3 / 41
最初から決まってた
しおりを挟む
「え、結婚式……ですか?」
国語のワークを解き終えて休憩の体勢に入った私に、先生が意外な話題を振ってきた。
「そう。半年後にやるんだけど」
先生は驚く私の顔に目もくれず、丸つけを始めた。
私の心はどす黒いモヤで埋め尽くされた。先生が、結婚する。私じゃない、他の人と。
いや、わかっていたはずじゃないか。私と先生では歳が違いすぎる。
私が大人になるまで、先生は待ってくれないだろうことくらい。
わかっていた。
最初から決まってたのだ。
「それで、どうする?君も来ますか」
残酷なことを聞く。私から先生を奪っていく人の幸せを願えと言うのか。
「えっ、と……私は」
私が煮え切らない返事をしたからか、先生は添削の手を止めてこちらを見た。
「おや、君なら興味津々でついてくるかと思ってました」
「そ、そうですか?」
「フフフ、君は積極性の塊だから。まぁでも、興味わかなくて当然か。知らない人の結婚式なんてね」
え?
「……知らない人??」
「ええ、大学の友人の〇〇くんと△△さん。知らないでしょう?」
その時、私の心に一筋の光が射し込んだ。
「話したことなかったよね?」
固まった私を不思議そうに見つめる先生は、今日も美しい。
「はい……ないです。知らない人です!!!」
「ど、どうしました!?急に大声出して」
「いえ、何でもありません♪」
私は勢い良く机に向き直り、意気揚々と、いちばん苦手な算数のワークを開いた。
今ならどんな難問だって解ける気がする。
つり上がった口角が天井にまで届きそうなのを抑えようと、私は鉛筆を強く握った。
そんな「私」を見て、「先生」はそっと微笑んだ。
テーマ「最初から決まってた」
国語のワークを解き終えて休憩の体勢に入った私に、先生が意外な話題を振ってきた。
「そう。半年後にやるんだけど」
先生は驚く私の顔に目もくれず、丸つけを始めた。
私の心はどす黒いモヤで埋め尽くされた。先生が、結婚する。私じゃない、他の人と。
いや、わかっていたはずじゃないか。私と先生では歳が違いすぎる。
私が大人になるまで、先生は待ってくれないだろうことくらい。
わかっていた。
最初から決まってたのだ。
「それで、どうする?君も来ますか」
残酷なことを聞く。私から先生を奪っていく人の幸せを願えと言うのか。
「えっ、と……私は」
私が煮え切らない返事をしたからか、先生は添削の手を止めてこちらを見た。
「おや、君なら興味津々でついてくるかと思ってました」
「そ、そうですか?」
「フフフ、君は積極性の塊だから。まぁでも、興味わかなくて当然か。知らない人の結婚式なんてね」
え?
「……知らない人??」
「ええ、大学の友人の〇〇くんと△△さん。知らないでしょう?」
その時、私の心に一筋の光が射し込んだ。
「話したことなかったよね?」
固まった私を不思議そうに見つめる先生は、今日も美しい。
「はい……ないです。知らない人です!!!」
「ど、どうしました!?急に大声出して」
「いえ、何でもありません♪」
私は勢い良く机に向き直り、意気揚々と、いちばん苦手な算数のワークを開いた。
今ならどんな難問だって解ける気がする。
つり上がった口角が天井にまで届きそうなのを抑えようと、私は鉛筆を強く握った。
そんな「私」を見て、「先生」はそっと微笑んだ。
テーマ「最初から決まってた」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説




寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる