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1章無色透明な習作
24 勇者の伝記13 最後の戦い
しおりを挟む「我が聖域へノコノコ出てくるとはな。怖気ずに来たのは褒めてやろう」
悪神バーンゾックは私達が考える悪魔そのものの上半身に下半身がヘビというおぞましい姿をしていた。
「だがその様子ではな。フフフ」
「ヘン、勇者様のお力にかかればな、お前なんてイチコロよ」
「従者風情が粋がるな!後一度力を使えば勇者は死ぬ。よって我を倒す事は出来ぬ」
「何故それを知っている?」
『こういうことだ』
悪神の体から小さな赤い粒子が無数に出現するとそれはアルバフィーラの形をとる。
「あいつ、死んだんじゃないの?」
「この際だから冥途の土産に教えてやろう、小娘。俺はバーンゾック様と命を共有した分身。俺が死んでもバーンゾック様が生きていれば俺は何度でも蘇る」
「そして我が死んでも我が分身にして我が軍の勇者であるアルバフィーラが生きている限り、我は死なぬ」
そして悪神は私に視線を向けると
「このアルバフィーラと我はいわば貴様と女神シールトと同じ。つまりアルバフィーラは我が与えた貴様の能力を分析するアナライズを使い貴様の力の正体と限界を見切り、それを我に伝えたのだ」
「そ、そんなあ。どうします勇者様」
「何情けない声出してるのよ、ガース。要は同時に倒せればいいんじゃない」
「ハハハハハ、それは無理だな」
バーンゾックとアルバフィーラ二手に分かれ、私達は挟まれる形になる。
「消え失せろ、ダーク・レイ」
「先程のお返しだ、ゲヘナブラスト!」
「こうなれば、一かバチかだ!!」
私は剣を抜き頭上に掲げて二人の前に飛び出す。
右側から炎の渦、左側から暗黒の光線が私と剣を襲う。
その直前、私は最後の賭けに出た。
「聖剣オーバーザレインボーよ!偽りの衣を捨て、真の姿を現せ!そして我と女神とこの世界に勝利を!!」
私の声に答えるように白銀の剣が七色の光に輝く。
「馬鹿めが。それが最後の力だというに。それを貴様の従者風情が…振る・・えると!?」
悪神は、いやその場の全ての者がその眼を疑った。
なぜなら私が生きて立っているからだ。
「残念だったな!オーバーザレインボーは俺と同じ能力がある!!強い意志を具現化するという力をな!それはお前が教えてくれたんだ、アルバフィーラ。俺は今剣の力で生き永らえている。邪悪な2つの魂よ、1つとなれ!!」
聖剣はヒビを入れながら私の想いに答え光の球をアルバフィーラへ放つ。
光球はアルバフィーラを捕らえるとそのままバーンゾックの下へと向かう。
「ぐうう」
「しまった!?無理やり一体化したせいで身動きがとれぬ!」
「これで・・・おわりだあああ!!!」
私は渾身の力で悪神と四天王を両断する。
同時に聖剣も真っ二つに折れた。
「そんな馬鹿なことがあああアアッ!!!」
ここに異世界ガムシャラットを苦しめていた悪神バーンゾックは倒れた。
全身の力が抜けて倒れ伏した私を連れてガースとリューネが入って来た門を潜り抜けるのをおぼろげながら覚えてい
る。
そして今城のベッドでこれまでの冒険を口述筆記させているのだ。
「最後は偉大なる女神シールトとここへ連れてきてくれたコンなんでしたっけ?」
「コンサルタント」
「『コンサルタントへ感謝を』それで勇者様、つぎ・・・は」
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