集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き

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獣人村編

11話 ラグの家族

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 なんとか村に辿り着いた夏希。親切な村人、ラグの家に泊めて貰うことになった。

「ここが俺の家だ、遠慮せずに入ってくれ」

 赤い屋根で小さいが庭があり玄関前には花壇がある。中に入るとリビングがあり扉が何ヵ所かあるので部屋数は多そうだ。キョロキョロと見回していると奥から声がした。(ん?誰か居るのかな?)

「あなた、お帰りなさい。あら、お客様?」

 奥から出て来たのは薄いオレンジ色の髪をした、優しい顔の女性だった。特筆すべきはそのスタイルで、母性溢れるその膨らみは、はち切れんばかりと強調し、腰はキュッと引き締まり、安産型のヒップだ。(嫁にしたい大会があったら優勝間違い無しだな!)

「奥さん!もう大丈夫です。この凶悪な顔に脅されたんですね!私が討伐するので安心してください!」

「来い!ラグ大魔王。姫様は渡さん!この聖剣チュバカブラで相手してやる!」(聖剣は草原で拾った木の棒だ。もう無いけどな!)

「誰が大魔王だ…脅してなんかないぞ。顔も怖くない!と思う…」

「ふふふ、これでもとても優しい人なんですよ。好きになったのも私からですし」

「まさか魅了魔法か!」

「そんな魔法使えんわ!」

「まぁ、冗談だ。離婚はして欲しいがな!」

「ふふふ、面白い人ですね」

 奥さんは目に涙を浮かべながらクスクスと笑っている。

「あ~、会った時は真面目な青年に見えたんだがな。隣の国バルバドス王国で魔法が暴発して、ここに飛ばされたらしい。定期馬車で移動するから、それまで家で面倒見ることにした。名前は夏希だ」

「夏希です。本当はラグさんに感謝してます。悔しくて暴走しました。はははは」

「妻のサーラです。大変でしたね。ゆっくりしていってくださいね」

「まぁ座れ。あと年は近そうだし敬語は肩苦しいから要らんからな。俺は30才だ。夏希は年下だろ?」

「36才だぞ。ピチピチのな!」

「以外に若く見えるな。俺が年下か…敬語はいいよな?使わんけどな。サーラ1人増えたが飯は大丈夫か?」

「今日はシチューだから余分にあるわよ」

「サーラさん、急にすいません。あっ、宿代払いますね、どれくらいかな? ラグ幾らだ?申せ!」

「偉そうだな… 宿代なんかいらん。遠慮するな!」

「そうか、ありがとう。何かでお返しするわ」

「はは、疲れているだろう飯食ったらゆっくり休め」

 サーラさんが奥から大きな鍋を持って来た。(シチューかな?)それから、パン、サラダが出てきた。シチューは具沢山のホワイトシチューだな。(美味しそうだ)

「アンナ、ご飯よ~」

 ん?サーラさんが叫ぶと奥からトタトタと足音がして「バンッ!」と扉が開いた。出て来たのはサーラさんを小さくした感じの小学生低学年くらいの可愛い女の子だった。

「は~い。ん?だれ?」

 ちょこんと首を傾げた可愛い姫様。

「アンナ、この人は夏希さんと言ってお父さんのお友達よ。ご挨拶しなさい」

「アンナ6才!」

「アンナ姫!極悪顔のラグ大魔王にさらわれたのですね!私が討伐するのでご安心を!」

「さらうか!可愛い可愛い愛娘だ!」

 サーラさんとアンナちゃんは大爆笑だ。

「ははは。アンナちゃん、お母さんソックリでよかったね。もう天使だな!」

「ふふふ、夏希お兄ちゃんありがと!」

 おお!お兄ちゃんか。おじさんの年齢なんだけど嬉しいな!ラグはいいな~、可愛い嫁さんと娘が居て。

「はいはい、じゃあご飯食べましょうか」

 シチューは見た目通りとても美味しかった。パンもそんなに固くないな?ラノベだったらアゴ外れる位固いのが定番なんだがな。サラダもハーブと香辛料がよく効いたドレッシングが掛かっていて美味しい。シチューも香辛料が効いてたし、そこまで高くないのかな?

 食事中は会た話も弾んで楽しい食事だった。食後、ハーブティーのようなものを頂いた。

 いい家族だな。何かお礼したいな。今あるものは…

「サーラさん、アンナちゃんにお菓子あげても大丈夫ですか?」

「お菓子ですか?ええ、アンナがまだ食べれるのなら大丈夫ですよ」

「お菓子?アンナお菓子食べたい!」

 私はリュックから例のお菓子を取り出した。(うま◯棒だな!)あと6本残っていた。

「わ~、可愛い絵が書いてある!それにキラキラしてる!」

 そうだな。包装は下地が銀色で絵が書いてあるな。(可愛いかどうかは判らんが…)

「ギザギザしたところを捻ったら開くから。強く握ったりすると中のお菓子がボロボロになるから気をつけてね」

 渡したのはエビマヨ味とコーンポタージュ味だな。夕飯のメニューと被ったけどいいかな。

 アンナちゃんは目をキラキラさせて丁寧に袋を開けて噛りついた。

「うわ~、なにこれ!サクサクして香ばしくて変わった味だけど美味しい~」

 アンナちゃん、そんなにピョンピョン跳ねながら食べるとこほれるよ。(ああ、床に食べかすがたくさん落ちてる… )

 サーラさん、少し目が細くなってない?

「あっ!これシチューの味がする!凄~い美味しい」

 もう2本目なのね。喜んで貰えて良かった。

「夏希さん、珍しいお菓子をありがとうございます。村にはお菓子なんてあまり無いですから」

「いえいえ、気に入ってもらって良かったです。まだあるのでまた出しますね」

「ほんと!夏希お兄ちゃんありがと!」

 頭を撫でてあげたら目を細めて嬉しそうにしてくれた。

「夏希、ありがとうな。アンナが嬉しそうだ。そろそろ寝るか? あ~、体を拭くお湯を持っていくから、もう少し起きておいてくれ。部屋は右の扉を開けると一部屋あるからそこで寝てくれ。前にオヤジが居た部屋だが亡くなってな。綺麗に掃除はしてるからな。」

「ラグ、本当に色々とありがとうな」

「気にすんな」

 お湯をもらって体を拭いてベッドに横になった。

 今日は本当に色々あったな。ラグに会えて幸運だった。今日はもう疲れて頭が回らないから明日から頑張ろう!

「おやすみなさ~い」
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