集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き

文字の大きさ
上 下
80 / 171
腕試し編ートバルの街ー

80話 師匠を求めて

しおりを挟む
 ニアに水魔法使いを紹介してもらった夏希。

 夏希はニアに書いてもらった地図を見ながら街を歩いている。その場所は街の北東にある孤児院の近くであった。

「ここだな、水魔法使いの家は。と言うか、店だなここは」

 夏希がたどり着いたのは一軒の店だった。

[ 妖精の館 ]

「いやいや、怪しすぎるだろ。これじゃあ何の店か判らないぞ。妖精売ってるのか?犯罪だろ」

 夏希は店の前で呆然としている。

「屋号としては面白味に描けるな…」

 夏希は何を求めているのだろう。

「もう帰ろうかな」

 いいからもう早く入れよ。

 夏希は恐る恐る店に入って行った。

「お邪魔しまーす」

 店内は2畳程のスペースがあり、その奥がカウンターでその後ろに棚に並べた瓶入りの薬草やポーション類がある。(クリーニング屋みたいな感じだね)

 夏希は店内を物珍しそうに見回している。

「いらっしゃいませでち。」

 ん?なに?なんて言った?「でち」ってなに?

 夏希は声がした方を見るが誰も居ない。

「ここでち」

 えっ?また「でち」って言ったよね…

 声はカウンターの方から聞こえてきたと思い、注意深く見るとカウンターから通称「あほ毛」が飛び出て見えていた。

 なんかもうお腹いっぱいなんですけど…

「よっこいしょでち。何を買いに来たでちか?」

 椅子の上に立ったのか、声の当人がカウンターからよく見える様になった。

 現れたのは身長100センチ程で幼女体型、水色の髪をボブカットにした少女?幼女?であった。(頭にあほ毛あり)そして種族がエルフ族であった。

 俺…どうすればいい?夏希は覚悟を決める。

「初めまして、夏希と申します。実は買い物に来たのでは無く、冒険者ギルドの紹介で来ました。用件は、この店に水魔法が使える方が居ると聞きまして、是非とも水魔法を教えて頂けないかとお邪魔させて頂きました」

 夏希は丁寧に挨拶をした。

「それは私でち。貴方が水魔法を使うのでちか?何を教えて貰いたいのでちか?」

「私が水魔法を使います。教えて頂きたい事は攻撃魔法です。私はまだ1種類しか使っていないのです。他のタイプを考えてはみたのですが思い付かないのです」

 エルフの幼女は思案している。

「取り敢えず貴方がどれだけの水魔法を使えるか見せてもらうでち。返答はそれからでち。裏庭があるから付いて来るでち」

 夏希は頭の中を「でち」でいっぱいにしながら後を付いて行った。

 裏庭はテニスコートの半分ぐらいの広さで何も無い。

「すいません。先にお名前を教えて頂けませんか?」

「ああ、ごめんなさいでち。私はルンバでち」

 どこをどう突っ込めばいいの… 吸い込むの? 踊るの? でいい? もう許してくれる?

 夏希は完敗だ。

「ここはそれ程広く無いでち。あそこの壁だけ魔法障壁になってるから、あの壁に向かって攻撃魔法を放つでち。威力は最大は危ないので加減して放つでち。その後でどれくらい加減したか説明するでち」

 夏希は少し考えたあと、1つだけ水刃を作り出し壁に向かって放った。水刃を受けた魔法障壁に変化は無い。

「これが今使える攻撃魔法です。威力は1/10ぐらいです。私はこれを最大で放つ場合は約1,000ほど同時に放てます。先程の威力の場合は10,000ですね」

 ルンバは夏希の話を聞いて唖然としていた。

「そ、それは凄いでち。もしその話が本当なら、その威力はこの国で100本の指の内に入るでち。数ならば10本でち」

 夏希は魔法に関してのみだが、何となく自分の強さがどれくらいなのか判ったような気がした。

「これに技術と知識が追い付けばもっと強くなれるでち。どうするでちか?私に教えてもらうでちか?実は私はこれでもこの国では3本の指に入るでちよ」

 ルンバは自慢気に話してきた。

 それは是非とも教えてもらいたい。

「ルンバさん、是非ともお願いします」

 ルンバは夏希の返答にニヤリと声を出さずに笑う。

「では、今日から貴方は私の弟子でち」

 夏希は魔法の師匠が見つかった事に喜んだ。

「ただし、私の頼みを1つ聞いてもらうでち。まぁ、それ程面倒な事では無い。ある薬草を取って来るでち。
 詳しい事は依頼はもう出しているからギルドで聞くでち。早速行って来るでち」

 そう言って夏希は追い出された。

 夏希は心の中でこう言った。

(お腹いっぱい過ぎて苦しい…)
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

処理中です...