集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き

文字の大きさ
上 下
58 / 171
腕試し編ートバルの街ー

58話 森での討伐

しおりを挟む
 冒険者ギルドを出て昼御飯を食べた夏希。

「頑固オヤジの定食屋」から満足げな顔をして出てきた夏希。

「はぁ~、今日も旨かった!それにあの雰囲気も最高だ。もう大満足だ!」

「もう今から森に行くのダルいな…」

「でも、でも、お金が無いの・だ~!」

 夏希はブツブツ言いながら街の門まで歩いて行った。

 門前でギルドタグを見せ、街外へ出た夏希は森に向けて歩いて行く。街から北にある大きく深い森だ。距離は歩いて往復2時間は掛かるので、今日の討伐はあまり時間が無い。

 討伐目標は常時依頼のゴブリンだ。

 このゴブリンだが人型の魔物の中では最弱だ。だが侮る事は出来ない。ラノベでよくバッサバッサと切り捨てられたり、魔法であっさり倒したりするが、この世界のゴブリンはそこまで弱くない。

 一般人の大人や初心者の冒険者だと、討伐は困難で反対に殺されたりする事はよく聞く話しだ。棍棒や剣などを持って襲ってくる。

 ただ、頭が悪く本能優先で襲ってくるので戦闘技術は無く連携を組んでの攻撃が無い。中堅以上の冒険者であればラノベ的無双も可能だ。

 だから常時依頼ではあるが、推奨ランクはDランク以上になっている。(Eランク冒険者でも倒せるよ。危険性はあるけど)

 出現頻度は人型魔物の中ではダントツだ。繁殖力と大人になるまでの成長速度が早い。どんな種族とも繁殖可能な事も要因の1つだ。(エロ魔物だね)

 森に着いた夏希はゴブリンを探す。出現頻度が高いと言っても「はいそこ~」みたいにすぐに見つかる訳でもない。

「はい、そこ~」

 ゴブリンが居た…

 すぐさま水刃で首チヨンパ。

「はい、無双~」

 今までの話は何だったのだろうか……

 討伐証明はギルドタグが自動集計してくれるので不要だ。(何気に凄いギルドタグ。鉄製だが)

 死体は他の魔物が集まってくるので処理するのが常識だ。穴を掘って埋めるか火で焼いて処理する。魔法も使ったりするが魔力を温存する為、人力で行う割合が高い。だから素材にならないゴブリン討伐は人気がない。

「水刃、極小バージョン100個~」

 ゴブリンは見えないくらい粉々だ。

「はい、高圧洗浄機並み放水~」

 水浸しだがゴブリンの痕跡はどこにも無い。

 魔力使い放題だ…

 約2時間で8匹のゴブリンを討伐した。(何故かゴブリンは「匹」で数える。因みに、オークは「頭」で、オーガは「体」だ)

「よし、暗くなるから帰ろう」

 夏希にとっては難しく無い常時依頼であった。

 街に戻ってきた時はもう夕方だった。依頼後はギルドの洗い場で体を綺麗にする必要があるので必ず戻って体を洗う。

 装備はギルド常駐の魔法使いがクリーンを無料で掛けてくれる。(クリーンを掛けて貰えるのでシャワーしない人もいる。俺はシャワー派だ)クリーンを使える人や仲間が居る場合は、ギルドに用事がなければそのまま帰る冒険者もいる。

 俺は清算があるのでギルドに戻った。まだ込み合う時間のちょっとだけ前の時間帯だ。

 受付を見るとニアがまだ居た。でも俺は他の受付嬢とも話をしてみたい。(狙いは清楚系眼鏡美女だ!)

 突撃だ!

「あっ!夏希さんにゃ。コッチ、コッチにゃ!」

 捕まった…

「はぁ、ニア、清算頼むわ…」

 ニアに俺のギルドタグを渡す。

「なんで元気ないにゃ?それに他の受付に行こうとしていたにゃ。夏希さんの専属は私にゃ!」

 ニアは長いしっぽをピンと立て怒っている。

「専属制度なんてあったか?」

「無いにゃ。2人だけの制度にゃ」

 むちゃくちゃだな…

「清算出来たにゃ。ゴブリン8匹で金貨4枚にゃ。タグで預金するかにゃ?」

 そう、このギルドタグには魔物討伐の集計機能だけでなく預金機能もあるのだ。(鉄製なのに)

「手持ちが無いから現金でくれ。金貨1枚は銀貨に両替たのむわ」 

「はいにゃ」

 ニアは小さな革袋にお金を入れて渡してきた。

「お!袋サービスとは気が利くね」

 俺はその袋を受け取りズボンのポケットに入れた。

「違うにゃ。この袋は夏希さんとニアの通い袋にゃ。今度ギルドにくる時に、専属手数料のチョコをこの袋に入れてニアに渡すのにゃ」

 ニアはニコニコしながら話している。

 (はぁ、まぁそれぐらいはいいか)

「判ったよ。この次また持ってくる」

「ありかとにゃ!貰ったチョコは全部食べてしまったにゃ。夏希は必ず明日も来るにゃ。明後日はニアが休みにゃ。だから、か・な・ら・ず・来るにゃ!」

 ニアは必死だ…

「大丈夫、明日も来るよ」

 そう言ってギルドを後にした。

 今日の稼ぎは半日で金貨4枚(40,000円)だ。休みが入るとしても装備の整備費や予備費を考えても問題無いだろう。(たぶん)

 夏希は金銭面も見通しが付いたので少し安心した。
 ただ、今回の目的は腕試しだ。お金は出来るだけ早く貯めて自由な時間を作ろうと思うのであった。
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...