歪な国と白銀の双子

相崎 ゆの

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「だっ誰かー!助けっ、ヒッ」
見知らぬ誰かの叫び声とともに叫んだ子供が気付けば血塗られていき、動かなくなった。
それと同時に場面が切り替わる。
今度は少女だ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさっ…」
また血塗られ動かない。
場面が切り替わる。
「来るなー!うぅあぁあぁぁ」
血塗られ切り替わる。
「どうして?いやっ!離して!あっ…」
血塗られる。
次も次も次も次も次も次も…
悲鳴と残虐に殺されていく。

「お願い、もう許して…やめて!」

バッと飛び起きる。
酷く汗と息が上がっていた。

「もう、やめろー!」

その声にリリムはビクッとして隣を見るとルランもガバっと起き上がる。
同じく汗と息も上がっていた。
どうやら悪夢を同時に見ていたようだ。
「お互い嫌な夢ね、ルラン」
「全くだ。そういえば、そろそろじゃないか?」
「ん?あぁ、そうね。そろそろ探りに入る時期かしら」
「ならあそこに待機しておくか?」
「どうせ寝れないだろうし、そうしましょうか」
動きやすい格好に着替え仮面をつける。
双子と博士しか知らない秘密の場所。
そこへ向かった。

ーーーー


暗い中どれくらいそこにいたのだろうか。
誰かの足音が段々近づいてくる。
そして何かを手にして止まったタイミングで
ルランが何者かにシュッと喉元にフォークを突きつける。
「動くな」
低い声で耳元で囁く。
リリムが電気をつけ、問いかける。
「何故貴方がここにいるのかしら。アルレイン」
「ど、どうしてお二人が此処に…」
ルランはグッとフォークを押し付ける。
「聞いてるのはこっちだ」
静寂な中ゴクッと息を呑んでいる音が響く。
アルレインはゆっくりと話し始めた。
「父が残していたものに禁書庫の事が書かれていた為、父の事やお二人の事が分かるかと思いここに来ました。お二人に危害を加えるつもりはありません」
「やっぱり親子よね」
「リリムどうする?」
「離してあげなさい」
パッとフォークを手元に戻した。
「しかしどうして分かったのですか?」
「見ていれば分かるわよ」
「勝手な事して申し訳ございませんでした」
「とりあえず今日は戻りな、また明日呼び出すから」
「は、はい」
「安心して、今日の事は私たちだけに留めておくから」
「感謝致します。では」
取っていた書物を元に戻した後に来た道に戻っていった。
「私たちも帰りましょうか、ルラン」
「そうだね、今ならもう一眠りは出来るよ」
双子も自室に戻った。
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