先生と私〜家庭教師✕生徒〜

真愛つむり

文字の大きさ
上 下
8 / 41

君の奏でる音楽

しおりを挟む
私は今日、先生の大学の学園祭に来ている。

先生は所属している剣道部でホットドッグ屋台を出しているらしい。

事前にもらっていたパンフレットを頼りに先生の店を探す。

早く先生に会いたくてつい早足になる私を、父がたしなめた。

無事ホットドッグ屋台を発見し、父が注文している間にテントの中を覗き見るも、そこに先生の姿はない。

あれ?

不思議に思っていると、大学生のお姉さんが話しかけてきた。

「ボク、誰か探してるの?」

私が先生の名前を告げると、お姉さんは「ああ、彼なら……」と居場所を教えてくれた。

先生はどうやらダンスサークルの助っ人として呼ばれたらしい。

特設ステージの場所は、ホットドッグ屋台からそう遠くはなかった。私はホットドッグを受け取った父の手を引いてステージへ急ぐ。

先生、ダンスもできるんだ。

日頃から何でもできる人だとは思っていたが、また新たな才能を見られるのは嬉しい限りだ。

私がステージの見える場所に到着した時、ちょうどダンスサークルの出し物が始まった。

「わぁ、みんな上手!」

「ホントだねぇ」

私は夢中でステージを見上げた。私の身長では、ちょっと頑張らないと全体が見えない。

流行りの曲に合わせて、女子グループが可愛い動きを披露する。盛り上がる観客。私も精一杯の敬意を込めて拍手を送った。

突如、舞台の雰囲気が変わった。客席も静まり返る。ステージに現れたのは、狐のお面をつけた3人組。和風の衣装に身を包み、客席に背を向けてスタンバイした。

隠された顔、いつもと違う服。

しかし私にはわかった。

真ん中にいるのが先生だ。


曲が流れ始め、次々に繰り出される技。再び興奮する観客たち。サイドの2人もかなりの技量だが、先生のダンスは子どもの私にもわかるくらい頭一つ抜けていた。

(先生、いつもと全然違う……!)

穏やかで優しく、寄り添うように私を導いてくれる先生。

それが今は、圧倒的な支配者だった。

先生がステージを支配している。それはまるで、音楽に合わせて踊っているのではなく、先生の身体から音楽が流れ出しているかのよう。

先生の奏でる音楽。

いつも先生にちょっといじわるな父でさえ、今この瞬間だけは彼の虜だった。


拍手喝采の中ステージを降りた先生に会うため、私は走り出した。この胸のドキドキが鳴り止む前に、伝えたいことがたくさんある。


テーマ「君の奏でる音楽」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

処理中です...