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番外 報告
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「第三国との和平協定などと言って裏では軍需品や兵器の契約か。和平が聞いて呆れる」
某国、諜報局局長室。
手書きされた書類を読み込んで局長はふぅと息を吐いた。
この国と隣国とは昔から友好とは程遠い関係にあった。
この国を仮想敵として、隣国はよくうちと小競り合いを繰り返している。
「まぁ、この程度の兵器でうちの軍を一小隊でも退けられたら良い方だな」
この国の軍隊には一部隊一人は獣人の血を引く兵を入れてある。
彼らの鼻はよく利く。
敵の斥候ですら鼻と足だけで捕獲できる身体能力を持つ。
そして目の前のこの男もまた。
「で、友よ。うちの部下の報告はこれだけなのだけれど、他になにかある?」
飛んでくる質問に国際医療機関に所属する医師は、天を仰ぎ「特にねぇな」と答えた。
ふーん。
信用していないような相槌。
嘘はそのよく利く鼻が嗅ぎ分けるのだから、意味がない。
「しいて言えば、女を拾って帰ったくらいか」
「その女、敵国の」
「それはねぇな」
クエッカの曽祖父の代まで遡って調べたが隣国の血は混じっていない。
調べる過程で知ったが、気の毒なことに彼女には友人と呼べる人物もいなかった。
「アレンを見つけたのならば…獣人の血かはたまた特殊なスキル持ちか…、使えそうか?」
「どうだろうな」
「能力をみて、判断するか」
「性格が諜報向きじゃねぇな」
「ほう?」
「黙ってコソコソできるような奴じゃない。正面切って真っ直ぐ相手の目を見るんだ。隠し事など見透かすみたいに」
「ふん。それでアイツは捕まったのか」
面白くなさそうに、諜報局の局長は背凭れに凭れた。
手塩にかけた息子のような部下を取られて拗ねているのだ。
姑のようにどうにか嫁をいびりたくて仕方がないのだろう。
「いずれ紹介しにくるだろ。苛めるなよ?息子に嫌われるぞ」
「別に、嫌われても、って息子じゃねぇよ。拾っただけで」
無いはずなのだが、局長の頭の上の獣耳と、背に獣の尾がしょんぼりと垂れているように見える。
獣人は敵には厳しいが、懐に入れた身内には甘くなる。
局長にもその気はあった。
「そろそろ子離れしないとな」
子供のようにぷいっと顔を横に向ける局長に笑いがこみ上げる。
部下には悪魔と言われているのだ、この男。これで。
まぁ…お嬢さんならこの舅も陥落させるだろうな。
某国、諜報局局長室。
手書きされた書類を読み込んで局長はふぅと息を吐いた。
この国と隣国とは昔から友好とは程遠い関係にあった。
この国を仮想敵として、隣国はよくうちと小競り合いを繰り返している。
「まぁ、この程度の兵器でうちの軍を一小隊でも退けられたら良い方だな」
この国の軍隊には一部隊一人は獣人の血を引く兵を入れてある。
彼らの鼻はよく利く。
敵の斥候ですら鼻と足だけで捕獲できる身体能力を持つ。
そして目の前のこの男もまた。
「で、友よ。うちの部下の報告はこれだけなのだけれど、他になにかある?」
飛んでくる質問に国際医療機関に所属する医師は、天を仰ぎ「特にねぇな」と答えた。
ふーん。
信用していないような相槌。
嘘はそのよく利く鼻が嗅ぎ分けるのだから、意味がない。
「しいて言えば、女を拾って帰ったくらいか」
「その女、敵国の」
「それはねぇな」
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調べる過程で知ったが、気の毒なことに彼女には友人と呼べる人物もいなかった。
「アレンを見つけたのならば…獣人の血かはたまた特殊なスキル持ちか…、使えそうか?」
「どうだろうな」
「能力をみて、判断するか」
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「ほう?」
「黙ってコソコソできるような奴じゃない。正面切って真っ直ぐ相手の目を見るんだ。隠し事など見透かすみたいに」
「ふん。それでアイツは捕まったのか」
面白くなさそうに、諜報局の局長は背凭れに凭れた。
手塩にかけた息子のような部下を取られて拗ねているのだ。
姑のようにどうにか嫁をいびりたくて仕方がないのだろう。
「いずれ紹介しにくるだろ。苛めるなよ?息子に嫌われるぞ」
「別に、嫌われても、って息子じゃねぇよ。拾っただけで」
無いはずなのだが、局長の頭の上の獣耳と、背に獣の尾がしょんぼりと垂れているように見える。
獣人は敵には厳しいが、懐に入れた身内には甘くなる。
局長にもその気はあった。
「そろそろ子離れしないとな」
子供のようにぷいっと顔を横に向ける局長に笑いがこみ上げる。
部下には悪魔と言われているのだ、この男。これで。
まぁ…お嬢さんならこの舅も陥落させるだろうな。
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