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十四 結婚後四月 C
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「神父様、ありがとうございます」
神父は複雑そうな顔をして、発行したばかりの『純潔証明』を手渡した。
『純潔証明』は、主に離縁を考えている女性が求めるもの。
神の認めた婚姻を破棄しようとする行為に当たるので、神父としても複雑なのだ。
神職には相手の身体に触れるだけで『純潔』か否か判断できるスキルがあった。
クエッカの告白の通り、結婚から今まで『清らか』だとここに証明された。
家令はなんとか発行を止めようとした。
お布施を包むと神父を抱き込もうとしたが、「虚偽を証明したら、このスキルは使えなくなるのだ」と断られていた。
メイド達は俯き、家令は悔しそうに床を睨んでいる。
「あの…そろそろ暇を…」
退出する神父の後について行ったのはクエッカだけだった。
微妙な空気の中、誰も動けなかったのだろう。
屋敷を出て、門までの小路をゆっくり歩く。
「神父様」
「なにか?」
「実はもう一つ懺悔があるのです。神様は許してもらえますでしょうか?」
「…神は須らく懺悔者には、許しと祝福をくださいます」
「…そうなんですね」
クエッカはホッとした。
褒められることではないだろうけど、どこかに一人くらい許してくれる人がいるならそれで良い。
人ではないけれど。
「夫以外に好いた人が出来たのです」
神父はただその告白を聞いた。
人の妻となった者に認める、とは言えない。
「…貴女に、祝福を」
「ありがとうございます」
神父は複雑そうな顔をして、発行したばかりの『純潔証明』を手渡した。
『純潔証明』は、主に離縁を考えている女性が求めるもの。
神の認めた婚姻を破棄しようとする行為に当たるので、神父としても複雑なのだ。
神職には相手の身体に触れるだけで『純潔』か否か判断できるスキルがあった。
クエッカの告白の通り、結婚から今まで『清らか』だとここに証明された。
家令はなんとか発行を止めようとした。
お布施を包むと神父を抱き込もうとしたが、「虚偽を証明したら、このスキルは使えなくなるのだ」と断られていた。
メイド達は俯き、家令は悔しそうに床を睨んでいる。
「あの…そろそろ暇を…」
退出する神父の後について行ったのはクエッカだけだった。
微妙な空気の中、誰も動けなかったのだろう。
屋敷を出て、門までの小路をゆっくり歩く。
「神父様」
「なにか?」
「実はもう一つ懺悔があるのです。神様は許してもらえますでしょうか?」
「…神は須らく懺悔者には、許しと祝福をくださいます」
「…そうなんですね」
クエッカはホッとした。
褒められることではないだろうけど、どこかに一人くらい許してくれる人がいるならそれで良い。
人ではないけれど。
「夫以外に好いた人が出来たのです」
神父はただその告白を聞いた。
人の妻となった者に認める、とは言えない。
「…貴女に、祝福を」
「ありがとうございます」
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