81 / 171
腕試し編ートバルの街ー
81話 ディプル草を求めて(1)
しおりを挟む
師匠ルンバから薬草採取を依頼された夏希。
夏希はルンバから水魔法の師事を仰ぐ為に、ある薬草を採取する事になった。
「ニア、行って来たよ。ちょっと変わった人だったけど師事してもらえそうだなんだ。ただ、今ギルドに出している依頼を完遂するのが条件と言われたんだけど判る?」
ニアは手元の書類からルンバが出した依頼書を探している。
「夏希さん、ありましたにゃ。ふむふむ、ディプル草の採取依頼ですね。依頼書が発行されて3ヶ月は経ちますね」
(ニアの「にゃ」の使い分けが上手くなってきてるな。適度な「にゃ」が、好感度アップだ!)
「夏希さんがよく行ってる森で2つコブの高い山が見えますよね。あそこの麓にあるのにゃ。森の中を2日程歩かないと行けない上に量も採れないから、報酬との兼ね合いが悪いので残っているのにゃ」
ニアが説明と一緒にディプル草の資料を渡してくれたのでそれを読みながらニアの話を聞いた。
なるほど、よく判った。
「ニア、説明ありがとう。この依頼を受けるから処理を頼むね。明日の朝、出発するよ」
「はい、気を付けてくださいにゃ」
夏希はギルドを出て、明日の準備をする事にした。
最低でも往復で4日だ。念の為、一週間分の準備をしよう。夜はどうするかな?森だから木の上で寝ることは出来るが一週間はキツいな…雑貨屋で何かないか見てみるかな。
夏希は保存食と小物を少し買って雑貨屋に向かった。
「こんにちわ。夜営道具を見に来たんですが、1人で行くので夜寝るのに何かいい物ありますか?」
雑貨屋の店内は広く、あらゆる物が売っていた。店から出て来たのは恰幅の良いおじさん店主だった。
「いらっしゃい!1人夜営かぁ、そうだな…ちょっと待っててくれ」
店主は棚にあった革を巻物状にした商品を持って夏希の前に置いた。
「これは防水性のある素材で作ったハンモックだ。普通に木と木の間に紐で結んで使うが、木1本に紐で巻き付けて座る部分が深い椅子の様にする事も出来る。これだったら多少寝相が悪くても落ちる心配は無いし、魔物に襲われてもすぐに動けるぞ」
うん、これがいいな。
「良さそうですね、これをください」
「毎度あり。他にも必要な物があったら言ってくれ」
夏希は店主に他に必要な物は無いと言って店を出た。
いい買い物が出来たな。まだ夕方前だが宿屋に戻って早めに寝る事にしよう。
夏希は宿屋に戻り、美味しい夕食と気持ちいいお風呂を堪能して部屋に入った。
「スズラン起きてるか?」
少し待つと影からスズランが出て来た。
「どうしたのじゃ?」
「ああ、明日から森の奥の山の麓まで薬草を採りに行くんだけど、スズランも一緒に歩いて行くか?珠には運動した方がいいだろ」
「そうじゃのう…偶にはいいかの。冒険者には見られたく無いから森の奥に入ったら歩く。ワレもご飯を食べるから準備しておくのじゃ。美味しいモノを頼むぞ」
そう言ってスズランは影に沈んで行った。
美味しいご飯か…ネットスキル見ておくかな。
夏希がネットスキルを見ようと思っていると、
「ピコン」
と、メールの着信を知らせる音が頭の中で鳴った。(天使の着信の時だけ、この音が鳴るんだよな)
朝問い合わせした返事かな?早かったな。
夏希は天使からのメールを確認した。その内容はやはりネットスキルの事だった。
[ 本来ならば返答はしないけど、今のままでは制約解除が永遠にされそうに無いので特別にヒントと1つだけ解除条件を教えてあげる。このネットスキルはね、他の天使や神が創造したスキルでは無く私が私好みに合わせて新しく創造したスキルなの。
私が魂の変化を見るのが好きだと教えたわよね。だから魂の変化と同じ様な解放条件にしてるの。「生存、関係、成長」の3つに関わる何かを成し遂げた時に制約は解除されるわ。だから貴方自身のレベルが特定のレベルに成長したから、ネットスキルのレベルが上がったの。これがヒントよ。
あとは、解除条件ね。ネットスキルで購入した物を使って商売をし利益を出す事。継続でもいいしスポット的でもいいわ。これも成長に関わる事になるの。
頑張ってね。天使カルレスより ]
うん、何となくだが判ったような気がする。
それと1つだけ教えてくれた解除条件だが、商売か…
スポットで屋台でもやってみるかな。ネットから調味料なんかを購入して料理を作って売ればいいだろう。
まぁ、薬草採取から戻ってからもう一度考えよう。
あと鼎からもメールが来てたな、読んでみるか。
鼎からのメールを確認すると夏希は驚いた。
鼎達が住む街でスタンピードが起きたのか…皆は無事みたいだが、結構な人数の住人が亡くなったな。このトバルの街は近くにダンジョンが無くて良かった。
なんかやる事が色々増えたな…
夏希はルンバから水魔法の師事を仰ぐ為に、ある薬草を採取する事になった。
「ニア、行って来たよ。ちょっと変わった人だったけど師事してもらえそうだなんだ。ただ、今ギルドに出している依頼を完遂するのが条件と言われたんだけど判る?」
ニアは手元の書類からルンバが出した依頼書を探している。
「夏希さん、ありましたにゃ。ふむふむ、ディプル草の採取依頼ですね。依頼書が発行されて3ヶ月は経ちますね」
(ニアの「にゃ」の使い分けが上手くなってきてるな。適度な「にゃ」が、好感度アップだ!)
「夏希さんがよく行ってる森で2つコブの高い山が見えますよね。あそこの麓にあるのにゃ。森の中を2日程歩かないと行けない上に量も採れないから、報酬との兼ね合いが悪いので残っているのにゃ」
ニアが説明と一緒にディプル草の資料を渡してくれたのでそれを読みながらニアの話を聞いた。
なるほど、よく判った。
「ニア、説明ありがとう。この依頼を受けるから処理を頼むね。明日の朝、出発するよ」
「はい、気を付けてくださいにゃ」
夏希はギルドを出て、明日の準備をする事にした。
最低でも往復で4日だ。念の為、一週間分の準備をしよう。夜はどうするかな?森だから木の上で寝ることは出来るが一週間はキツいな…雑貨屋で何かないか見てみるかな。
夏希は保存食と小物を少し買って雑貨屋に向かった。
「こんにちわ。夜営道具を見に来たんですが、1人で行くので夜寝るのに何かいい物ありますか?」
雑貨屋の店内は広く、あらゆる物が売っていた。店から出て来たのは恰幅の良いおじさん店主だった。
「いらっしゃい!1人夜営かぁ、そうだな…ちょっと待っててくれ」
店主は棚にあった革を巻物状にした商品を持って夏希の前に置いた。
「これは防水性のある素材で作ったハンモックだ。普通に木と木の間に紐で結んで使うが、木1本に紐で巻き付けて座る部分が深い椅子の様にする事も出来る。これだったら多少寝相が悪くても落ちる心配は無いし、魔物に襲われてもすぐに動けるぞ」
うん、これがいいな。
「良さそうですね、これをください」
「毎度あり。他にも必要な物があったら言ってくれ」
夏希は店主に他に必要な物は無いと言って店を出た。
いい買い物が出来たな。まだ夕方前だが宿屋に戻って早めに寝る事にしよう。
夏希は宿屋に戻り、美味しい夕食と気持ちいいお風呂を堪能して部屋に入った。
「スズラン起きてるか?」
少し待つと影からスズランが出て来た。
「どうしたのじゃ?」
「ああ、明日から森の奥の山の麓まで薬草を採りに行くんだけど、スズランも一緒に歩いて行くか?珠には運動した方がいいだろ」
「そうじゃのう…偶にはいいかの。冒険者には見られたく無いから森の奥に入ったら歩く。ワレもご飯を食べるから準備しておくのじゃ。美味しいモノを頼むぞ」
そう言ってスズランは影に沈んで行った。
美味しいご飯か…ネットスキル見ておくかな。
夏希がネットスキルを見ようと思っていると、
「ピコン」
と、メールの着信を知らせる音が頭の中で鳴った。(天使の着信の時だけ、この音が鳴るんだよな)
朝問い合わせした返事かな?早かったな。
夏希は天使からのメールを確認した。その内容はやはりネットスキルの事だった。
[ 本来ならば返答はしないけど、今のままでは制約解除が永遠にされそうに無いので特別にヒントと1つだけ解除条件を教えてあげる。このネットスキルはね、他の天使や神が創造したスキルでは無く私が私好みに合わせて新しく創造したスキルなの。
私が魂の変化を見るのが好きだと教えたわよね。だから魂の変化と同じ様な解放条件にしてるの。「生存、関係、成長」の3つに関わる何かを成し遂げた時に制約は解除されるわ。だから貴方自身のレベルが特定のレベルに成長したから、ネットスキルのレベルが上がったの。これがヒントよ。
あとは、解除条件ね。ネットスキルで購入した物を使って商売をし利益を出す事。継続でもいいしスポット的でもいいわ。これも成長に関わる事になるの。
頑張ってね。天使カルレスより ]
うん、何となくだが判ったような気がする。
それと1つだけ教えてくれた解除条件だが、商売か…
スポットで屋台でもやってみるかな。ネットから調味料なんかを購入して料理を作って売ればいいだろう。
まぁ、薬草採取から戻ってからもう一度考えよう。
あと鼎からもメールが来てたな、読んでみるか。
鼎からのメールを確認すると夏希は驚いた。
鼎達が住む街でスタンピードが起きたのか…皆は無事みたいだが、結構な人数の住人が亡くなったな。このトバルの街は近くにダンジョンが無くて良かった。
なんかやる事が色々増えたな…
2
お気に入りに追加
2,275
あなたにおすすめの小説
異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。
流石に異世界でもこのチートはやばくない?
裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。
異世界転移で手に入れた無限鍛冶
のチート能力で異世界を生きて行く事になった!
この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~
夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。
「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。
だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。
時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。
そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。
全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。
*小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる