15 / 21
十四 勇者
しおりを挟む
聖女の職務怠慢を理由に婚約破棄した。
そう、陛下に伝えるのを忘れ、元婚約者の令嬢と享楽に耽っていた。
「ふ、ぐぅ…?」
「きゃあ」
ごぽりと口から何かが逆流した。
食べすぎた、か、…?
生温かい手のひらの嘔吐物は、ただの赤だった。
「勇者さまっ誰かっ!」
元婚約者の令嬢が慌てて人を呼ぶ。
従者たちが駆け回り、王子は寝台に横たえられた。
「聖女を追放されたようですね」
吐血が収まり、ぐったりしている王子に司教がわざわざ足を運んできた。
「陛下にはあれ程口うるさく進言したにもかかわず…このような…」
「うるさい…あいつが魔物を呼んでいるんだ…あいつは聖女なんかじゃない!悪魔の所業だろ!」
「それがなんですか」
「っ!知っていたのか!知っていて何故!」
「陛下に貴方にちゃんと説明するように何度も申し上げたのですよ?なのに未だにコレだとは…」
司教は一つため息を吐いた。
「魔物が来なければ魔石は手に入らないでしょう?この国の二つ名はなんでしたか?」
「…」
「聖女が呼ぶ魔物は特別です。取得できる魔石の量が違う。質も良い。彼女こそ血反吐を吐いて魔物を呼び寄せていたというのに」
「それは!私がいるから、魔物の襲来に備えて、国の平和をっ」
「…そうでしょうか?」
「季節の節目の聖女祭。決まって魔物がやって来ると知りながら、あの元婚約者の令嬢と過ごしていた時もありましたね。『お前ら騎士団でもどうにかなるだろう?』でしたか」
王子は口をつぐんだ。
聖女の呼ぶ魔物は彼女の加護を受けた騎士団でも退治可能だった。
実際にお飾りなのは勇者なのだと自分で証明していた。
そう、陛下に伝えるのを忘れ、元婚約者の令嬢と享楽に耽っていた。
「ふ、ぐぅ…?」
「きゃあ」
ごぽりと口から何かが逆流した。
食べすぎた、か、…?
生温かい手のひらの嘔吐物は、ただの赤だった。
「勇者さまっ誰かっ!」
元婚約者の令嬢が慌てて人を呼ぶ。
従者たちが駆け回り、王子は寝台に横たえられた。
「聖女を追放されたようですね」
吐血が収まり、ぐったりしている王子に司教がわざわざ足を運んできた。
「陛下にはあれ程口うるさく進言したにもかかわず…このような…」
「うるさい…あいつが魔物を呼んでいるんだ…あいつは聖女なんかじゃない!悪魔の所業だろ!」
「それがなんですか」
「っ!知っていたのか!知っていて何故!」
「陛下に貴方にちゃんと説明するように何度も申し上げたのですよ?なのに未だにコレだとは…」
司教は一つため息を吐いた。
「魔物が来なければ魔石は手に入らないでしょう?この国の二つ名はなんでしたか?」
「…」
「聖女が呼ぶ魔物は特別です。取得できる魔石の量が違う。質も良い。彼女こそ血反吐を吐いて魔物を呼び寄せていたというのに」
「それは!私がいるから、魔物の襲来に備えて、国の平和をっ」
「…そうでしょうか?」
「季節の節目の聖女祭。決まって魔物がやって来ると知りながら、あの元婚約者の令嬢と過ごしていた時もありましたね。『お前ら騎士団でもどうにかなるだろう?』でしたか」
王子は口をつぐんだ。
聖女の呼ぶ魔物は彼女の加護を受けた騎士団でも退治可能だった。
実際にお飾りなのは勇者なのだと自分で証明していた。
19
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】
ちゃむにい
恋愛
その時ユリアは、ただ教室で座っていただけのはずだった。
「……っ!!?」
気がついた時には制服の着衣は乱れ、股から白い粘液がこぼれ落ち、体の奥に鈍く感じる違和感があった。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
【R18】お父さんとエッチした日
ねんごろ
恋愛
「お、おい……」
「あっ、お、お父さん……」
私は深夜にディルドを使ってオナニーしているところを、お父さんに見られてしまう。
それから私はお父さんと秘密のエッチをしてしまうのだった。
R18 優秀な騎士だけが全裸に見える私が、国を救った英雄の氷の騎士団長を着ぐるみを着て溺愛する理由。
シェルビビ
恋愛
シャルロッテは幼い時から優秀な騎士たちが全裸に見える。騎士団の凱旋を見た時に何で全裸でお馬さんに乗っているのだろうと疑問に思っていたが、月日が経つと優秀な騎士たちは全裸に見えるものだと納得した。
時は流れ18歳になると優秀な騎士を見分けられることと騎士学校のサポート学科で優秀な成績を残したことから、騎士団の事務員として採用された。給料も良くて一生独身でも生きて行けるくらい充実している就職先は最高の環境。リストラの権限も持つようになった時、国の砦を守った英雄エリオスが全裸に見えなくなる瞬間が多くなっていった。どうやら長年付き合っていた婚約者が、貢物を散々貰ったくせにダメ男の子を妊娠して婚約破棄したらしい。
国の希望であるエリオスはこのままだと騎士団を辞めないといけなくなってしまう。
シャルロッテは、騎士団のファンクラブに入ってエリオスの事を調べていた。
ところがエリオスにストーカーと勘違いされて好かれてしまった。元婚約者の婚約破棄以降、何かがおかしい。
クマのぬいぐるみが好きだと言っていたから、やる気を出させるためにクマの着ぐるみで出勤したら違う方向に元気になってしまった。溺愛することが好きだと聞いていたから、溺愛し返したらなんだか様子がおかしい。
中でトントンってして、ビューってしても、赤ちゃんはできません!
いちのにか
恋愛
はいもちろん嘘です。「ってことは、チューしちゃったら赤ちゃんできちゃうよねっ?」っていう、……つまりとても頭悪いお話です。
含み有りの嘘つき従者に溺愛される、騙され貴族令嬢モノになります。
♡多用、言葉責め有り、効果音付きの濃いめです。従者君、軽薄です。
★ハッピーエイプリルフール★
他サイトのエイプリルフール企画に投稿した作品です。期間終了したため、こちらに掲載します。
以下のキーワードをご確認の上、ご自愛ください。
◆近況ボードの同作品の投稿報告記事に蛇補足を追加しました。作品設定の記載(短め)のみですが、もしよろしければ٩( ᐛ )و
今日も殿下に貞操を狙われている【R18】
毛蟹葵葉
恋愛
私は『ぬるぬるイヤンえっちち学園』の世界に転生している事に気が付いた。
タイトルの通り18禁ゲームの世界だ。
私の役回りは悪役令嬢。
しかも、時々ハードプレイまでしちゃう令嬢なの!
絶対にそんな事嫌だ!真っ先にしようと思ったのはナルシストの殿下との婚約破棄。
だけど、あれ?
なんでお前ナルシストとドMまで併発してるんだよ!
貧乳の魔法が切れて元の巨乳に戻ったら、男性好きと噂の上司に美味しく食べられて好きな人がいるのに種付けされてしまった。
シェルビビ
恋愛
胸が大きければ大きいほど美人という定義の国に異世界転移した結。自分の胸が大きいことがコンプレックスで、貧乳になりたいと思っていたのでお金と引き換えに小さな胸を手に入れた。
小さな胸でも優しく接してくれる騎士ギルフォードに恋心を抱いていたが、片思いのまま3年が経とうとしていた。ギルフォードの前に好きだった人は彼の上司エーベルハルトだったが、ギルフォードが好きと噂を聞いて諦めてしまった。
このまま一生独身だと老後の事を考えていたところ、おっぱいが戻ってきてしまった。元の状態で戻ってくることが条件のおっぱいだが、訳が分からず蹲っていると助けてくれたのはエーベルハルトだった。
ずっと片思いしていたと告白をされ、告白を受け入れたユイ。
〈短編版〉騎士団長との淫らな秘め事~箱入り王女は性的に目覚めてしまった~
二階堂まや
恋愛
王国の第三王女ルイーセは、女きょうだいばかりの環境で育ったせいで男が苦手であった。そんな彼女は王立騎士団長のウェンデと結婚するが、逞しく威風堂々とした風貌の彼ともどう接したら良いか分からず、遠慮のある関係が続いていた。
そんなある日、ルイーセは森に散歩に行き、ウェンデが放尿している姿を偶然目撃してしまう。そしてそれは、彼女にとって性の目覚めのきっかけとなってしまったのだった。
+性的に目覚めたヒロインを器の大きい旦那様(騎士団長)が全面協力して最終的にらぶえっちするというエロに振り切った作品なので、気軽にお楽しみいただければと思います。
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる