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獣人村編
33話 夏希は能力の再確認をする。
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新たな目的を見つけた夏希。
太陽がその光を広げ始める少し前の時間帯。夏希は既にラグ家の庭先で木剣を振っていた。
暫くするとラグが家から出て来る。
「夏希、今日は何時もより早いな」
「ラグ、おはよう。早速で悪いが模擬戦をしてくれないか?手加減無しでな」
夏希はラグに真剣な眼差しでもう一本ある木剣を投げ渡した。
「どうした?急に…」
ラグは夏希のその表情を見て言葉を止めた。
「判った。本気で行くぞ。何でもありだ」
ラグは受け取った木剣を何度か振って、自身の状態を確かめると夏希に向かって構えた。
夏希も呼吸を整えてラグに向かって木剣を構える。
2人の準備は出来た様だ。
先に動くのは夏希だ。素早さを生かして動き周り木剣を小刻みに振り、ラグから隙を誘いだす。
ラグはその剣先を簡単に躱して行く。隙を見せる様子は無さそうだ。
数分の間、同じ様な展開が続く。
「チッ!」
夏希は動きを読まれている事で少し焦りが出始めて動きが単調になって来ていた。
ラグがその瞬間夏希の利き手反対側に急接近し、木剣を鋭く夏希の左脇腹付近に叩き込んだ。
夏希は体制を崩しながらも何とか木剣で受け止める。ラグはすぐさま回し蹴りを放ち夏希は吹き飛ばされた。
「何でもありだ。魔法を使ってもいいんだぞ」
夏希は距離を取るように回りながら起き上がり体制を整える。
「ラグ、死ぬなよ」
夏希は無詠唱で頭上に高速回転する円盤状の水刃を浮かべた。その数は100を越えている。
夏希はラグに向かってその無数にある水刃を飛ばす。そして自らも木剣を構えて突っ込んで行く。
ラグは無数に飛んでくる水刃を急所に当たりそうな物だけを弾き飛ばし、向かって来る夏希の攻撃に備えた。
既にラグは傷だらけになっているが致命傷となる傷は無く戦意もまだ高い。
夏希はそのままラグの目の前に躍り出て木剣を上から斜め下に振り下ろした。
「甘いな」
ラグはそう言って夏希の木剣に自らの木剣を合わせるように迎え撃った。
夏希の木剣とラグの木剣が交わり拮抗すると思われた時、ラグの木剣は夏希の木剣により剣が交わった部分から先が切り取られていた。
「なっ、マジか!」
驚いたラグは体制を崩したまま夏希の横をすり抜ける。ラグは直ぐに体制を整え様とした。
だが夏希もこの隙を逃さず木剣を下から上にとラグに向かって振り上げた。
「ぐはっ!」
ラグは夏希の一撃を右脇腹に叩き込まれ倒れた。
「はぁはぁ、降参だ」
ラグはそのまま動かない。
「あっ!ラグ、ごめん!」
ラグは血だらけで意識を失っていた。
焦った夏希はアイテムボックスからポーションを取り出してラグの口に突っ込んだ。
「げほっ、扱い酷いぞ夏希よ」
1分程でラグは目を覚ました。キズはもう治っているみたいだ。
2人は疲れ果てて地べたに座ったまま話を始めた。
「どうやって俺の木剣を切ったんだ?」
「ああ、あれは木剣に水魔法で高速振動する水を纏わせたんだ」
「ラグ、私は強くなってるか?」
「そうだな。剣のみだったら俺のほうがまだ強い。魔法ありなら負けるな。それも大差でだ」
「俺はこれでも冒険者ランクはBだ、だから夏希は強くなってる。いや強い。Aランクの上位に入るレベルだ。誇っていいレベルだぞ」
「だからそんなに焦るな。お前は強い」
ラグは私の肩を軽く叩いて家に戻った行った。
夏希は立ち上がり空を見上げた。
そうか。私は強くなっている。
太陽がその光を広げ始める少し前の時間帯。夏希は既にラグ家の庭先で木剣を振っていた。
暫くするとラグが家から出て来る。
「夏希、今日は何時もより早いな」
「ラグ、おはよう。早速で悪いが模擬戦をしてくれないか?手加減無しでな」
夏希はラグに真剣な眼差しでもう一本ある木剣を投げ渡した。
「どうした?急に…」
ラグは夏希のその表情を見て言葉を止めた。
「判った。本気で行くぞ。何でもありだ」
ラグは受け取った木剣を何度か振って、自身の状態を確かめると夏希に向かって構えた。
夏希も呼吸を整えてラグに向かって木剣を構える。
2人の準備は出来た様だ。
先に動くのは夏希だ。素早さを生かして動き周り木剣を小刻みに振り、ラグから隙を誘いだす。
ラグはその剣先を簡単に躱して行く。隙を見せる様子は無さそうだ。
数分の間、同じ様な展開が続く。
「チッ!」
夏希は動きを読まれている事で少し焦りが出始めて動きが単調になって来ていた。
ラグがその瞬間夏希の利き手反対側に急接近し、木剣を鋭く夏希の左脇腹付近に叩き込んだ。
夏希は体制を崩しながらも何とか木剣で受け止める。ラグはすぐさま回し蹴りを放ち夏希は吹き飛ばされた。
「何でもありだ。魔法を使ってもいいんだぞ」
夏希は距離を取るように回りながら起き上がり体制を整える。
「ラグ、死ぬなよ」
夏希は無詠唱で頭上に高速回転する円盤状の水刃を浮かべた。その数は100を越えている。
夏希はラグに向かってその無数にある水刃を飛ばす。そして自らも木剣を構えて突っ込んで行く。
ラグは無数に飛んでくる水刃を急所に当たりそうな物だけを弾き飛ばし、向かって来る夏希の攻撃に備えた。
既にラグは傷だらけになっているが致命傷となる傷は無く戦意もまだ高い。
夏希はそのままラグの目の前に躍り出て木剣を上から斜め下に振り下ろした。
「甘いな」
ラグはそう言って夏希の木剣に自らの木剣を合わせるように迎え撃った。
夏希の木剣とラグの木剣が交わり拮抗すると思われた時、ラグの木剣は夏希の木剣により剣が交わった部分から先が切り取られていた。
「なっ、マジか!」
驚いたラグは体制を崩したまま夏希の横をすり抜ける。ラグは直ぐに体制を整え様とした。
だが夏希もこの隙を逃さず木剣を下から上にとラグに向かって振り上げた。
「ぐはっ!」
ラグは夏希の一撃を右脇腹に叩き込まれ倒れた。
「はぁはぁ、降参だ」
ラグはそのまま動かない。
「あっ!ラグ、ごめん!」
ラグは血だらけで意識を失っていた。
焦った夏希はアイテムボックスからポーションを取り出してラグの口に突っ込んだ。
「げほっ、扱い酷いぞ夏希よ」
1分程でラグは目を覚ました。キズはもう治っているみたいだ。
2人は疲れ果てて地べたに座ったまま話を始めた。
「どうやって俺の木剣を切ったんだ?」
「ああ、あれは木剣に水魔法で高速振動する水を纏わせたんだ」
「ラグ、私は強くなってるか?」
「そうだな。剣のみだったら俺のほうがまだ強い。魔法ありなら負けるな。それも大差でだ」
「俺はこれでも冒険者ランクはBだ、だから夏希は強くなってる。いや強い。Aランクの上位に入るレベルだ。誇っていいレベルだぞ」
「だからそんなに焦るな。お前は強い」
ラグは私の肩を軽く叩いて家に戻った行った。
夏希は立ち上がり空を見上げた。
そうか。私は強くなっている。
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