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六
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「貴方の言うものに該当する宝物を探させた」
国王は聖女と名乗る女の話聞き、縋る気持ちで彼女の言うがまま素直に行動を起こした。
ちなみに王太子はといえば
「御託は良い!お前はいつも通り祈りでも捧げれば良いんだ」と叫び、
「煩い!口を挟むな!!」と国王の雷が落ちてからは、不満顔ではあるが部屋の隅で静かに成り行きを見ていた。
聖女の助言に対し、すぐに王は指示を出して従者が動き、この部屋に壺が運び込まれてきた。
幼い子どもが入れそうな大きさの壺が、国王の前に置かれる。
「間違いありませんね。止まぬ雨の原因はこの古魔具が原因ですね」
聖女は壺の周りをぐるぐると周り、確信した上で王に伝えた。
この国は水害が多い土地などではない。
地続きになっている両隣国が穏やかな土地のだから、この国だけ災害が多い異常な土地、なんてことがおかしいのだ。
聖女にそう言われ、国王は「確かに」と神妙になる。
なにか原因があるはずだ、聖女と王は問答を繰り返し、ようやく此れにたどり着いた。
「この壺は宝物庫で大事に保管するのではなく、割って壊すか水を張るか、外に放置してください」
「…そんな…。貴重な宝をみすみす…」
「これは『雨乞いの壺』と呼ばれるものなんですよ」
元々砂漠の国で重宝されていた。
壺が乾けば雨を呼ぶ。壺が満ちれば雨は止む。
そういう魔道具なのだから、壺に水を入れておけば、雨は去るのだと簡単に説明した。
本来は室内でなく外に飾られる置物なのだ。
半信半疑で、王は壺に水を満たさせた所、あれほど降り続いた雨音が静かになっていき、やがて止んだ。
「…まさか…こんな簡単なことで…」
雲の切れ間が現れ、青空を見上げる国王は、脱力した。
聖女が災害からこの不安定な国を守ってくれる。
早々に見つけ出し、国を安定させ、王族に取り込むようにと。
それが、代々受け継いできた王家の習わしだった。
「まさか…壺一つで国が傾くなんて…。
しかし、なぜ誤った情報が後世に受け継がれていたのだ」
不可解だと疑問を持つ王に、聖女は答えを差し出した。
「聖女、と言うものは古来より比較的見目がよいと言われてます。じつは、こういったことはよくあるのですが…」
見目の良い聖女と婚姻したいが為に、国に災いをあえて呼び込む。
聖女を国に縛り付ける為だけに、国に災いを呼ぶ権力者が居るのだと。
それが、この国の先祖であると聞かされ、国王は微妙な気持ちになった。
「本当によくある話なんです」
慰めのつもりなのか、聖女は他国でも似たような事があるのだと話す。
その知識から災害は魔道具の効果の可能性を思いつき、結果的にこの国の水害問題を解決したのだった。
国王は聖女と名乗る女の話聞き、縋る気持ちで彼女の言うがまま素直に行動を起こした。
ちなみに王太子はといえば
「御託は良い!お前はいつも通り祈りでも捧げれば良いんだ」と叫び、
「煩い!口を挟むな!!」と国王の雷が落ちてからは、不満顔ではあるが部屋の隅で静かに成り行きを見ていた。
聖女の助言に対し、すぐに王は指示を出して従者が動き、この部屋に壺が運び込まれてきた。
幼い子どもが入れそうな大きさの壺が、国王の前に置かれる。
「間違いありませんね。止まぬ雨の原因はこの古魔具が原因ですね」
聖女は壺の周りをぐるぐると周り、確信した上で王に伝えた。
この国は水害が多い土地などではない。
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聖女にそう言われ、国王は「確かに」と神妙になる。
なにか原因があるはずだ、聖女と王は問答を繰り返し、ようやく此れにたどり着いた。
「この壺は宝物庫で大事に保管するのではなく、割って壊すか水を張るか、外に放置してください」
「…そんな…。貴重な宝をみすみす…」
「これは『雨乞いの壺』と呼ばれるものなんですよ」
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早々に見つけ出し、国を安定させ、王族に取り込むようにと。
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「まさか…壺一つで国が傾くなんて…。
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聖女を国に縛り付ける為だけに、国に災いを呼ぶ権力者が居るのだと。
それが、この国の先祖であると聞かされ、国王は微妙な気持ちになった。
「本当によくある話なんです」
慰めのつもりなのか、聖女は他国でも似たような事があるのだと話す。
その知識から災害は魔道具の効果の可能性を思いつき、結果的にこの国の水害問題を解決したのだった。
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