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2章 渡界人の日報
2-2ドラゴン転生⑦事の真相と解決策
しおりを挟むアパートへ帰り着くと早速渡は買ってきた本を読むと言うと部屋へと入っていった。
私といえば夜のシフトがある為体を休めておく必要があったがベッドに横になっても今回の依頼の事を考えてしまって、結局眠れずじまいだった。
仕事がようやく終わる頃になってスマホに渡からこんなメールが届いていた。
『明日の夕方には決着がつく。暇なら来い』
幸い明日は1日休みであることを連絡して私は帰宅した。
今回の依頼人とあの女勇者に何の関係があるのか?
本当にドラゴンとしてあのさえない中年男を転生させるのか?
彼の考える落し所というのは一体どんな解決策なのか?
疲れているはずだったがこれらの疑問を考える内に目が冴えてきて中々寝付けなかった。
翌日の夕方に私は渡を訪ねたが彼は留守だった。諦めて部屋に戻ろうかと思った矢先階段から足音が聞こえ、渡と今回の依頼人である日之出敏明氏が連れ立ってこちらにやって来た。
渡は自分の部屋の鍵を開けながら
「待たせてすまなかったね。実は黒崎美鈴の所へ行ってきたのだ」
「何を聞きに行っていたんだ?」
「いや情報を聞きに行ったんじゃないよ。今回の依頼を最初に受けたのは彼女だからそちらの実績にしないか、と提案しに行ったのさ。まあ断られてしまったがね」
「ですが私は彼女から人間以外のモノには転生させないと言われたんですよ?」
部屋に入り、渡から勧められた椅子に座りながら依頼人は言った。
その真向かいに私と渡は座った。
「それなんですがね、日之出さん。『ドラゴン公』として転移しませんか?もちろん何の特殊な能力も持たない人間としてですが、それでもある程度の勢力として彼女に対抗できますよ」
「ドラキュラ?しかしそれでは・・・・」
渋る依頼人に
「インパクトが無い、と仰るのでしょう?それでは娘さんの地位を安定させることができないと考えているのならばそれは違うと断言しますよ」
「娘だって!」「何故それを」
彼の発言に私も依頼人も驚いて同時に言葉が出てしまい、互いに顔を見合わせた。
「では今回の依頼の背景を少しご説明しましょう。日之出さん、何か間違っていたら遠慮なくして下さい」
渡は依頼人へそう言うと話を始めた。
「最初にお話を伺った時その話ぶりから私はあなたが夢で見たという女騎士だか勇者に何らかの思い入れの様な物を感じました。そして現在あなたに離婚した奥様と娘がいる事を知りました」
「その通りです」
「私は今日あなたの娘さんが数年前から行方が分からなくなっている事を突き止めました。そしてその人物が異世界マイダル・イージの一国家アイアンハックにて一種の傭兵として転移してきたことをこの本を通じて知りました。これをご覧になったから今回の依頼を考えられたのですね?」
渡は昨日買った本を日之出氏に見せた。
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