になる。そんな心配を吹き飛ばすように飛びっきりの笑顔で私は答えた。
「大丈夫。私に任せて。安全に地上に降りる方法があるから心配無用だよ!」
その私の自信満々の言葉に違う心配を感じ始めたのかサーシャさんは、「えっと‥‥それは本当に大丈夫なのかな?」と呟いている。そして隣で聞いていたカルビーンお爺さんが笑いながら話してきた。
「ガハハ、まさか森に火をつけて燃やしたりはせんじゃろ!そんなバカなことすればカールもろとも丸焦げじゃわい」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
そして私は無表情になった。(赤の聖女の力で森の一部を「ゴォッ」って燃やそうと思ってたの。ごめんなさい)
「えっ?奏嬢ちゃん‥‥‥違うよな?」
「そ、そ、そんなことする筈無いじゃん」
「「「「‥‥‥‥‥‥‥」」」」
そしてその場は静寂に包まれる。
「ま、まぁ任せておいて。とっておきの秘策があるから!」
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出来ればサーシャさんとカルビーンお爺さんには残ってもらいたかったが、カルビーンお爺さんからは「息子の窮地に家でじっとしていてどうするんじゃ!」と言われ、サーシャさんからは「怪我をしても奏ちゃんが治してくれるでしょ?」と2人は明るく振る舞っていたがその目はとても真剣だった。(そうだよね。カールさんのこと心配だよね。仕方ないか‥‥)
そして居残りのエルフィーさんが私に向かってアイテム袋から取り出したものを放り投げてきた。私はそれを慌てて受け取り見てみると見事な装飾がされた黒革の籠手だった。
「エルフィーさん、これは籠手だよね?私にくれるのかな?」
「これはワシが秘蔵していた漆黒の籠手だ。その黒革はブラックドラゴンの頭部の革でそれだけでも強固だが、特殊な加工処理で全ての攻撃を防ぐほど頑丈になっている。まあとりあえず左手首に着けてみろ」
私はエルフィーさんにそう言われ、少し大きく感じた籠手を左手首に通してみた。すると私の左手首にフィットするように縮まる籠手。
「おお!ナイスフィット!」
「これは魔法処理も施してある。小憎らしいエルフに頼んでやってもらった」
そう言って少し嫌な顔をするエルフィーさん。
(ああ、この世界でもドワーフとエルフの仲は良くないんだ)
「そしてアイテム袋と同じ機能も備わっている。奏、その籠手に入れてあるものを意識してみろ。中になにがあるか判る。そして取り出したいものを念じれば出てくる」
私は言われた通り籠手に意識を向けると頭の中にそのリストが表示される。そして私の左手には1本の鉄棒が現れていた。(わぉ、なんて素晴らしいものなんでしょう)
「エルフィーさん、これ物凄いよ!最高だよ!これもらってもいいの!?」
「ああ、奏はスピード重視の近接戦闘タイプだ。出来るだけ身軽な方がいい。今装備しているものは全部籠手の中にしまっておけ。出したい場所に念じればその場に現れる。ただし半径1m以内だがな」
(ほぇー、この籠手凄すぎない?)
その疑問を解消するかのようにカルビーンお爺さんがエルフィーさんに小さな声で私に聞こえないようにして話していた。(ちゃっかり聞こえてますけどね)
『おい、あの漆黒の籠手はお前が名匠になった褒美に現国王から授かった初代ドワーフ王とエルフ王が共同して造った逸品だろ?』
『ああ、大事にとっておいたものだ。だがたぶんこの日、奏に渡すことが運命付けられていたのだろう。それほどこの漆黒の籠手は今の奏に必要なものなんだ。これがあれば奏の戦闘能力は間違いなく飛躍的に上がる』
(そう言われるのは嬉しいけど私は一応聖女なんですけど?でもまあ、これはありがたい。確かに私の戦闘スタイルにピッタリだ)
私は身に付けている装備を籠手に仕舞い、エルフィーさんに向かって改めてお礼を言った。
「エルフィーさん、この漆黒の籠手に見合うような戦いをしてきます。あなたから受け継いだ最強のナイフと籠手に誓って」
(ん?このセリフに似たような事を前にも言ったような気がする。そしてこれは剣士の誓いなんだよなー。聖女らしくないんだよなー)
「ああ、お前なら一流の戦士になれる。狂暴種なんぞそのナイフと籠手で全て殲滅しろ!」
「ラジャー!」
(私を指差し力強く叫ぶエルフィーさんと姿勢を正し敬礼する私はなんなの?)
そして私達はエルフィーさんに見送られ、二頭の飛竜に乗って聖女の森へと向かった。
その飛竜ダックは生まれ変わった姿で軽快に飛び回り、それをとても羨ましそうに見て私に流し目を送る飛竜ケンタッキー。
(わ、判ったよ。ケンタにも聖女の力を使ってあげるから、そんなデカイ図体して寂しげに羨ましそうに見んなよ!)
「さあ、聖女の森へと向けて出発だ!っとその前に少しだけ休憩しまーす。そこの拗ねたどデカイ飛竜がうざったいからね!」
そうして私は呆れる皆を引き連れて、飛び立ってすぐ近くの草原へと舞い降りた。
(なんか締まらねーな、おい!)
ーーーそして場所は変わるーーー
ここは妖精の国『シュトルテラ』
「またアイツ、変なこと言い始めやがった。もう俺は知らん!ポルニャ、お前が相手しろ」
そう呆れた顔で話すのは片手にタブレットを持って眼鏡を掛けた細身でサラリーマン風の男ラントン。一応白の妖精だ。
「えっ?本当にポルニャがやってもいいでちか?頑張るでち!」
そしてちょっと語尾を変な感じで話すのが、白く長い髪を赤いリボンでサイドテールにして眉と目が同じ様に垂れている可愛い顔のポルニャだ。
「早くて安くて美味しいでちね?そして大盛りときましたでちか‥‥‥」
そう言って両手を組んで「ウンウン」唸り小首を傾げるポルニャ。しばらくしてそのポルニャが「閃いた!」とばかりに細い眉を上げ細い目をバチクリと開き言った。
「御注文承りましたでち!」
そして空中で静止して妖精魔法を発動した。
「ワタチが使うのは聖女の力で癒しでち。そしてあとは‥‥‥とにかく大盛りでち!」
そして盛大に輝く白い光に驚き、現れた飛竜ダックの姿の変化に慌てたラントン。
「お、おいポルニャ、お前なにをした?あれはちょっと不味くないか?」
「ん?そうでちか?御注文通りでちよ?」
そして不思議そうな顔をするポルニャにラントンが聞いてみた。
「それはどういう風にだ?」
「あの白の異世界人は早い安い美味しいで大盛りを注文したでち。だから早いは早く飛べるようにして、それと安いは鋭い体にしたでち。あとは美味しいだから良質の肉にしてあげたでちよ?それと大盛りでちたから最高のものになるようにしたでち。もう完ぺきでちよ!」
空中で満足げでやりきった感を出しているポルニャ。そして呆れているラントンであった。
「はぁ、それでなんで安いで鋭い体にしたんだ?」
「ん?なに言ってるでちか、安いはゴシゴシ削って鋭くする道具だから鋭くするのは当たり前でちよ?ラントンはバカでちか?」
ポルニャはラントンの目の前に飛んでいきオデコを付き合わせて説明する。それをラントンは両手で鷲掴みして振りほどき投げ捨てた。
「お前それはヤスリだろ。安いと言うのは買い物する時に払うお金が少ないって事だ!それにあれは度が過ぎてるぞ!」
その言葉に唖然とするポルニャ。だが彼女は能天気妖精だ。
「がーんでち。まあでもやってしまったことは仕方ないでち。許せでち」
「ぐぬぬ、やっぱり俺が対応するべきだった」
そう言い争いをしていると再び奏からの依頼が舞い降りてきた。
『おかわり』
「お前はアホか!そんなもんあるか!」
血管が切れるほどの雄叫びをあげるラントン。そして「承りました!でち!」と喜び再び「ウンウン」と唸り始めるポルニャ。
「ポルニャはもう手を出すな。俺がやる」
そう言ってラントンは精霊魔法を使い奏の要望に答えた。
「ぐぬぬぬ、ラントンはワタチに任すと言ったでちよ!もう怒ったでちーーーー!」
ポルニャはそう言ってどこかへ飛んでいった。そして1人残ったラントンは思案顔になっている。
(あの白の異世界人は世界樹の森に向かったのか‥‥それも俺達と契約せずにだ。ちょっとこれは不味くないか?仕方ない他の色の妖精達も連れて契約に向かってやるか)
そう考えているラントンは何千年も生きている特殊な妖精だ。時間の概念が違うラントンは焦って急いでいるようだがその手に持つタブレットをのんびり眺めている。そんなラントン達は果たして間に合うのだろうか。
ーーーーー後書きーー―ー―
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