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七転び早起き

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腕試し編ートバルの街ー

119話 幕間 闇に誘われた者達(1)

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 ここは地球のとある場所。

 俺は中村信吾15才。今は高校に入って初めての夏休みで友達の家に遊びに行く途中だ。

「ピンポーン」

「信吾遅いぞ、鍵開いてるから早く部屋に上がって来いよ。もう友成は来てるぞ」

「あいよー、おじゃまします」

 玄関を開け中に入り階段を上がる。2階の角部屋が正樹の部屋だ。中に入ると2人は携帯ゲームに夢中になっている。

「信吾、早くログインしろよ。この魔物強すぎるんだ。アタッカーのお前が居ないと勝てないんだよ。友成はダンジョンマスターだから戦闘参加出来ないしな!チーム組んだ意味無いじゃん」

「え~、ダンジョンマスター面白いよ~」

 正樹と友成は、中学からのゲーム仲間だ。

 今、ハマってるのは王道タイプのゲームで、勇者と魔王の戦いを主軸としたものだ。魔物を倒してレベルを上げる。そして魔王を倒せばエンディング。
 ただ付随した要素が半端なく多いので、誰も勇者にならず魔王放置状態が続いたり、反対に1000人以上の勇者が集まって袋叩きにしたりと設定の緩いゲームなのだ。

 俺のキャラは剣と聖魔法を使う勇者だ。正樹は全属性の賢者で友成はダンジョンマスター……
 このダンジョンマスターは本編の魔王討伐に参加せず、ひたすらダンジョンの難解度を上げる事に情熱を燃やすキャラなのだ。

「友成が戦闘に参加しないから信吾とペア討伐になるんだよな。正樹、誰か他の人誘ってみないか?」

「俺は無理だ。たとえチャットと言えど無理だ」

「まあ、俺も無理だな。俺達3人は人見知りだからな。女の子は大好きだけど話せな~い」

「「ぶふっ!」」

 そう、俺達は人見知りトリオだ。友達は他にも居るよ。普通に話してるし。ただ、初めの一言が言い出せないタイプなのだ。あれは難しい。

 頑張ってチャットしようと、挨拶を打ち込んでは消してを繰り返し、気付くと相手はもう居ない。

 まあ、ゆっくり成長しよう。今はゲームだ。

 3人は、ゲームとお菓子と好きな女の子のタイプを話したりとワイワイしながら楽しく過ごす。

 そして新しい物語が始まる。

 部屋の天井に淡い光で魔法陣が浮き出る。

「ん?なあ正樹。天井おかしいんだけど…」

「はぁ?なんだよそれ」

 3人は天井を見た。その瞬間、魔法陣が輝きだしその光に3人が包まれた。

「おい、信吾、友成。大丈夫か?」

 いつも冷静沈着な正樹が慌てた声をしていた。

「僕は大丈夫だよ。でも眩しかったね。目がまだチカチカするよ。目薬無いかなぁ」

 のんびりタイプの友成は、こんな時でものんびりだ。

「おお!これ、あれだよね、あれ。ほらっ!」

 お調子者の信吾は浮かれていた。

「信吾、落ち着け。周りは白一色で何も無い。このまま待っていれば、信吾が望む者が現れるんじゃないか?俺も期待してるけど」

「そうだね。まずは落ち着こう。深呼吸だ」

 3人は仲良くタイミングを合わせ、両手を思いっきり上げて大きく息を吸う。

「「「 すぅーーーー 」」」

「私は天使メリル。」

「ぶーーーー!」
「ひゅーーー!」
「にょあーー!」

 3人はひょっこり天使に驚き、両手を上げたまま、思いっきり吸い込んだ息を吹き出した。

 ひょっこり天使は固まっていた。そして消えた。

「えっ!居なくなったよ…どうすんだよ」

「友成が「にょあ」何て言うからだよ」

「え~、そうなの?やり直す?」

「「そりゃあ無理だよ。恥ずかしいよ」」

 3人の前に突如、恥ずかしそうに眩しく輝き出す光が現れた。その光が落ち着くと、先程のひょっこり天使が目の前に浮いていた。恥ずかしそうに。

「私は天使メリル」

「「「……………………………」」」

 静かな時が流れる。

「私は天使メリル!」

 ひょっこり天使は叫ぶ。

「「「……………………………」」」

 3人は最初の一言が言えないタイプであった。
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