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2章 渡界人の日報
2-6 魔獣売ります⑨ 突入準備
しおりを挟む私は渡が言わんとしている意図に気が付いて口を挟んだ。
「待ってくれ。その白人らしき人物を君は転生者か転移者と思っているんだろ?だがどうして向こうの世界ではなくてわざわざこっちの世界でこんな事をするんだろう?」
「良いところに気が付くじゃないか。恐らく向こうでは倫理的、習慣的にアウトな事もこちらでは何の気兼ねも無く出来るからともいえるだろう」
「そう考えるとますます違法性を帯びてくるな」
「そして先程の交番の巡査の話の続きだが、この2名が外で一緒にいる所を見たことがないそうだ。浅黒い男は昼間だけ、白人の方は夕方から夜にかけて出てくるらしい。昼間の男は肉類をどっさり買い求めたり、その他宅配便の受け取りに出てくるらしい。夜の男の方は何をしているのか全く分からないそうだ」
ここまで話して渡はどう思うね、と目で問いかける。
「白人の方は浅黒い男の主人かな?後は何かの実験らしき事をしているのは確かだろうけど、何を目的としているのか判然としないのが不気味だな。単に自分達の命令に従ういわゆる生物兵器を作るっていうのなら、何でその貴重な実験生物をペットとして売り出すというが矛盾しているというか腑に落ちないというか・・・」
「そう、辻褄が合わないんだ。だが何かの実験をしているというのは間違いがないだろう。その目的がこっちの世界を混乱に陥れるにしろ、向こうの世界への復讐だろうと悠長すぎるのも問題なんだ。実はコボルトもスライムもかなり簡単に増えるんだ。だからこちらの世界を混乱させたければ1匹1匹売りつけるなんてことをせずにその辺に群れを放逐すればいいのにそうはしない。別に本命の生物がいてそいつの実験の為の資金稼ぎか?いずれにしても中で何があるのかを確かめる必要がある」
そう言うと渡は例の異世界との連絡用の巨大な鏡を指で軽く弾くと鏡にはたくさんの風景が映し出された。その中には例の墓石屋に偽装しているというペットショップを正面にとらえた物もあった。
「これは?」
「ああ、説明してなかったね。実はあのチラシのインクは特殊なインクが付いているんだ。いわばインクカメラとでも言おうか。つまりチラシを通してこの市内の風景が鏡に映っているのさ」
「じゃあ、今乗り込むのか?」
「いや、まだだ。ちょっとした準備があってね。例のペットショップに行くのは夕方以降、例の白人が店を出てからにしたい。今回の事件の主導権を握っているのは間違いなく彼だからそいつがいない間に中を調べたい。もしいつものルーテインを破って店の外に出てくるようならすぐに知らせてくれ」
そう言うと渡は部屋を出て行った。
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